――― NBSAネットニュース2007年12月号 ――――

 

ネパールの視覚障害者を支える会(NBSA)の会員 支援者の皆様

 

ポインセチア  ネパールでは冬の訪れを告げる花  日本ではクリスマスのリボンのような木ですが ネパールでは野にも山にも真紅の花が咲き乱れます  カトマンドゥのポインセチアはホコリをかぶってちょっと落ち込み具合ですが  夜の寒さにじっと耐え 昼間の陽光を十分浴びると 色鮮やかに輝きだします  冬至が近づくと 黒砂糖を煮詰めた甘いお菓子が店先にならび 人々も自然とカロリーの高いものを摂取するようになります 人工的に管理された日本の食生活と違い ここネパールでは動植物も人も自然の中にあり それぞれが寒い冬を越す知恵を心得ており 本当にたくましい限りです  

 

12月の16日からネパールは最も寒い時期 プース月そしてマーグ月に入ります  年内の活動が残り数点ありますが それらが終わると図書の貸し出しなど 定例活動に専念します  2007年皆様のご支援本当にありがとうございました  どなた様もどうぞよいお年をお迎えください

 

●活動報告 12月3日 国際障がい者の日 祝典に参加

日本ではまったく知られていませんが ネパールでは毎年祝っている行事です  今年も動物園からゾウを借りてきて カトマンドゥの目抜き通りを行進しました  ゴールは障がい者団体の建物が多い ブリクティマンダップ  推定1万5千人の人々が参加した集会が行われました  今年のスローガンは 障がい者のために最大の努力を という政府に向けたアピールでした  私たちはネパールでは数少ない視覚障がい者のためのボランティア団体で 参加者は多くなかったのですが 揃いのユニフォームで異色を放ち 目の不自由な方々が道路を横断するときは このようにサポートお願いしますと書いたビラ2000枚を 交通警官などに配りました  

 

12月8日 カトマンドゥ親の会ミーティング開催 

視力に障がいをもつ学童の父母を対象に NBSAは啓発活動を行い父母の結束を促しています  これまで地方都市ではスムーズに話しがまとまり 親の会がすみやかに結成されました  一番歴史があり コミュニケーションが容易なはずなのに カトマンドゥの親の会はなかなか団結ができない  今年中にもう一度カトマンドゥの親を集めて話し合いを行い  2008年早春に全国会議を実現するよう頑張ります    

 

    輝いています日本の中高年

NBSAは 様々な方から様々なご支援を頂いています  今日ご紹介するのは英語の点字本を作成し カトマンドゥに直接点字本を送ってくださる方々の活動です  メンバーは日本の中高年の方々です  これまで日本の民話や探偵小説などを頂きましたが 最近では世界的に有名な小説や童話も送られてきます  ネパールの若い視覚障がい者の視野が少しでも広がるようにとの配慮だそうです  いつもありがとうございます

神戸シルバーカレッジは93年9月神戸市福祉局により開校された 老人学校 3年制  各学年400名 4コース 57歳以上です  課外活動として 体育系クラブと文化系グループ合わせて約70あり KSC Kobe Silver College英語点字グループは2004年4月 学生の有志が視覚障がい者の指導者より学習した 英語点字を基にボランティアグループを設立しました  

シルバーカレッジの卒業生有志は1997年7月ボランティアグループ「わ」2004年NPO法人に認可 を設立しました  KSC英語点字グループ卒業生有志が「わ」の中に英語点字グループを設立し 現在 在学生16名と卒業生20名有志が共同で  英語点字ボランティア活動をしています  

活動は 月1回例会で 情報交換 点字の勉強 印刷 製本 発送等を行い  会員各自自宅で点訳 校正 編集等行っています  海外支援は東南アジアの英語圏国ネパール ブータン バングラディシュ ミヤンマーの点字図書館 盲学校 視覚障がい者を支援する会等に 点字本約250冊 英字本27冊分を贈り 寄贈先から大変喜ばれています 

今後の計画は上記の国々への寄贈継続とタイ フィリピン カンボジア マレーシア スリランカの盲学校 盲人協会 財団 連盟 視覚障がい者親の会 慈善団体等 への寄贈先候補を検討しています  

点字本の予定は 英字本15冊は点訳完了 点字翻訳40冊は寄贈準備中 英字本10冊を会員が頑張って点訳しています  KSC英語点字グループ活動はすべてボランティア活動です  KSC英語点字グループ  OB 吉田定由


●私とネパールとの出会い  ネパールが大好きな会員 本庄瑞子さんの思い出話 
ボソボソのご飯に にんにくやコリアンダーで味付けした豆のスープをかけるダルバートがネパールの常食  特別に美味しいと思わないし あの独特の臭いは好きではない  だけど思い出すと無性に食べたくなる  ネパールに入れ込んで十年  せっせと通った回数は 次回で二桁になってしまいます  

私とネパールとの出会いも ネパールを訪れる大半の旅行者と同じように ヒマラヤの山々の憧れからでした  旅行会社のパンフレットで出会った白い峰々と その谷間に可憐に咲くブルーポピーの花に魅せられてしまったのです  


初めて足を踏み入れたネパールは八月  雨季の真っ只中だと聞いてきたのに カトマンドズの街には 強い太陽の光が降り注いでいました  今にも壊れそうなレンガの家々  

土埃の舞う道路  茶色一色の街に原色のサリー  スパイスや排気ガスそれに牛の糞の臭い  丁度 何かのお祭りの最中だったらしく 街中 路上にも人人  ヒンズーの神様達も 牛も一緒くたになって溢れかえっていました  その中で感じた 跳び上がりたくなるような解放感は 未だにネパールに行くたびに味わっています  

 

喧騒のカトマンズと打って変わって ヒマラヤの山々は正に雨季でした  当所予定していたランタン谷は 厚い雲の為ヘリが降りられず ポカラからアンナプルナ方面へのトレッキングと変更になりました  雨が降ったりやんだり  道端の葉っぱの上には 3センチ位のヒルが並んでユーラユラ  頭を揺すりながら獲物を待ち構えています  ぬかるんだ険しい坂道と このヒル達には閉口したけれど 頼もしいシェルパやポーター達とのトレッキングは 本当に夢のような毎日でした  モーニングテイーでの目覚め  デザート付き 予想外の豪華な食事  時折雲の晴れ間に現れるヒマラヤの巨峰には 久々に胸がときめいていました  そして最終日のキャンプ地に着く直前 とんでもない事をしでかしてしまったのです  

 

自業自得 身から出たさび  昼頃から降っていた雨が上がって 美しいマチャプチャレが姿を見せてくれた嬉しさに 両手を挙げて万歳  その拍子に転んで足を捻挫してしまったのです  帰国後 全治1ヶ月の複雑骨折と診断されました  幸か不幸か 最後の一番ハードな行程は シェルパの背中の上で終える事になりました  まるで天狗に背負われているようです  私より小さな体で 素足にゴムぞうり  凄い坂道を跳ぶように降りて行きます  申し訳なさも 痛さも忘れて 白い山 緑の村を堪能させて貰いました  

この少しばかり衝撃的な出会いから 何がネパールへ気持ちを駆り立てるのか 今改めて考えてみると 自分を元に戻す為かな と思います  いい加減だけどやさしい人達  ゆっくり のんびり流れる時間  幼い日々を彷彿とさせる懐かしい町や村  ネパールを訪れると 水から上がった犬が 体をブルブルっと震わせるような そんな気持ちになれるのです  

 

●ネパール関連ニュース

調理用プロパンガス ガソリン不足改善されず

ガソリンはすでに10ヶ月 生活に最も重要なポロパンガスが不足しすでに2ヶ月以上たったこのあおりをうけて すべての物資が便乗値上げを始めた  特にタクシー代や貸切バス代の上昇は痛手で 旅行者から不評を買っている

 

新2ルピー硬貨登場  どちらが裏か表かわからないが 共にバックがヒマラヤで さらに片面は農耕牛と牛追う男が描かれている  ちょっと見可愛いのだが 刻みが薄いのでしばらくしたら摩滅しそう  今回の新コインもアラビア数字が書かれていないのが難点

 

11月21日 元米大統領ジミー カーターがネパールを訪問

ネパールで活動するカーター センターの視察が目的だったようだが 政府高官やマオイスト党党首とも会談を行い 早期の選挙実現を訴えて足早に帰っていった とりたてて影響もなく 印象がすこぶる薄い元大統領だった 

 

12月5日 時事通信 氷河湖決壊で大洪水の危険 ヒマラヤに温暖化の影響

インドや中国 ネパールなどヒマラヤ山脈周辺国が参加する国際機関 国際総合山岳開発センター 本部カトマンズのシュレスタ調査局長は5日 日本記者クラブで講演し 地球温暖化の影響でヒマラヤの氷河が溶けて巨大化した氷河湖が決壊し 大洪水が起きる危険性が高まっていると警告した  ヒマラヤ山脈の200の氷河湖で決壊の危険があり 洪水が発生すると 氷河湖の下流にある集落だけでなく 水力発電所や道路 橋などのインフラが損害を受ける  シュレスタ局長は 温暖化には自然要因と人為的な要因があるが 人為的要因だけでも対処していく責任がある と述べた    

 

    ネパールの民話 最終回 24話 シジャ王国の滅亡     

ある日 シジャの国王は裁判を行いました  そこには知識の豊富なラマ僧が参列していました  突然ラマ僧がなんの理由か大笑いをし 王を驚かせました  

「どうしました  何がおかしいのですか」と王は尋ねました  

 「いやなに クマオンガダーでご婦人方が踊っているのを見ていただけですよ」とラマ僧は言いました  

「そのご婦人のスカートが落ちてね  それがあんまりおかしかったので みんな大笑いしたんですよ」

「一体どうやってそれを観たのです」王は不思議に思いました  

「もし 私をお疑いになるのなら 誰かを送って確かめてはどうですか」とラマ僧は言いました  

 

そこで 王は直ちにふたりの男をクマオンガダーに送り調査させました  そこは シジャ王国から西の方へ何日も歩かねばならぬほど遠いところでした    

数日後 他の裁判の最中 ラマ僧はいきなり起き上がり かがんで自分の袈裟の袖を絞るかっこをしました  すると なんと袖から水がしたたり落ちたではありませんか  王は不思議に思い その訳をラマ僧に尋ねました  ラマ僧は 数日前に王が クマオンガダーに派遣したふたりの男が 川におぼれそうになったので救ったのだと言いました    

 

数週間の後 調査に行った男たちがシジャに戻り 王にダンスの途中に女のスカートが落ちたと報告しました  さらに男たちは 溺れかけたのに奇跡的に助かったことも話しました  

王は ラマ僧が見せた魔力にたいそう感激しました  しかし 王はもう一度ラマ僧の力を試したくなって こう言いました  

「おお ラマ僧よ  本当に善いことをしてくれましたね  ところで あなたは人にどんな危害を加えることができるのか 確かめさせてください」

 

そこで ラマ僧は村全体が破壊されるほどの大地震を引き起こしました  王の軽はずみな言葉で 結局 王国に残ったものは何もありませんでした  今日 私たちが見出せるものは 王の宮殿が建っていたと云われる丘の麓に点在する 2 3頭の石のライオンたちだけです  

 

How the kingdom of Sija came to an end  11月号でご紹介したムグ郡ララ湖畔の民間伝承の物語です  

 

民話の終わり  ネパールの民話は話しの終わりを はやし言葉で幕を閉じます  

話す人には花の輪

聞く人には金の輪

このお話しは天に行く

話すときにはすぐ来る

バンナライ フルコ マーラー

スンナライ フルコ マーラー

ヨ カター バイクンタ ジャーラー

バンネ ベラ タータタイ ジャーラー

バンネ ベラ タータター アーイジャヤーラー

 

2年間にわたって読んでいただきましたネパールの民話は大変好評でしたが 今月号でいったん幕を閉じます  またいつの日か ネパールの民話をお聞かせしましょう  来年からゴルカ兵の話をお届けします  

 

    スタディーツァーのご案内  2008年1月22日出発−1月29日関空着

来年はどうしてもネパールで冬のヒマラヤをみたい という声があがり急遽スタディーツァーを行うことにしました  年末の忙しいときのお知らせですいません  興味のある方は直接カトマンドゥ事務所にお問い合わせください ネットでスケジュールや観光スポットなどお知らせします  

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編集と文責 渥美よりこ カトマンドゥ在住

2007年12月10日

 

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