NBSAネット・ニュース2004年5月

 

ネパールの視覚障害者を支える会

Nepal Blind Support Association (NBSA)

 

会員のみなさん 支援者のみなさん ナマステ

日本では新緑の季節 爽やかな日々をお過ごしと思います  ネパールは恒例の水不足ですが今年は一段と激しく 猛暑も重なり 市民生活に大きな影響を与えています

 

4月のネット・ニュースはお休みさせていただいたので 2ヶ月ぶりとご無沙汰していました  本日は日常の活動報告は省き 現在ネパールが置かれている状況をお伝えします  日本でも多少は報道されているそうですが ネパールはいま 3年前の王室殺人事件のツケが回ってきたかのように 民主化闘争に燃え上がっています 

 

この民主化闘争は 軍隊に強大な法的権限をもつ国王に 政治への介入を止めてくれ という嘆願の意味で4月1日から始まったものです  それ以降ほぼ連日カトマンドゥ市内の軍隊の訓練所周辺 ラトナ公園や大学付近で デモと集会が行われています  それを指揮しているのがネパールの5大政党と下部組織の学生団体です 共同戦線のようですが政党間の意見がまちまちで 国王の政治介入を阻止し民主的な政治を実現させようとする政党  首相の交代だけを求める政党 国王制廃止の完全共和制を求めるものと様々です 先日国王により昨年指名された首相が辞任し 日本でも報道され お聞きになった方もいたことと思います

  

ネパールの国王は政治的権限をかなりの部分で有しますが 1990年の民主化要求闘争を受けて 先代の国王ビレンドラは多数政党制と民主的な選挙を許可し 以後政治の舞台が国民に移行しました  2001年6月先代の国王 ならびに多数の皇族が虐殺される という忌まわしい事件が起こり 当時弟であったギャネンドラが王位を継承 同時に莫大な財産も全て相続しました  ネパールでは国王はビシュヌ神の化身と称され 民衆には天上人のはずでしたが これに真っ向から反対したネパール共産党毛沢東派と名乗る反政府団体が この皇室虐殺事件を境にゲリラ戦をより活発に展開  

 

国王側は軍を完全に掌握し マオ派はテロリスト集団とみなされ 国軍はアメリカなどの軍事援助をバックに激しく対峙してきました  西ネパールの山中に根拠地を置くマオ派は 短期間でその勢力を拡大し 独自の国家経営を始めたのですが 自由平等思想を掲げ多くの民衆の心を掴むに留まらず ほぼ強制連行の形で人民戦線をはり 軍事力を強化していきます  たび重なる全国規模のゼネスト 観光客の減少 経済の長期的停滞などに業を煮やしたことも 今回の1ヶ月以上に及ぶ民主化闘争の要因なのです  

 

それは国王指名の現首相が腑抜けだから マオ派の攻撃が止まらない  いやせっかく停戦を申し出たマオ派に対して国王が 話し合いの機会さえ与えなかったからだ 国王が政治に介入するからマオ派の戦闘が激化し 民衆がそれに連呼したのだ  だからマオ派を包括した選挙と政府を国民が樹立すべきだ 等々意見にまとまりをみません  ただしここ一連の民主化闘争を無駄にしないため 各政党は抜けがけして国王に謁見しないこと  新首相は国民自身が選び 2期に亘った首相の指名を国王にさせないこと などを掲げて本日もゼネストと抗議集会が開かれています  すでに30年という年月が流れましたが 日本の学生運動はどちらかというと 短期決戦というか 満身の力を込めて連日連夜戦っていたと記憶します  ネパールの闘争というのは交通事情 照明設備などの問題からでしょうか それとも生活のパターンを重視するのでしょうか  案外息が長く 毎日数時間決められた時間内で抗議行動を行い 夜間は休憩しているように見受けられます  また決まった場所 むろん人目を引く効率のよい場所での集会ですから 地域のポイントさえ掴めば 観光がまったくできない ということはありません  また南米のように一般のギャラリーがデモなどに飛び入り参加する という過激な感じはありません  外国からの性急な介入さえなければ のんびりと独自の速度で進んでいくように思えます 文責 渥美資子

 

ネパールよもやま話ネット版: ネパールの葬儀 ヒンドゥ教版

 

ネパールの人々は短命です  死は誰にでも訪れる避けることのできない人生最後の行事 と死を平静に受け止めているようなのですが 生前からその後の葬式をえらく気にします ヒンドゥ 仏教徒共々 弔われる場所は違いますがほぼ火葬です  最近ネパールにも小家族制がやっと出現し 特にカトマンドゥ近郊の村では その傾向が顕著で むしろ過疎化や青年の空洞化が問題になっているところもあります 日本だと当然通勤圏ですが カトマンドゥ盆地の外から市内に通勤するのがすごく大変なのです  そこで家を出てカトマンドゥに住み 時にはそこで所帯を持っていく人が増えています  葬式なので短時間で仕上げなければなりません  そこで葬儀を執り行う喪主をあらかじめ決めておくのですが 男性で当人に一番近い肉親から選ばれます 夫が死んでも 父か夫の兄か弟など 女性には通常葬儀を仕切る権利がありません  最近テレビで死の装束というか 化粧というのか オレには顔に赤い粉を塗って 口に火葬の火をつけてくれる人がいなくなった という核家族化を著したドラマが放映されました  そこで近い肉親の女性に点火の役が回ってきたのです  このように変な感じですが 過疎化の中の女性の地位に少しづつですが変化が表れました  現に点火する人の優先順位が緩和されて 女性の遺産相続権に対する見方の差別が徐々になくなりつつあります

 

NBSAカトマンドゥ

 

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