――― NBSAネットニュース 2007年3月号 ――――

ネパールの視覚障害者を支える会(NBSA)の会員 支援者の皆様

 

3月になると どうしても書かずにはいられないのがホーリーという奇妙で危険な祭りの事です  これは水掛祭りのようなものですが 毎年占星術師が日程を決めます  今年のホーリーは3月3日  日本では女の子の成長を祈る可愛いひな祭りでしたね  ネパールでは子どもも大人も 道行く人に無差別に水をかけてはしゃぎ ずぶ濡れになる日でした  子供たちは前の日から学校が休みになり 普段は試験勉強もしないのに ホーリーの本番に向けて プラスチック袋に色水を入れ むやみやたらに屋上から投下したり 水鉄砲で狙い撃ちするなど全力で予行練習していました  しかし本番は極度な水不足のため 午後4時をまわるとホーリーの波が引きました  先月中旬から毎日6時間の停電が実施されていますが ホーリーの前日と当日は停電なし  会社や官庁が休みであれば電力の消費も減ります  せめて祭りの日くらい一家団らん テレビでも視て和やかに楽しんでください という心配りだったのかも知れません  ネパールは経済的に貧しくとも 精神的ゆとりや安らぎを感じさせる国  ときどきふと 母国日本の慌ただしい生活を振り返ってみることがあります  

なお ホーリーについての謂れ(いわれ)は2006年3月号をご覧ください

 

●活動報告 生活自立訓練会後半

2月25日から27日 サノティミ キャンパスで生活自立訓練会を開催  1月の訓練の続きで 今回は裁縫と調理を行いました  裁縫は糸通しから始まり 1枚の布の四隅を2回ほど運針縫いし 形の違う4種類のボタンを付け 最後に小物袋に仕上げました  参加した学生20名全員が縫い物は初めてでしたが 思いのほか器用で これならワイシャツのボタンが取れても自分でつけることができそうです  宿題 マッチで火をつける

 

翌日 調理の初日はお昼のスナックのロティという平焼きパンと それを揚げたプリにジャガイモのカレー炒めを添えて みんなでいっしょに食べました  これらはインドのナーンによく似ていますが ネパールのものは 小麦粉を水でこねた後発酵させません  あっさりしていて食べやすく 時間がかからずとても手ごろなスナックです  このロティとプリが今回の調理実習の山場で 小麦粉と水の量の割合や形を整えること 火加減など 緊張しないとうまくいきません  ほとんどの人が無難にこなしましたが 中には小麦粉に水をたくさんかけすぎてこねられず ホットケーキ風なものを作った人がいました  

宿題 ワイシャツのボタン5つを布に縫ってくる

 

最終日はネパールの平均的な献立 ダルバードを調理しました  豆のスープ からし菜の炒め物 カリフラワーのカレー炒め煮 それにトマトの漬物の4点セットを作りました  こちらは残念ながら大失敗  水加減が悪くご飯がおかゆのようになってしまいました  それは各自がティーカップ1杯の米をとぎ それに1・5倍の水を入れ大釜に移して炊きましたが 誰か水の量を間違えたようです  大釜で炊いたので連帯責任  全員がまずいと感じたようですが無言で食べました  

 

今回の生活自立訓練会は十分に案を練り 下準備に膨大な時間を割きましたが 受講希望者があまりに多く 細かい指導ができなかった点が心残りです  そして学生の私語がすごく多かったこと  油が煮立った音 ご飯が炊ける匂い 野菜を炒めたときのへらの感触など もっと注意深く体験してもらいたかったのですが 受講者のほとんどがこうした生活自立訓練を受けたことがない若人で 参加できただけでうれしく有頂天そのもの  自分の中学校時代の調理実習を思い出しました  自立に向けてもう1歩 頑張れ男子学生  最後に 今回特に印象的だったのは 耳の不自由な若い男性2名がボランティア参加してくれたことです  目の不自由な人がこんなにも頑張れるんだ ととても感銘を受けたようで 次回の催しにもボランティアをさせてほしいと申し出てくれました  

 

●ネパール関連ニュース

中国南方航空が アジア路線強化に乗り出した  南方航空が新規就航を発表したのは 仙台と札幌のほか カトマンズ ドバイ ルアンダ アンゴラ ニューデリーなどアジア アフリカ10都市  この結果 南方航空の国際路線は18都市から26都市に拡充  同便数では 週136便から182便に増える見込み  

 

チトワン バルディア国立公園のサイが密猟者により生存の危機にさらされている  角の密輸出が目的の狩りで 政府が厳しく監視を始めた  国立公園近辺の学校でもサイの保護の授業が行われていて これは間接的な大人への警告だ  外国人はサイを観に公園に来る サイがいないと観光客が減るので国が困る と教えているのがネパールらしい  

 

ネパールの元反政府武装勢力 ネパール共産党毛沢東主義派の武装解除を監視している国連支援団は 毛派兵士3万852人が国内7カ所の宿営地などに登録し 銃や迫撃砲など武器3428個が封印されたと発表したが 一部では未登録の銃器が残っていると疑問視されている

 

民族問題  先月同様タライ人民の権利フォーラムによる タライ地方の独立と権利要求 暫定憲法に対する抗議行動が続いている  このためインド経由 陸路でネパールに入国するのがかなり困難になった  しかし 空路での入国には問題がない

 

毎度お騒がせしているブッダの生まれ変わり少年 再び姿を消す  飲まず食わずで長期間瞑想にふけっていたブッダの化身が 昨年12月に姿を現したが 再度 周囲が騒がしくなりすぎた と言って失踪した  こう度々現れたり消えたりを繰り返す少年に 信心深いネパールの人々もさすがに嫌気がさしたようで 信者も懐疑的である さらに少年の後援会は拝顔料を入金していた銀行口座を凍結していたそうだ

 

●少しずつ変わっていくネパール

暫定憲法は出来上がったものの新政府の発足が遅れているが 国の様々なシンボルに検討が加えられている  国章 従来のものは国旗 国鳥 国獣 王冠 軍人 ククリのナイフなど国家権威色が強かったが 新デザインは ヒマラヤをバックにネパールの地図 国花のラリーグラスの花輪の中で握手する女性と男性の手 と庶民的レベルになった  国獣はアンケート調査を基にして引き続き牝牛が採用された  国歌は検討中である  紙幣は歴代の国王のイラストがデザインされていたが ラリーグラスやエベレストに変わる  紙幣について言えば 昨年の民主化以後にギャネンドラ国王のイラスト入り50ルピーが新札として登場したばかりなので もったいない手持ちのものは使い切ろう という声も上がっている  しかしそのうち貨幣としての価値がなくなってしまわないか少々心配だ  

 

●ネパールの民話 16 神と人とネズミ

はるかな昔 神と人が協力しあって暮らしていたことがあったそうな  その中に女神と結ばれた男がいました  ある日 女神の父の神が下界にやってきて 人間の男にいっしょに狩に行ってくれと頼みました  しばらく歩いてから 神は男に「わしは犬を連れて 川下へ行くからお前はこの丘で寝ずに待っていてくれんかね」と言いました  

神は丘や谷を下ったり登ったり川を渡ったりして 動物の足跡を探しましが ひとつも見つけられませんでした  おしまいに神は男のところへ戻り 動物を見たか尋ねました  男はなんの生き物も見なかった と答えました  

しかし 犬は男が立っていた周りの地面をしきりと嗅ぎ続けました  

「もしお前が動物を捕まえていたら 隠さずに言いなさい」と神は言いました  

「なあに 小鳥がこの辺に飛んできただけですよ」と男はしぶしぶ認めて 地面に置いておいた帽子を取るとそこに小鳥が現れました  

神はこの小鳥を拾い細かく引き裂きました  神は天国に住む神々の4箇所の土地に この小鳥の肉をささげ 残りを家に持って帰れるよう男に与えました  男が家に戻ると妻は機織りの部屋にいました  

「見ろ お前の親父の獲物はこんなわずかな小鳥の肉だけさ」

と男は怒って叫び 肉片を機織に投げると機織りは7つのかけらになって 飛び散りました そのひとつが妻である女神の足に当たってけがをしました

神は男の仕打ちを知って もう人間と関わるのをやめようと決心しました  神はこれが最後と思い男を天国に招いて 強い焼酎を泥酔するまで飲ませました  そして神は娘の女神を男の家から連れ出し 男から隠してしまいました  男は地上に戻されました  かなり後になってから 男は家でひとりぼっちになったことを悟りました  もう妻はどこにもいないのです  男は妻なくして この先どうやって生きていけばよいのかわからず 長い間深い悲しみに沈んでいました  神はこの様を見て 男の心無い行いへの仕打ちではあったにせよ 哀れをもよおしました  神は地上に降りて男にこう言いました  

「こうしているより潅木の茂みを取り除き 自分の糧を育てたほうがよいだろうに」

「私には何もない いったいどこで種を手に入れればよいのでしょうか」

と男は言いました  神はネズミを遣わしこう言い付けました  

「あの男に作物の種が必要だ  7つの海のかなたから男に種を持ってきておくれ」

「じゃ その代わりに何をもらえるの」

とネズミは神に尋ねました  

「まずは種を持って来たまえ さすればお前自身が報われることになるよ」

と神は言いました  

ネズミは七つの海の下にトンネルを掘り 海のかなたでトウモロコシでいっぱいのビンを見つけました  ネズミはそのトウモロコシを持ち帰りました  ネズミはもういちど出かけ 今度は男のために雑穀をもたらしました  そこでネズミは神に言いました  

「さて 私にごほうびをください」

すると神はこう言いました  

「おまえは農場と穀物倉の主となるだろう  そして お前は男が骨を折って作った農産物を一番初めに味わえるだろう  お前が食べ終わった後にだけ 男は食べてよいのだ  男はお前とお前の子孫を追い払おうとするだろう  そのために男は罠を仕掛けたり 毒を盛ろうとするだろさ  でもね これからお前の子孫は10万倍も増えていくんだよ  

 

●「NBSAチャリティーコンサート&現地活動報告」のご案内

日時 平成19年4月28日 土曜日  13時30分開場 14時開演から16時20分まで  場所 かごしま県民交流センター 2階 中ホール

コンサート ソプラノ独唱 八木まゆみ  ピアノ伴奏 田中利絵  コーラス コール吉野  女声合唱いしき  NBSA現地活動報告 渥美資子 NBSA副会長 カトマンドゥ在住  みなさまのご来場お待ちしています

 

●編集者から休刊のお知らせ  4月は総会のため一時帰国しますので NBSAネットニュースの4月号は休刊とさせていただきます

 

編集と文責 渥美よりこ カトマンドゥ在住

2007年3月14日

 

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