――――― NBSAネット・ニュース 2005年6月号 ―――――

 

  ネパールの視覚障害者を支える会

Nepal Blind Support Association (NBSA)


ネパールは空梅雨です
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月初旬にネパールでは入梅を発表しましたが大外れ  全土が干上がっています  とにかく毎日が暑い  なんと11年ぶりの異常気象だそうです  公共の水場は時間制限に突入  時には夜の10時や早朝3時に給水が行われるため その時間帯には長蛇の列が出来て 水が流れてくるのを待ちます  それでも心に余裕があるのか 急ぎの仕事が少ないのか 水場に集まって来る人々はどこかゆったりしています  日本の空模様はどの様ですか

日本発 NBSA ボランティア イン ネパール
二羽泰子(ふたばやすこ)さんレポート 第2

カトマンドゥ盆地とポカラでのトレーニングを無事終了し 泰子さんは現在ネパール盲人協会で コンピューターを教えている最中です  カトマンドゥとポカラで行った青少年を対象とした 障がい者のためのリーダーシップトレーニングとは何か 何を学ぶものかを泰子さんに直接説明していただきます

リーダーシップトレーニングとは 自分を磨くためのひとつのプログラムです  そのためには自分自身とは何かを知ることが重要なのです  そして自分は社会の中でどのような立場にあり どのように社会の一員としてどのような役割があり それを果たしていかなければならないかを考えます  誰もが不得意 得意な部分をもっています  不得意な部分を克服し 得意な部分を延ばせば 自分自身にも自信がつくでしょう  社会の中で自分もリーダーになれることを自覚するのがリーダーシップトレーニングです これは対話形式で展開されます  自分を表現することは自分の生い立ちを 人前で話す勇気をもつことから始めなければなりません 

受講した人々の様子はどのようでしたか
カトマンドゥの受講生は中学生 高校生に混じってこれまで学校で勉強したことのない人もいました  全員女性です  社会経験が少ない人が多いので 比較的やさしい言葉で話し 紙で箱を作る 身近な材料で円を描く 折り紙で花を作るなどの実技など 生活の中で役に立つ作業も混ぜてみました  まずは打ち解ける雰囲気を作ることが大切だったのです
ポカラの受講生は様々な面で対照的でした  年齢も上で高校生や大学生で編成されていました  彼らにヒントを与えると 大勢の人が反応を示し 収拾が付かなくなるほど発言が飛び交いました  初日からこのようでしたから 私もかなり自信を得ました 個性的でユニークな発想をする人が多かったのが印象的です  年齢だけではないでしょう  なんだかポカラはゆったりしている中にも 自由な雰囲気がうかがえました  

これまで泰子さんは 日本国内で外国人の研修生に同じようなトレーニングをしていた と聞いています  現地に入っての講義とどこが違いますか
私はネパールに来る前はJICAのトレーニングセンターで働いていました  研修に来る外国人は1国につき2人か3人  その人たちがいっしょに勉強するので お国柄というものがよく理解できませんでした  今回はネパールだけが対象です  様々な文化や風習の違いが トレーニングにも反映されて 本当に興味深かったですよ  たとえば昨日勉強したことを発表してください と言うと 誰もが初めに 本日お集まりになった来賓の方々 またこのように素晴らしいトレーニングを開催してくださった オルガナイザーの方々に心より御礼申し上げます という決まり文句が毎回飛び出てくる  本当に驚きましたね  どうやらネパールの風習だそうです  他にも社会構造が日本と大きく違っているのも印象的です  私自身異文化に触れることができ 大変勉強になりました

二羽さんのトレーニングはあと数日で終了  73日に日本への帰路に着きます 残りわずかの日々を元気に楽しく 過ごしてもらいたものです

NBSA
カトマンドゥ支部から 
2005
年の重要な事業のひとつ 生活自立訓練が終了しました  あわせて二羽さんの青少年リーダーシップも行い 自立のための実践と社会人としての教養も身につけられたと思います  ネパールの目の不自由な人々の生活は厳しく 日本のような便利な電気調理器などありません  ましてや電気もネパール全土に行きわたっていない状態です  その中でどのように自立を目指すか NBSAカトマンドゥ支部は色々模索してきました  まずは毎日行っている身辺の自立から促そう ということになりました  次に社会人としての自覚も持たなければなりません 青少年リーダーシップトレーニングで得た知識を どのようにネパールの仲間に伝えていけるか そのノウハウを学ぼう という結論がでました  対象者はネパールの視覚障がい者の次の世代を担う青年です  リーダーシップトレーニングが難しい中学生には身辺自立を優先しました
また 時々トレーニングを思い出してもらおうと トレーニングが終わるたびに 修了書を渡しました  リーダーシップトレーニングは泰子さんが先に述べましたように 受講者が自分自身で学んだことを消化して実践しなければなりません  しかし生活訓練の方は 保護者が協力的でなければできません  これまで洗濯すらしたことのない人もいました  なぜかと聞くと僕が洗おうとすると 水をたくさん使うからおかあさんが洗わせない と言います  では調理は?と聞くと 危ないからダメだって とのこと  確かにネパールでは視力に障がいのある子供が使える便利な道具が少ない  しかしちょっと工夫をすればできることもたくさんあるのです 生活訓練ではこれを教えました  それと触ってみること 部屋の中をくまなく触らせ 上手に掃除をしたり タンスの整理をさせて 自分の着るものくらいは自分で取り出せるように指導しました

出来ないのではない 教えないからできないのだ 
親も子も 共にもっともっと頑張ってほしい  これが私たちの希望です

編集と文責 渥美よりこ カトマンドゥ在住

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