――― NBSAネットニュース 2007年5月号 ――――

ネパールの視覚障害者を支える会(NBSA)の会員 支援者の皆様

また ひとつの季節が巡ってきました  ネパールは早くも雨季に入ったかのように じめじめとした毎日が続いています  
だれにでも雨にまつわる思い出話や 雨から連想する音楽があるのではないでしょうか  ネパールにも様々な雨にまつわる民謡などがあります  私の場合 サマセット モームの「雨」を思い出します  絶え間なく降り続く雨の晴れ間に描かれている 自然におおらかに生きるパゴパゴ島の土着の人々の描写が 心なしか ネパールの人々を連想させるのです  たしか近代人の宗教観や道徳心に 疑問を投げかけた小説であったと思います

ネパールの新年は4月に始まり 雨季の間は結婚ができません  そこで滑り込みセーフカップルの 花嫁を迎えに行くににぎやかなラッパの音が あちこちから聞こえてきます  せっかくの花嫁衣裳が雨でぐしょぐしょになり 決してドラマチックな恋愛結婚ではないにせよ 楽しかった思いで話しとして人々の間で長きにわたって語られていくことでしょう   
 
クリケット 大人気
2007年4月と5月は特にセミナーなどを行わず 定例活動に専念しました  他方 最近キャンパスの盲学生の間で流行っているクリケットの試合に カトマンドゥのスタッフも熱を上げ  勉強を兼ねて何人かが観戦に行ってきました  クリケットは日本では馴染みのないスポーツですが いわば野球のようなもの  ピッチャー キャッチャー バッター3者が中心になります  4月にパキスタンから来たコーチの指導の下に 盆地内の3地域 カトマンドゥ バクタプル キルティプル在住の視覚障がい者が対抗試合を行い  キルティプルが優勝しました  ピッチャーは音の出る玉を超スピードで転がし バッターがそれをすくうようにして打ちます  グランドのしかも騒音の多いところで行ったので 大変な集中力が必要です  各チームに全盲 強度弱視 軽度弱視者を均等に混合し 全盲の人は代走者を立てますが 弱視の人は自力で走らなければなりません  見ていてハラハラしましたが 誰もけがをすることなく 無事に試合が終了しました

また 障がい者もスポーツを楽しもう という機運がネパールにも到来し 少数の目の不自由な人々が 卓球 柔道 短距離走に挑戦しています  また NBSAが開催したネパールの視覚障がい者を交えたトレッキングは 伝説となっていまだに語り継がれています  
最近では 体にロープを巻きつけて 橋から飛び降りるスカイ ダイビングに挑戦した男性が話題になりました  しかし 残念ながらこうしたスポーツを楽しむのは男性ばかりで 女性のスポーツ選手はいません  もう少し女性が気楽に参加できる社会になってほしいものです  

ネパール関連ニュース
 一歩前進二歩後退 ネパールの総選挙延期
6月20日予定されていた総選挙が今年の11月に延期となった  選挙管理委員会が現状では選挙の実施が不可能と判断したためである  有権者の多くは適切な判断と評価したが 諸政党は不満の意を表した  延期のきっかけを作ったのは南ネパールのマデシ フォーラムの叛乱であったが 今度は丘陵地帯の諸民族の間で 差別の撤廃や平等の機会を求める改革の機運が高まりつつある  

 ダルの「水基金」第1弾はネパールに決定  5月15日日刊スポーツ
日本ハム ダルビッシュ有投手が今季から社会貢献活動として設立した「水基金」の実施先が所属マネジメント事務所から発表された  同基金は1勝ごとに10万円を 発展途上国へ寄付し 井戸の掘削事業、飲料水確保のために充ててもらうもの  4月7日のソフトバンク戦の今季初勝利分を 協力団体でもある特定非営利活動法人「日本水フォーラム」を通じ1回目はネパールの農村地域にある学校へ贈ることに決まった 

 野口さん チョモランマ登頂=ネパール チベット両側から成功 5月15日時事通信  
世界最高峰のチョモランマ=エベレスト 8848メートル へのチベット側からの登頂に アルピニストの野口健さんが15日午前8時(日本時間同日午前11時15分)成功した  野口さんは1999年 ネパール側からの登頂に成功しているが チベット側からは1997年に一度撤退しており 10年ぶりの挑戦だった  野口さんは既に世界7大陸の最高峰を制覇しており NPO法人富士山クラブ理事  今回は「富士山 エベレスト同時清掃活動」と登頂のため 3月に日本を出発していた  チベット側とネパール側の両方からの登頂成功は日本人では8人目だという

 チョモランマでフルマラソン ネパールで5月29日開催予定 5686分配信
Record China
2007年5月29日に開催が予定されているチョモランマ世界最高海抜マラソン大会に向けてネパールでは3月17日から測量作業が始まった  フルマラソンのコースは海抜5356mのネパール側ベースキャンプを出発し 海抜3446mのナムチェバザール村まで走るというもの  今年はネパール国内から約100人外国から約50人が大会に参加する  そのうち欧州から視覚障がい者ひとりが参加する予定があるそうだ 

カトマンドゥ盆地3都物語  
ネパールの史実に残っている王朝は 5世紀から8世紀のリチャビ王朝と言われている 次に登場するマッラ王朝は 分裂を重ねながらも18世紀まで続き カトマンドゥ盆地内に優れた建築 工芸文化を開花させた  マッラ王朝の壮麗な建造物や美術 工芸 音楽などの芸術は 次代のシャハ王朝にも継承され 今日に至るまでカトマンドゥ盆地の重要な観光名所の地位を占めている  3回のシリーズで カトマンドゥ盆地内のマッラ王朝芸術が開花した3都市 バクタプル パタン カトマンドゥを紹介します

第一回目 バクタプル 旧名 バドガウン編
カトマンドゥから約15km東  公共バスで30分のところにある  西暦889年にアナンド マッラ王により築かれた  攻防には向かない地形にもかかわらず 周囲には豊かな穀倉地帯が広がり  財源が豊かであったため繁栄した  1934年の大地震で 中世の香り高い町街並みにかなりの被害を受けたものの 30年に及ぶジャーマン プロジェクトの修復工事でほぼ元の姿に戻っている  バクタプル最大の見所は旧王宮広場の寺院郡 木彫りの装飾が美しい歴代のマッラ王の居城 そこから2分ほど歩いたニャタポラ寺院はネパールで一番高い五重の塔の寺院  これだけでも十分感激できるだが 時間がある人はさらに東に向かって10分程 足を進めてもらいたい  ゴマディトーレと呼ばれるレンガを敷き詰めた細い道沿いには 庶民的な茶屋 菓子屋 日常雑貨屋 みやげ物屋が所狭しと軒をつらね 中世の人々の生活を彷彿させるような情景に出くわす  行き着くところは荘厳なダッタトラヤ寺院  そしてネパールの工芸美術の頂点と言われる 15世紀の木彫りの孔雀窓が美しい  こちらは車が入れるのでドリケルからの帰りに寄ってもよい  入場料1・uOドル もしくはネパールルピー等価が必要 

ネパールの民話 17 女神の贈り物
むかし むかし ある男が夜ひとりでバネパの野原を歩いていると 赤ん坊を抱いた女に出会ったそうな  
「すみませんが赤ん坊を抱いてくれませんか」
と女が頼むので 男は赤ん坊を抱き無言で後について行きました  女は夜のしじまの中を駆けるように急いで歩いて行きました  ようやく 女は大きな館に着きました  女は男から赤ん坊を抱き上げると 中に入り 戸口で待つよう男に言い渡しました  

家の中には誰もいない様子なのに 大きな物音が聞こえてきます  たぶん大勢の人が宴会でもしているのだろう そして何かの動物を切り分けて 料理を皿に盛もっている音ではないか と男は思いました  女の声が 一皿余分に盛るように と命令している声も聞こえます  
「うちの子を抱いてきてくれた人にあげるんだからね もうひとつ皿を用意してちょうだい」
と女は言っているようです  やがて女は下に降りてきて 生肉をいっぱい盛った皿を男の前に差し出しまた  なんと 驚いたことに 皿には人間の指や骨が盛ってあるではありませんか  
「それを家に持って帰って4日間隠しておきなさい」
と女は言いました  
こいつはやばい と心の中で警報器が鳴っているような気がしましたが 男はひとまずこの不気味な贈り物を家に持って帰り 部屋の中に隠しました  5日目に男がそれをみると これはまたなんと なんと 生肉や骨が黄金や高価な宝石に変わっているではありませんか  
これを見て男は あの夜出会った人は チャンデシュワリの女神に違いない と思いました  そして 男は女神から授かったすばらしい贈り物にとても感謝し バネパ郊外にあるチャンデシュワリ寺院への道をきれいに舗装したそうな  めでたし めでたし  

【事務局便り】
4月28日に開催された総会とチャリティーコンサートの報告

2007年度NBSA総会は平成19年4月28日(土)午前11時15分から かごしま市民福祉プラザ ボランティアセンターにおいて開催  議題は2006年度事業報告と決算報告および2007年度事業計画と予算案で いずれも原案通り承認されました  NBSAネパールの視覚障害者を支える会「NBSAチャリチィーコンサートと現地活動報告」 本会主催の上記行事は 総会前後に準備を行い かごしま県民交流センターにおいて 予定通りに13時30分に開場  14時に開幕、予想以上の聴衆参加のもと 大盛況の内 予定通りに16時20分閉幕 会場整理 後片付け   大変好評でした   詳細はNBSA会報6月号に掲載予定  

編集と文責 渥美よりこ カトマンドゥ在住
2007年5月18日

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