――――― NBSAネット・ニュース 2004年7月 ―――――

 

  ネパールの視覚障害者を支える会

Nepal Blind Support Association (NBSA)

 

 

日本は本格的な夏が巡ってきて 毎日がさぞ暑いことと存じます

会員 支援者の皆様 どうぞご自愛ください

 

さてネパールも同様です そして洪水の季節がやってきました  今年はモンスーンが遅れ 田植えがままならなかったのですが 1週間ほど前から猛烈な雨が降り出し 各地で洪水の被害が発生しています とくにひどいのは インドと国境を接するタライ地方で 浸水 家屋ごと流されるなどの災害が発生しています  この時期タライを訪れる旅行者は少ないのですが 通年を通して人気の高いカトマンドゥ ポカラ間の陸路 プリティビハイウェイ(こちらのハイウェイとは長距離舗装道路のこと)の崖くずれ 東部山岳地帯の土砂くずれが心配です この期間陸路で旅行される方は 事前に詳しい情報を収集することをお勧めします  農作物にも被害が出始め せっかく植えた稲が大量に流されてしまいました

 

NBSAアナウンサー養成講座を開講

本年度はNBSAが独自にカセットテープライブラリーを発足させます この養成講座はその事業の一環で 約15名の目の不自由な人々と晴眼者が一緒に受講します  本来の目的はテープライブラリーのアナウンサーの養成でしたが 目の不自由な学生やボランティアにも受講してもらい 楽しみながら人前でスピーチする自信をもってほしいと思い企画しました ネパールの人はけっこうおしゃべりなようですが 大勢の人の前で スピーチや発表をすると ものすごくあがってしまいます  日本の教育だとグループ 各グループの代表が話し合ったことを発表するなど 子どもの頃から日常茶飯事的に行われています だから誰にでも一度は発表の機会が回ってくる  ネパールにはこのようなスタイルの教育はほぼありません  目の不自由な人と晴眼者が合同で受講する なにやら楽しい講座になりそうです  開講は8月上旬を予定 期間は1ヶ月です この間ネパールを旅行する人 飛び入り受講歓迎です 直接NBSAカトマンドゥへご連絡ください

yorikonepal@hotmail.com

 

ネパールの政局第3弾

 

毎月ニュースを編集するたびにネパールの政治的状況をお伝えすべきか否か 迷ってしまいます  暗いニュースが多いものですから  しかしネパールの視覚障害者を取り囲む国情がどのようなものであるかを知ることも 支援者には大切と思い今月もお伝えします

 

7月5日 国王により任命されたデウバ首相は 熟慮の末やっと新内閣を成立させました 総勢31名という拡大内閣の発足です  ネパール最大規模の老舗政党 ネパール国民会議派(NC)はこの国王任命内閣に大きく反発し 組閣には加入しませんでした  この31名の構成を巡りいまだに政局は安定を見せていません  デウバ首相の派閥(NC-D)が12名 国民的支持率が高い統一共産党(UML)11名 90年の民主化以前の政党(RPP)5名以下少数政党から3名 情報相は国王の推薦で入閣した元議員なので マスメディアの規制などが行われるのではないか とすでに懸念されています

 

外国との関係

 

一方今回の組閣にもれた というか加入しなかったネパールの巨大政党ネパール国民会議派(NC)は マオイスト派と接近を始めました マオイスト派を含んだ公平な政治の施行ということですが その裏には新内閣への牽制 つまり派閥争いがみえみえです さらにインドに仲裁を求める気配が感じられます

 

異例の統一共産党(UML)の内閣編入で 国王は懐柔策を練った様子でしたが 入閣後も共産党はツッパリを見せて 独自にマオイスト問題解決の音頭をとる構えです マオ派との和平交渉 停戦を宣言すべきであると主張していますが これも容易に進んでいません 国王も新与党も大国(特にアメリカ)の仲裁や干渉を拒否する姿勢がみえます

 

さて渦中のマオイスト派は現在のところ停戦に応じていませんが 和平交渉にはインドの仲裁が不可欠との見解を発表しました

 

何がどのようになっているのか 容易に把握できないネパールの政局ですが 民衆不在 国民不在の政治が行われている事実は 悲劇という感じが否めません

 

今後政局はさらに混乱するでしょうが クーデターなど急激な変化はまずないと思われます 何事も我々の感覚と離れたゆっくりゆっくり牛歩のごとく進んでいくネパールですし 国王の地位など様々な宗教的理由が複雑にいりくんでいます  ネパール国民の平和を祈りましょう

 

幸い日本はおとなしい筆頭援助国というイメージが いまだネパール人の間に定着しています 勝手ながらみなさん 私は安全ですよー 

(文責 カトマンドゥ駐在員 渥美よりこ)

 

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