――― NBSAネットニュース 2007年10月号 ――――

ネパールの視覚障害者を支える会(NBSA)の会員 支援者の皆様

やっと暑さから解放されて 日本も過ごしやすい季節が巡ってきた頃だと思います  ネパールはいま秋の大祭ダサインの真っ最中  このところ続いた政変の緊張感から解放され 誰もがのんびりと家族の団欒を楽しんでいます  青い空には凧が上がり 年一回英気を養うヤギのご馳走を作る おいしいカレーのスパイスの香りが漂ってきます  

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活動報告 定例活動 
本年度のカセットテープ小説の作成目標40本はすでに越えて 現在90冊目の制作に入っています  この話す本 トーキングブックは老若男女 誰にとってもかなり人気のあるプロジェクトですが NBSAはかなり渋めの点字の情報誌も作っています  こちらは点字を習ったことのある人向けですので 盲人の就学率が低いネパールでは 読める人がほんの少し  それでも頑張って隔月で発行してきました  しかし 残念なことに先日宝物の点字印刷機が故障してしまいました  現在修理中ですが ハイテクとは縁の薄いネパールでの故障 部品の調達などままなりません  この調子だと次回の点字マガジン発送は1ヵ月後になりそうです

10月18日 ダサイン大祭記念 NBSAオールナイトコンパ なんと男女合コン
本来この日は 勝利の女神のドゥルガにヤギなどのいけにえを捧げ その後お供えヤギを家族全員でたいらげる という慣わしのある日  言わば家族の厳粛な儀式を行う日にNBSAはなぜかパーティーをしました  暇で行くとこない人 故郷があまりに遠い寮生 はては最近駆け落ちし 家に戻れない盲人学生カップル そしてボランティアなど 様々な人が事務所に集い 盛大に飲み食いし遊びました  
最初はダサインの縁起物 竹で組み立てられた巨大なブランコのピンに挑戦  近所の小学校に高さ10mのブランコが設置され 一般公開していたのでかさず便乗  かなりずさんな竹のブランコに初めはぎょっとしたけど 弾みをつけやすく風を切ってぐいぐい空に向かって上がっていく  ほとんどの人がブランコは初めてだったのに 楽しくってなかなか順番を譲らない  近所の子どもたちのひんしゅくをかってしまいました  
その後は事務所に戻って大宴会  肉をふんだんに食べ ビールもかなり開けました  さて ディナーが終わったので 女性に帰宅するよう促したのですが 数名が不公平と声を上げ そのまま逗留した女の子もいました  私は早めに引き上げたのですが 飲めや歌えや踊れやで かなり遅くまで盛り上がったようでした  何事もなくめでたし めでたしでした 


ネパール関連ニュース  
9月上旬 新札登場 
これまでネパールのお札には必ず国王の肖像が印刷されていたが 高額紙幣順にこれが改められている  新札の図柄はヒマラヤなどをあしらったもの  旧紙幣も当面使用可能 
 
9月18日 共産党毛派が暫定政権離脱
ネパール暫定政府を構成する旧反政府組織のネ共産党毛沢東主義派は9月18日連立政権を離脱した  毛派は約240年にわたって続く王制を即時廃止し 共和制と連邦制の導入を宣言するよう一貫して求め 与党のネパール会議派などと対立が続いていた 

9月22日 ヒンドゥー教のインドヨガの大家 ネパールで実践教育活動  
バクタプルの特設会場にヨガのファンが推定5万人参加した 参加者によれば大家は筋肉強化から内臓の動かし方まで かなり高度な技も披露したそうだ  驚いたことに無神論者の元マオイスト大臣マハラ氏もヨガの大家に会見し 記念撮影まで行った

9月25日 国の安泰を祈願するインドラジャトラ祭に首相出席
生神クマリの少女を詣で 国の安泰と時の支配者が祝福を受けるインドラシャトラ祭に 今年は 国王に代わり 国家の最高責任者として首相が参拝した  しかし首相が去った後 夜が更けてから国王が独自にクマリの館を詣で 一般大衆の反感を買った 

10月1日 日本大使館近くで爆発 被害なし 
首都カトマンズの日本大使館に近い地元治安当局者宅に1日 走行中のオートバイから爆発物が投げ込まれ 爆発した  威力は弱くけが人はなかった  現場は大使館から数十メートルで 職員も爆発音を聞いた  オートバイには男2人が乗っていた 警察はテロとみて調べている  

10月5日以降 選挙延期決定

ネパール暫定政府は恒久憲法制定に向け11月22日に予定していた制憲議会選挙を無期限に延期する方針を選挙管理委員会に伝えた  9月に同政府から離脱した旧反政府勢力の共産党毛沢東主義派が選挙制度をめぐり対立 妥協点を見いだせなかったのが原因  これを受けて毛派は10月3から5日にかけての全国的大型バンダ ゼネストを撤回した  しかしながら 14日に始まった 暫定立法府の特別議会でも政府側とマオ派が要求する 2項目 共和制と連邦制の折り合いがつかずダサイン休みに入り 議会は11月に再開する予定  この制憲議会選は当初予定の6月から1度延期されていた  再度の延期により 国家再建プロセスに大幅な遅れが生じる事態となった  

9月と10月はネパールの政局が大きく揺れ動き 各所で集会とデモが行われて 毎日はらはらさせられました  しかしダサイン休暇が近づくにつれ カセットテープを借りに来るビジターが増え 事務所内は活気付き 楽しい日々が続きました  さて 次はおなじみ 人気者のネパールの民話です  今回はとっても神秘的なお話です はじまり はじまり

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ネパールの民話 22 ラウテの血筋
昔むかし 遠い遠いジュムラ郡のダカルダタ山脈に ナリという男がいました  ナリは鳥や獣に罠を仕掛たり 猟をして暮らしていました  ところがある日 ナリは罠にかかったはずのけものが逃げたのを知り とても不思議に思いました  そんなある日ナリが新しい罠を仕掛けていると 突然、森からひとりの男が現れました  その男は少しためらいましたが ナリを捕まえてさらっていきました  

森の男は 自分の住む大きな洞穴にナリを連れて行きました  洞穴には男の妻がいて 一日中臼で雑穀をひいていました  しばらくして 森の男はナリを担ぎ 崖を登っていきました  森の男の妻がその後に続きました  一向が崖っぷちに来たとき ナリは妻を押さえつけ森の男を蹴り倒しました  森の男は崖から落ちて死に 川を流れていきました  ナリは大声で助けを呼び 村人が駆けつけてきてナリを救いました  村人は森の男の妻も村に連れて行き ひとりの男がこの女を妻にしました  しかし この女は一言も話をしません  この女ができることといえば 微笑みながら雑穀をひくことだけでした  時は流れ去り 女は5人の息子を産みましたが 相変わらず何も話しませんでした  

ある日 誰かが女のひき臼を持ち出し どこかに隠してしまいました  女はひき臼がなくなっていることを知り 大声で叫んだ後 急に死んでしまいました  

これが先住民ラウテの女の物語です  いまでもこのような種族の血を引いた人々の村がネパールにあります  そしてこうした人々は森の人と呼ばれています  

注 ラウテ族 ネパール西部で狩猟 採集と物々交換をしながら移動生活をしている集団で 人口200人以下と言われる  

編集と文責 渥美よりこ カトマンドゥ在住
2007年10月22日

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