――――― NBSAネット・ニュース 2005年7月号 ―――――

 

  ネパールの視覚障害者を支える会

Nepal Blind Support Association (NBSA)


人は同じ環境に3日間置かれると それなりに適応するそうです  2月1日に国王が全権力を掌握してから5ヶ月以上が過ぎました  その間にネパールは4月に新年を迎え 雨乞いのお祭りや 結婚シーズンで たくさんのカップルが誕生し 水不足に気をもみながらも稲田は緑に染まっていきました  7月7日 こちらは七夕を祝いませんがネパール国王の誕生日です  様々な思いがだれの胸にもあるのでしょうが いつも通り日は暮れ 目立った騒ぎも起こらず祝賀会は終わりました  この雄大な時間の流
れがネパールの魅力のひとつ と評する人もいます  カトマンドゥ盆地外ではマオイスト派との戦闘が続いているようですが 庶民の日々の流れや楽しみを 何人も阻止する事はできないようです  カトマンドゥ事務所の外から白杖を叩く音が聞こえれば 誰かがドアを開けにすっと立って行きます  私たちもそれなりに状況に適応し 牛歩のようですが ともに手を取り合い 日々の活動に勤しんでいます  

昨年の暮 ネットニュースの号外で青山茂さんのボランティア活動を紹介しました  中越地震がまだ激しい頃 単独で何回も現地に赴いた日本の視覚障がい者の手記です その中で青山さんは 条件さえ整えば 障がい者も様々なところで社会に貢献できることを 自ら実証した と述べています  50日間に及んだ二羽さんのボランティアは そのひとつの証として ネパールの人々のみならず 日本の多くの人々に 深い感銘を与えたことと思います  

二羽泰子(ふたばやすこ)さん 7月4日に無事帰国
50
日間に及んだボランティア活動が終わりました  活動後半はコンピュータートレーニングでした 内容はインターネットとE-mailの使い方  それにホームページの作り方  晴眼者だとほとんどの動作はマウスを使って行えますが ジョーズという音声ソフトをPCに挿入すると 全ての機能が音声で説明されます  ネパールではこれまでPC講師はすべて晴眼者でした  そこで受講者が操作を間違うと 講師がすばやくマウスで修正してしまう  ところが二羽さんの場合は 自分の間違いをコンピューターに音声で説明させ 自分で修正する方法を教えるのです  これは大変に画期的なトレーニングでした  私はホームページ作成のクラスを受講しました  ジョース英語のものすごく早い説明や マウスを使わずに操作する事に 始めは戸惑いましたが少しずつ慣れてきました  ネパールではパソコンを使ったことのある視覚障害者が100人に満たない状態です  遠い遠い将来になりそうですが ネパールの視覚障害者がパソコンを使い 簡単に情報を収集したり メールで会話をしたり ホームページで自分を表現できるようになるでしょう  NBSA現地スタッフも二羽さんのトレーニングを受講しました  需要があれば出張をして 初歩的なパソコン操作をネパールの仲間に教えることができそうです
泰子さん ありがとう お疲れ様でした
(報告 渥美)

次は菅原温子(すがわらはるこ)さんの寄稿文です 
 
ネパール人のよいところ と わるいところ

まずよいところから始めましょう
家族の結びつきが実に強いこと  自分の家族や親戚をとても大切にします 昔でいえば一族郎党 経済的にもお互いに助け合って付き合っています  問題はファミリーの中で解決し 年長者を敬います  誰かが病気になればみんなで交代に 泊まりこみで看病し 夫は勤務中でも妻や子供に何かあればすっとんで帰ってしまいます  うらやましいような家族愛です  
子供を非常に可愛がります  子供にはよい身なりをさせ よい学校に行かせるのに専念しています  このような家族愛はかって日本にもありました  時代の流れで失われていったのが少し淋しく 問題ではないかと思います
ネパールの子供は可愛くって人なつこい  トレッキングに行くと村の子どもが寄ってきます  ほとんどが素足でボロをまとっていますが 黒い瞳をくるくる動かしてその笑顔がとても愛らしいのです  遠くからでも ハロー ハローや ナマステと声をかけてきます  その後にアメ ボールペン 1ドルちょうだいとせがむのが困るのですが  それでも可愛い  子供だけでなく ネパール人は社交性があります マナーなどを抜きにしていえば 上手に外国人と付き合い 相手にいやな感情を与えないよう振舞います

いやなところ
物を大事にしないこと  貧しい国なのに物をすぐ壊す 粗悪品ばかりなのはわかりますが 直しもせずにまた新しいのがもらえる と考えている  貰い根性がついてしまったのでしょうか  また日本人が得意なモッタイナイ精神がない  冷蔵庫がないのも一因ですが 食べ物はその場で食べるか 捨ててしまう  とって置くということをしない  
時間がルーズ  約束時間をまず守らない  ネパールタイムなどといいますが 遊びの時はよくても 大切なビジネスではたいへんなミスです
ルールを守らない事 さすがに車は信号を守っていますが 歩行者とバイクはまるで無視  また順番待ちができないので 銀行の窓口 バス乗り場も割り込み平気 まわりの人たちは何もいいません
計画性がない  何か作るときの手順を考える習慣が身についていない  料理をするときもその都度食材を買いに行くので何回も出たり入ったりするし 車で出かけるときも同様で ルートの短縮など考えていないようです また片付けの順序も決めていません
自分のものは自分のもの 人のものも自分のもの  
私は年間3ヶ月に1度位ネパールに行くのでカトマンドゥに根城をもっています その都度ものがなくなっている  大事なものは残しておきませんが 日常要品 例えば傘 ツメ切り ハサミ タオルなどが無くなっている 使うのはいいが 必ず返す事 とやかましく言っていますが 何しろ人のものも自分のもの 習慣ですからなかなか徹底しません
(紙面の都合で一部省略させていだだきました)

編集と文責 渥美よりこ カトマンドゥ在住
NBSA
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