――――― NBSAネット・ニュース 2004年11月号 ―――――

 

  ネパールの視覚障害者を支える会

Nepal Blind Support Association (NBSA)

大型台風そして中越地震被災者の皆様会員の皆様 ネパールからお見舞い申し上げます  当地ネパールにおきましても 災害のニュースが広範囲に報道され 日本贔屓のネパール人が多いこともあり 様々な方々から家族の安否を気遣うことばをいただき 胸が熱くなりました  災害で亡くなられた方々のご冥福を 遠いネパールよりお祈り申し上げます  

NBSA活動報告

10月と11月はネパールの年中行事で一番大切なとき  これまでのネットニュースで何度かご紹介した 秋の収穫を祝うダサイン それにネワール族にとっては新年にあたるティハールが華やかに祝われました  NBSAボランティア一同もちょっと休暇をいただき 来月に向けて英気を養わせていただきました 

支援拡大月間 引き手あまたのウォークマン

会報誌第10号でも書かせていただきましたが 東京都の山縣様と内田様から録音機能のついたウォークマンを寄贈していただきました 盲学生が授業に持っていけるので本当に助かります  前回は会員の菅原さんがネパール訪問の折に届けてくれたのですが 手軽い 電池を使用するので電圧の変換が不要と 寄贈者がいらっしゃればNBSAのスタディーツァーのとき等 常時ネパールに運ぶ込むことが可能です  日本の点字図書館などにお勤めの読者に 切に寄贈をお願いしたい次第です  どうぞよろしくお願いいたします  

白杖の日 国産白杖1号  カトマンドゥ駐在 渥美よりこ

10月15日は国際白杖の日 その前日ネパールの社会福祉協議会と ネパール盲人協会(NAB)共催の式典を行いました  様々な来賓の中で特に注目を引いたのは 交通整理警官部長の話で 視覚障害者の横断などの介助を促し 横断歩道を整備すると約束してくれたことです  またNBSAが独自にデザインした白杖の試作品を披露しました  私はその席上で 白い杖 車椅子など障害者の介助機器をネパールで作る重要性と 小規模ながら介助機器を製作している企業が ボランティア仕事をするのではなく 会社として運営し 採算が取れるように政府が保護をしてくれ と訴えました  ちょっと構想がでかすぎたのか 聞き流されてしまった感があり ちょっぴり残念です 

翌日の10月15日 本番の白杖の日にNBSAはボランティアを30名動員し 参加者全員の軽食代を負担しました  ダサインの秋祭りの前日であり 当事者の目の不自由な人々の参加が予定を下回り これも ちょっぴり残念でした

白い杖に思うこと 本日は私の個人的な意見を ストレートに書かせていただきます  

この白杖の国産化は昨年からの構想でした これまではインドから輸入し 都会に住む人々だけが白杖を購入するだけに留まっていました  なぜ国産品でなければならないのかを説明します  ネパールでは技術的に軽金属の加工はかなり難しく需要が低いので インドからの輸入  または日本などからの中古の寄贈にたよっています  しかし インドからの供給が極端に不規則です  注文してから半年 下手をすると1年に1度 大量の白杖が送られてきますが それが切れると次の年まで 供給を待たねばなりません  白杖が折れたり 中途で失明した人には長く 苦しい1年を過ごさねばならないのです  値段はインド製もネパール製もさして変わりませんが 国産であれば注文後2週間で 白杖が供給されます こうした便利さに加え 地元の介助 介護機器の製造会社の発展にもつながります 注文が増えれば 企業として専門メーカーが生まれ ほかの製品の開発も可能になります ぜひ国産品を使いましょう を奨励しようと思います 

この白杖の国産化を考案したときにある方から非難を受けました  ネパールには自然の竹やこん棒がある  なぜ視覚障害者だけが 特別な品を使うのか  ネパールにはネパールの発展段階がある 特別待遇は許されない と主張されたのです 曲がりやすい細い竹の棒 重いこん棒でも歩行は可能ですが 視力を失うという大変な障害の中で人生を送ることを少しでも楽にしたいと思うことが なぜ贅沢で特別待遇になるのでしょうか  実際にネパールの地形を見ると 平地が極端に少なく しかもほとんどの道路が舗装されていないデコボコ道です そしてネパールの視覚障害者のほとんどが険しい谷間に住んでいるのです 軽金属の杖ひとつが 外出の機会を増やし 自らの自信を促すことになると思います  

機械万能の世界は困るのですが 白杖を一本持つことで その人の活動範囲が広がリ快適になることは 間違いないと思います  またそれは白杖でなければなりません  白い杖を持っている人は視覚に障害をもっている人で 車は徐行せねばなりませんよ  こうした啓発にもつながるのです  NBSAが試作した白杖はストレートな1本タイプで 重さは約250グラム 折りたたみ式より50グラム重い その分頑丈で折れる心配がまったくありません  地方などにすでに発送しましたが 大変な人気です  日常の散歩や農作業をする人々には ちょうどよい硬さと重さだ 竹の棒より安定感があるなど こちらが見越した長所を見出してくれました  ひとりでも多くの視覚障害者が こん棒の日々から解放されることを私は祈願しています 

 

福祉ふれあいフェスティバルに参加

 

NBSAは鹿児島市福祉協議会が 多くの市民に福祉への理解と関心を深めてもらおうと企画して 11月7日に鹿児島アリーナ及び永吉中央公園で開催された「第13回福祉ふれあいフェスティバル」に参加し 福祉団体による活動紹介展示コーナーの一角にNBSAブースをもうけて 春と秋のスタディーツァー 夏のクイズ大会などの写真展示を行うとともに 会報及び新パンフレットを来場者に配布した  展示のほとんどが地元市民を対象にしている中でNBSAは異彩を放っていた  

 

旅へのいざない

去る10月26日から11月4日まで NBSA恒例のスタディーツァーが開催され 参加者全員が大満足 無事に帰国しました 今回はポカラ出身の目の不自由な青年2名に トレッキングに 参加してもらい 日本とネパールの友好を深めました 両者ともトレッキングは初めて 最高に楽しかったと今も思い出を噛みしめているようです 

.スタディーツァーに参加して

秋深し隣の人は何処へ… 実はネパールでした 近所のお友達を誘ってネパールへ行ってみよう ネパールのキラキラする瞳に会いに行こうよ こんなノリで今回もNBSAスタディーツアーに参加された方から こんな感想をいただきました

今回の旅行は あんまり良いイメージで取り組まなかったのが幸いして 思ったより汚くもなかったし 山々の景色は最高で本当に楽しい旅になりました

(はい その通りです これまでのスタディーツァーの中では一番天候に恵まれ トレッキング中はアンナプルナ連峰が全開 遊覧飛行で見たエベレストは氷河や氷河湖がくっきりと見えるほどすばらしかった  以前にスタディーツァーにご参加された方 ごめんなさい 山の天気だけは予約ができないのです それと汚いのはカトマンドゥだけともいえます  村には村の掟があり 案外きれいにしているのです)

私の始めての海外旅行が 観光だけでなく いくらかボランテァのお手伝いができたのかと思うと嬉しくなります  ボランテァの精神ということも 自立を促がすものであるという事を聞き(本当にそうだ)と思うことでした  これからを逞しく生きれそうです

(ありがとうございます  ネパールは何だか生きることを考える国 と感じる方が多い  様々な人々が自分なりに努力して生きている姿を 見ていただけるでしょう)

さて質問です 一番楽しかったことは?

トレッキング1泊目のダンブスのロッジで夕食後、アリダッタさん シヴァさんポーターの皆さん ロッジの方々とマーダル(太鼓)に合わせて レッサムフィリリを踊ったこと

印象的だった場所と人は?

ポカラの大木神父のモーニングスクールを訪れ 知的に障害のある児童と遊んだこと  子供たち 大木神父ともども印象的でした

印象的だった場所は やっぱりヒマラヤ山脈の美しさでした

ナムラ・マチェンドラ盲学級のダンスが得意な女生徒の 自信に満ちた笑顔が印象的だった  また上田佳代子さんがポカラのラジオの放送に出演されたこと

(今年の3月に行った時もトレッキングのインタビュー 新聞掲載などありました 日本には金メダリストのランナーなどいますが ネパールでは目の不自由な人のチャレンジはまだまだ  変な表現ですが目から鱗が落ちた と感じたラジオ聴者が大勢いたでしょう 自宅にも 聞いたよ おめでとう と電話がかかってきました)

トレッキングはどうでしたか?

とっても楽しかった

ただ楽しかったと簡単に答えてしまいましたが 目の見えないシヴァさんやアリダッタさんの 前向きな姿と明るさに感動しました  また、険しい道を歩く時でも少しの手伝いがあると、健常者と変わりなく歩ける ことが驚きでした  こういう機会を与えられたNBSAを本当に素晴しいと思いました

天気に恵まれ ヒマラヤ山脈の眺望が素晴らしかった  またアリダッタさんシヴァさんは私より健脚で とても視覚障害者とは思えない速さで驚かされました  2人も楽しいと言ってくれて嬉しかった (正直言って日本の視覚障害者は負けます ネパールの視覚障害者は毎日 デコボコ道を歩いているのですから とにかく度胸がある)

ネパールのいやなところは何ですか?

いやなところではないのですが トレッキングの途中の子供たちの物乞いにとまどった(困惑した)こと

埃っぽかった (やや これは返す言葉がありません 困ったものです  気になる方はマスクを着用されるとよいでしょう)


などなど楽しい旅の思い出は尽きませんが 今回のツァーは人数が少ないこともあり お好みに合わせて 自由時間を存分に楽しんでいただきました ネパール・ヨガの体験入門 日本語学校の先生と学生の通訳を交えて 古式豊かなネワール民族の家庭訪問  じゃ今夜は男どうしで一杯と ガイドと闇に消えていった方もいました  ちょっと普通の海外旅行では体験できない 現地の人とのふれあいたっぷりの旅だったと思います  何しろ自由行動の日は現地日本語ガイド随伴の 単独行動だったのです  NBSAの旅は古城や美術館巡りとちょっと違いますぞー あなどれない企画がいっぱい 皆さんもぜひ参加してみてはいかがでしょうか

2.隣国チベットを旅して

カトマンドゥから入国できる近くて遠い外国チベット 世界最高峰のエベレストを越えると まったく違う世界が待っている 

チベット旅行            上田耕平

7月17日から3泊4日のチベット旅行(と言うほど大げさなものではなくラサ旅行)をした  カトマンドゥ空港から僅か1時間余でラサ空港(ゴンカル空港)に到着  機内では雲上に頭を出したエべレストを見ることが出来た(復路も)  ラサ市内は漢人を中心とした新中国の街とチベット人を中心とした旧市街が合わさった街である  私たちは 旧市街の中心地でダルバール広場を思わせるジョカン(大昭寺)を取巻くバルコル(八郭街:旧市街一番の繁華街)の一角で3泊  周りはカトマンドゥのアサンを思わせる街だが 道路は比較にならないほど広くてきれいであった 

 

2日目:ラサの西北約12キロに位置するグルク派最大の寺院デプン寺(哲蚌寺)とジョカンを見学  デプン寺は 小高い丘に連なる大寺院を順に巡るのだがメインのツォクチェン(大集会堂)まで さすが海抜3800メートル 坂も階段も登りは息が苦しい  ツォクチェン前の広場からの眼下の景色は素晴らしかった  ジョカンも膨大な数の仏像を有し ガイドの説明もブッダ ブッダ ブッダで頭がこんがらがってしまった  3階からのポタラ宮の眺めは素晴らしかった

  

3日目:チベット博物館 ポタラ宮と川口慧海や多田等観が学んだセラ寺(色拉寺)を見学  ポタラ宮は 西側門を通り広いスロープの部分を車で登る  下車後少しばかり 階段と坂道を歩いて紅宮の基礎部から見学開始 経典を入れた棚 歴代ダライ・ラマを中心とする数々の塑像 霊塔を薄暗い中で拝観  特に印象に残ったのは 5トンの黄金を使用し多くの宝石で飾られた 高さ約17メートルといわれるダライ・ラマ5世霊塔は 威圧感のある壮大なものであった  セラ寺では 庭一杯に繰り広がれる多くの問答修行を見学した

 

4日目:早朝 空路でカトマンドゥへ  

 

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NBSAネット・ニュース  文責 カトマンドゥ駐在員 渥美よりこ

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