――― NBSAネットニュース 2006年1月号 ――――
年頭の挨拶
新年あけましておめでとうございます
NBSA会員の皆様をはじめ日常よりNBSAにご理解を頂き 多大なるご支援・ご協力を頂いております皆様には すがすがしい初春をお迎えのことと心からお喜び申し上げます
早いもので ネパールの視覚障がい者を取巻く一般の人々と 政府機関へ社会的弱者に対する意識を啓発することを目的に設立された本会も4年目を迎えることになります
昨年は NBSAカトマンドウ支部の正式な立ち上げ カセットテープ・ライブラリー事業の着手 鹿児島市におけるチャリティーコンサートの開催 JICA派遣技術者の受け入れによる生活自立訓練・青少年リーダーシップ指導 第3回盲学生対象のクイズ大会 コンピュータ点字製作国際技術指導講習会 NBSAスタディーツアーおよびネパールの目の不自由な人々2000人に 白い杖の配布開始(カトマンドゥ市内で贈呈式)と多大な行事を実行し 本会にとっても非常に慌しい1年でした
今年は 現地においては カセットテープ・ライブラリーと点字月刊誌という定番を しっかり定着させると共に恒例のネパールこどもの日記念視覚障がい児のクイズ大会およびスタディーツァーを開催したいと思っています 国内においては 横浜市と鹿児島市で講演会を予定しています
最後になりましたが 皆様 本年もご協力 ご支援のほどよろしくお願いいたしますとともに 本年が皆様にとりましてご健康ですばらしい年になりますよう心からお祈り申し上げまして 新年の挨拶といたします
NBSA 会長 上田 耕平
始めました点字月報 Dristi
NBSA初の点字月報ドリスティ 日本語では視線 視力 着眼点という意味になります
1月4日は 点字を発明したフランス人 ルイ ブレイルの誕生日 この日を記念して NBSAカトマンドゥ支部は念願の点字月報を発行しました 日本の点字新聞などと比べると 大変ささやかなものですが ネパールの視覚障がい者が自分たちのもつ 独自の文化に自信をもってもらいたい という希望が託されています 配布先は視覚障がい者が所属する障がい者団体と盲学校などで ほとんどネパール全土に配布されたようなものです その内容はどちらかと言えば情報誌に近く ネパールでは斬新な発想で 大変有益だったとの声も届きました またネパールの人々は詩が大変好きなので これも二編載せました 今年は日本とネパールの国交が樹立し50年目にあたる年です そこで点字月報にも徐々に日本のニュースも紹介していきたいと 考えています
最近のネパールレポート
●窮地に追い込まれているネパールの国王
昨年2月1日 国王が総理大臣を解任 以下閣僚や政党の指導者などを長期に自宅軟禁し 国王が全権力を掌握してすでに1年がたちます あまりに過激な国王のクーデターを前に 一般民衆は真っ向から声をあげることもできずにいましたが 昨年後半から 各政党や民間人の間でも 立憲君主制はもう要らない 共和制にして政治は国民の手で行うべきだ と堂々と表明する動きが目立ってきました 当初保守政党はあくまでも 立憲君主制を貫く方針でしたが 過激派の反政府組織マオイスト派と公然と交渉を開始し 共和制に関する限り 歩み寄りを見せています その反面マオイスト派はあくまで武装闘争を断固貫く姿勢を崩しませんので 大同団結にはまだまだ時間がかかりそうな気配です 一方国王は国軍を掌握しているので強気で 2月8日に地方及び地方自治体選挙の施行を表明 国王指揮下の選挙は認められない とネパールの主力7大政党がこぞってボイコットを呼びかけているので 国王側の孤立が一層深まりました また昨年12月国軍の治安部兵士によるナガルコットの一般住民13人射殺 という惨事は全国民を震撼させ 学生を中心とした過激な抗議行動が全土にわたって展開しました 今後は専制君主政体打破を掲げた 選挙へのボイコット運動が かなりな広がりを見せる模様です
●カトマンドゥは水不足です
普段はダサイン祭りの前後にも 若干の雨が降るのですが 今年は例年より早く乾季が始まったようで カトマンドゥ市内は計画的な停電に踏みきりました 1週間に2度 私のところでは 午後5時半から2時間の停電です 地域によっては夜間7時から1時間半で どちらも夕飯どきで テレビの視聴率が一番高い時間帯をターゲットにしています 仕事から自宅に戻るとまっくら というのはなんとも侘しい気がしますが ローソクの灯りでご飯を炊いて食べると 何だか年中キャンプをしているような気分になってきます ネパールは降雨量が多く それにヒマラヤ山脈の水源を握っているのですが 春の雪解けにはまだまだ遠く また水源から水を市内まで引っ張ってくるだけの設備も技術も不十分です そんな中 ひっそりと喜んでいる人々もいます ネパールの目の不自由な仲間にローソクを作っている人が多いのです こんなときは書き入れ時です 私も明日 もう一袋ローソクを買いに行きましょうか
(報告 渥美よりこ)
ネパールの民話 1
神は初め人間を金で創りました しかし神が金の人間に話しかけても 何の答えもかえってきませんでした そこで神は人間を銀で作りましたが やはり何も話しません 次に神は人間を鉄で作りましたが やっぱり黙っていました 最後に神は燃えている薪から灰と鶏のフンを取り それで人間を作りました 神は 人間よ 人間よ と呼びかけました 人間は始めて口をききました
しかし 神はうんざりして お前を金と銀で作ったときに どうして応えなかったのかね こんなに汚い 不潔な者が私に応えるとは お前はもう死んだ方がいいだろう と言って怒ってしまいました
そのうちに神の怒りも収まり 人に哀れみを感じるようになりました
神は人間を復活させようと 不老不死の霊薬をカラスに持たせ人間の下へ使わせました ところが カラスは秘薬を自分で飲んでしまいました それを知って神はカラスを叱り 焚き火の燃えガラをカラスに投げつけました それ以来 カラスは黒い姿をしているのです
人間が復活すると 神は雄牛を呼びつけ 人間は1日1回食事を取るようにと伝言を託しました
雄牛は人間のところへ行きましたが 人間に毎日3回食べるように伝えました 雄牛が戻ったので 神は伝言の内容を復唱させると 雄牛は はい 私は人間に1日3回食事をするよう命令しました と答えました それを聞いて神は再び怒り もう一度人間のところに戻り おまえ自身で人間を養え 新月と満月の時以外は 人間が毎日3回食事ができるよう自分で働け と雄牛に命じました それ以来 雄牛は毎日働かなければならなくなりました 人間が断食をする闇の夜と月が満ちる日以外は
新春お笑い 1席 (新ネパール語講座)
ある日ひとりの旅行者が ネパール人の家庭に招待されました 野菜をベースにしたネパール料理ダルバートに感激し ミト・チャ ミト・チャ おいしい おいしい と言って何度もおかわりしました 大丈夫かしら あんなに辛いのまで食べて 家族も心配するほどの食べっぷり ところが翌日この旅行者がトイレに行ってわかったのは ミト・チャではなく ピロ・チャ 辛いだったこと
新春早々失礼しました
● お知らせ:ご好評を頂いているNBSAスタディーツァー 次回は2006年3月を予定しています ツァーに関するご質問は随時承っています ぜひご応募ください
編集と文責 渥美よりこ カトマンドゥ在住
本会の活動などを載せた NBSAホームページ:http://at.sakura.ne.jp/~ilte/nbsa/ は最新版の会報誌も掲載しています ぜひご覧ください
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