――――― NBSAネット・ニュース 2005年1月号 ―――――

 

  ネパールの視覚障害者を支える会

Nepal Blind Support Association (NBSA)

 

南ネパールでは激しい寒波が続き 当地カトマンドゥでも寒暖の差が激しく陽の射さない日には しんしんと盆地の寒さにさらされます  年末から灯油 ガソリン ガスが欠乏している中 政府は燃料の大幅値上げを決定し 市民や学生団体が連日のように抗議集会を行っています  

インド洋の津波災害の惨状を思うと 命に別状がなければ幸運と感謝していますが 同じ途上国を支援する団体として 新しい年を晴れ晴れと心から祝う気になれません  そこで今年は年頭の挨拶を控えさせていただきます  

NBSA現地活動報告

1225日 視覚障害者児の親への啓発セミナー

社会福祉協議会大ホールに青色に白と黄色の横断幕を張りました  

英文でThe Sensitization for the Parent of the Blind Children’s Parents和訳しにくい文言です  視覚障害児の親を刺激する という意味ですが 早い話が啓発を強調したつもりです  

人にとって子どもを持つ とはなんでしょう  親の役割とはなんでしょう  障害を持たされた子どもを持つ保護者は何をすればよいのでしょう  そして教育は?  障害者も人としてまったく同じ権利があり 障害者のための特別な法律もあるのですよ 最終的にそうした親や保護者は あなただけではないのですよ と講演の内容
が徐々にエスカレートする仕組みです  さらにバクタプル市の幼児期に失明した女性教師が 自分の生い立ちと現在の自分の生き方の話をしました 大変刺激的で、子育てに光を射す内容でした

  両親 母親父親のどちらか または兄弟が主な参加者でした  クライマックスの刺激は 親どうしのネットワークを作ったらどうでしょうか とこちらから提案 先に知的障害児・親の会の会長に 親の会のメリット 必然性をたっぷり語ってもらいました  むむっ 知的障害者の親から何を学ぶ? と露骨に怪訝な顔をした人
もいましたが 涙無しではきけないような 苦労話が次々に飛び出し 最後にどの子も可愛い我が子なんだよ と力説し 誰もが真剣に耳を傾けていました  よし俺もやるぞ とひとりのお父さんが立ちあがりました  自分たちで親の会を作ろう  そしてカトマンドゥ盆地以外の孤立している村の視覚障害児のことも考えよう と自発的に申し出ると あっという間に有志が8名集まりました  しかしネパールにはPTAのような組織がないし 親は教師と対等に話す機会など持たないので 全員が親の会の設立に賛同したのかどうか はっきりわかりませんでした  まったく無言で参加者たち全員の心境を 読み取ることが不可能でした

セミナーには数人の教師も自主参加しました  先生にとってもまったく初めての経験です 当会のボランティア スタッフたちは 我々は本日ネパールの視覚障害者の運動に 新しい歴史を築いた と大変興奮していました  
   

もうひとつの親への啓発セミナー

200514日 国際点字の日にネパールガンジで同じ内容のセミナーを行ってほしいと 2ヶ月前から要望があり カトマンドゥの次は 絶対にネパールガンジだ と当方も期待していました  大変残念ですが南部ネパールの治安は悪化しています カトマンドゥ・スタッフの移動も容易ではありません 断腸の思いで開催を延期しました  しかし治安の回復をみて必ず開催 とスタッフの意気は盛んです

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4日 国際点字の日と寄贈品の贈呈式

昨年JICAの輸送支援 世界の笑顔のためにで 多くの方々が視覚障害者のための 便利グッツ 拡大読書器 拡大鏡 老眼鏡 カセットテープのダビング器などを寄贈していただきました  ネパール盲人協会に法務大臣 JICA職員などを呼んだ盛大な寄贈式が行われました さらに国際点字の日にあわせて 点字教育の必要性や点字の仕組みなどの講演もありました  11日に点字コンテストの予選が行われ その優勝者の授賞式も同時に行われました

NBSA
は社会啓発活動のほかに 視覚障害児の教材も提供していて 昨年は各地で点字盤や算数セット 点筆を100本配布しました

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9日 音訳者へのオリエンテーション

プリントされている活字を 音声で聞いてもらうことを音訳と言います  昨年8月と9月にアナウンサー講座を行いました  カセットテープの吹き込みを手伝ってくださる ボランティアを募集するためです 今回はそのオリエンテーション  誰もがまったくの素人ですが  講座受講者だけあって なかなか堂々としていました  皆さんボランティア精神に燃えている人々ですが 目の不自由な人々のお役に立ちたいと 集まった人のほとんどが身体に障害のある人でした  その思いやりにスタッフ一同感激しました   参加者の音質がわかりましたので ふたつのグループに大きく分類しました  新聞や雑誌などの記事を やや早口ではっきり読める人  やわらかな声 しわがれた声 特別なアクセントがある人 などは小説などを朗読してもらい 内容によって各自声の個性を味を生かしてもらいます   

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15日 視覚障害児の親の会 第一回会議

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月に開催したセミナーで親の会が発足しました  その始めての会議です  NBSAは親の会の自発的な発展を即すため 会場を予約し オブザーバーとして意見を求められた時に発言するよう  スタッフをふたりだけ派遣しました  時と場合により助言し  イベントなどの助っ人になりたいと思っています  NBSAは火をつけるマッチの役目を果たしただけです  後は火を絶やさないよう親どうしの 努力を促します  できるだけ持続してほしい会です  

点字本とカセットの貸し出し事業

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月の中旬から点字本のみならず カセットテープの貸し出しも始めました。また学生にはウォークマンの貸し出しもしています  これは授業の補助教材として貸し付けます 点字本は日本文学点字図書館と名付けて 日本の支援者からいただいた日本の小説の 英訳ものを揃えていましたが  このほど日本文学以外の外国の小説なども寄贈され 本の種類が増えました

カトマンドゥ市内には 小中学校の教材を専門に作っている団体と 短大や大学の教科書の専門と2種類しかありませんでした  NBSAは余暇をもっと楽しんでもらいたいと思い 小説などの本を貸します  カセットテープも同様で どこの団体も教材用のカセットだけです  そこでNBSA は小説や雑誌の音訳もの等を貸し出します 
 途中で失明したり 点字を習う時機を逃した方々を対照としています  私たちの活動目的のひとつ  視覚障害者をインクルージョンした社会の建設に似合った事業です  現在は英語のカセットが多いのですが 当事者のみならず家族全員で楽しめる ネパールの民話などのカセットを製作する準備があります  ネパールは貧しい国なので 他の団体と活動が重複しないように 他団体とも連帯して 仲良く活動しています  貸し出しは視覚障害者を最優先していますが  要望があれば晴眼者のお年寄りにも 貸し出しをしたいと思っています  またネパール在住のNBSA邦人会員にもネパール語の勉強になるので 優先的に貸し出します ご連絡ください   

活動予定
カセットテープ・マガジン  ネパール暦で毎月1回発行 ネパール語  内容は新聞や雑誌の面白いトピックス  時事解説  視覚障害者や他の障害者の催しと活動の紹介や インタビューが中心で 私には内容がかなり硬く思えます  しかしネパールではまだまだ様々な角度から 障害者の啓発が必要と スタッフの意見がまとまりました  将来はもっと娯楽的な内容 例えば流行歌手のゴシップや新譜の紹介なども 盛り込んでみたいです

冬のネパール
全国が同じではありませんが 本格的な冬の到来は12月の下旬から3月までの2ヵ月半  無論ヒマラヤ山脈の麓に住む人々の冬はもっと長い  当地カトマンドゥでも時には零下まで下がり 陽の射さない日が続くと大変に寒くなります  室内に暖房設備が少ないので この2ヶ月半はどこの団体も冬眠状態  イベントなどあまり行えません  私たちもカセットの製作や 本の貸し出し活動を中心に行っていきます  

(記事と報告:オム・プラカス君と渥美よりこ)

ヒマラヤのイェティ(雪男)

皆さんはヒマラヤの山中に住むイェティを知っていますか  本日はエベレスト山麓の シェルパの村に泊まったときに聞いた話をしましょう  村人の半数が真面目な顔をして イェティに逢ったことがある というのです  その時のことはたいていこのような話でした  夜暗くなって隣村から帰る途中 林の中に何か大きな動物の気配を感じて 恐ろしくなって走って村に戻ろうとした  こちらが駆け足になると 向こうも駆け足で追っかけてくる  必死に走って何とか村の近くまで到着 ハッと後ろを振り向くと なんと大きな二つの目が闇の中に青白く燃えて光っている  
肝をつぶさんばかりに驚いて そのまま家の中に倒れこんだ  ここまでは覚えているけど それから後のことはまったく記憶が無い という話です  その後彼はどうなったかというと そのままブルブル震えながら床にふし 1週間くらい高熱にうなされ うわ言を言いながら 生死の境をさまよった  自分たちは幸いにも回復した
けれど そのまま一命を落とす村人も多いそう  村人の話ではこれがイェティなのだそうです  もちろん途中で追いつかれて イェティに食べられてしまった村人もいるとのこと
それじゃ 目を見ただけでイェティがどんな動物か 見たことはないの とたずねると 夜だからはっきりは見てないけど 人間の2倍くらいの大きさだったと言います  でも日中に出くわしたらオスかメスかを確かめて 逃げ道を決めるそうです オスだったら上に メスだったら下に逃げなさい どうしてかって  オスの場合は 股間のイチモツがかなり大きく邪魔になって登りは苦手だそうです  そのかわり下りはそれの重さも手伝って 一気に駆け下るそうです  メスはというと 乳房が大きく長いので 登りは乳房をヒョイと肩に担いで 猛烈な速さで斜面を登るそうですが 下りは乳房が足元を邪魔してうまく走れないそうです  ヒマラヤの山中で このような怪物に出会わないことを祈ってますが 本当にいるんでしょうか イェティって? (投稿:上田佳代子さん)

広げよう国際ボランティアの輪

スリランカに救援の手を

ネパールで村落開発援助をしているシャプラニールから インド洋沖救援の依頼が来ました  当団体は バングラデッシュを拠点に幅広い活動をしている老舗のNGO団体です  国連などの巨大な組織を通さず 直接現地の被災者に寄付が届きます  
インターネットで支援金を送ることも可能なので ご興味がある方は 直接当団体のサイトにアクセスしてください 

http://www.shaplaneer.org/campaign/tsunami04.htm

 

めがねボランティアの松田さん
12月のネット・ニュースでご紹介した 岩手県のめがねボランティアのホームページもご紹介します ネパールのきれいな写真が満載 なかなかユニークなボランティア活動 と好評でした

  http://www.megamatu.com/volunteer7/index.htm


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NBSAネット・ニュース 編集と文責 渥美よりこ カトマンドゥ在住


NBSA
ホームページ:http://at.sakura.ne.jp/~ilte/nbsa/