――― NBSAネットニュース2008年10月号 ――――

ネパールの視覚障害者を支える会(NBSA)の会員 支援者の皆様

 

祝 ダサイン祭  今年もネパールのゴールデンウィークが巡ってきました  とはいえネパールではとても重要で神聖な儀式です  本来インドから来たダサイン祭は 戦いの女神ドゥルガが悪魔を滅ぼしたことに由来し 勝利 幸福 安全を祈願するものです しかし 本家のインドではまったくすたれてしまい ダサインを祝わなくなりました  なぜネパールで年間行事の中で一番大切な祭りになったのかわかりませんが 収穫の時期でもあり 豊穣を祝い 家族の健康を祈り 神に感謝の祈りを捧げる祭りになったようです  なんともにぎやかな祭りですが 様々な民族 宗教が渾然一体となっているネパールでは 王政を廃し世俗国家になったので 宗教的な祝日が徐々にカットされ 簡略化していく傾向にあります  

 

NBSAは視覚障がい者 晴眼者ともどもボランティアを中心とした任意の団体ですが 昨年から襟をただし 政府が定めた国民の祝日以外は 飛び石連休でも閉館しないことにしました  ボランティアは女性が多いので ダサインの買い物やお供えの支度でこの時期忙しいのですが 誰一人文句を言わずに出勤してくれました  みなさんNBSAが好きで働いてくれているばかりではなく なんだか社会秩序のようなものが 10年前と比べるときちんと守られ ネパールも民主国家の形成期に入ってきた気がします  

 

●現地活動報告 

9月は定例活動のカセットテープ ライブラリー事業 点字雑誌の発行準備のほか カトマンドゥ盆地内盲学校対校のクイズ大会を行いました  

 

2008年9月14日 ネパールの祝日 こどもの日にちなんだNBSA恒例 カトマンドゥ盆地内の学校対校クイズ大会は 今年で6回目を迎えました  同等な教育を受ければ 目の不自由な子どもも同等な学力を持っていることを社会一般に呼びかける いわば社会啓発の意味で始めた NBSAオリジナルな催しでしたが 今では出場校の選手のみならず先生方が猛烈に意気込んで 本番に向け かなり真剣に準備をするようになりました  今年もまた キルティプルの盲学級が優勝しましたが 2位のサノティミのアダルシャ盲学級が猛烈に食い込み 激しい白熱戦が展開されました  出題内容もかなり高度になり 4月の選挙で バラ郡でトップ当選した議員の名前 24時間は何秒になるか など すぐに答えられない問題も多々あり 本当にすごい学生がいたものだ と新たに彼らの記憶力のよさと 気転の利かせ方などに大いに感動しまくりました  来年も学校対校クイズ大会 絶対に行います  

 

●ネパールの福祉が見直されました

ネパールの福祉評議会で 社会的弱者といわれる人々 障がいのある人 母子家庭 70歳以上の高齢者への特別手当制度が見直されました  これまでもこのような補助金制度はありましたが 時の首相の判断でカットされたこともありました  今回は 生活に一番困っている人 障がいの度合いに応じ最高で月2千ルピー 約3千2百円相当が支給される予定で  また これらの人々が土地を買う場合は 税金が引き下げられます  これまでネパール政府は 社会的弱者と介助者にはバス代等の運賃を50%オフにしてきましたが  民間のバス会社などは政府の言うことを聞かずに割引を無視してきましたが 取締りが強化される見込みです   

 

●ネパール関連ニュース  

南西ネパール大洪水 被害者増える一方 どこへ行くコシの難民

インド国境西東 スンサリ コシ ガンダギ河はどこもかしこも水浸し 死者数はいまだにはっきりわからないが 数百人 家屋の倒壊7千軒といわれる  避難生活が終わり 住んでいた故郷に戻ると 稲がすっかり流され途方に暮れる人々の姿が連日報道された  この痛手を修復するには数年を要するとの事  本当に痛ましい災害だった  

 

携帯募金大活躍 カトマンドゥではこの災害の援助金を一般市民 旅行者に募ったが 脚光を浴びたのは携帯電話会社の使用量自動引き落とし基金  これは携帯の使用度に応じた金額を 携帯の持ち主のカードから引き落としになるシステム  1件50ルピー以上 日本円約100円  携帯の文字や音声ガイダンスに従って自由に選べる  

 

9月13日 ネパールの野生ゾウ大暴れ 4人を殺害する

ネパール南東部の村で 野生のゾウが12歳の少女を含む4人の住民を殺害した  ネパールには250頭のゾウが生息し うち100頭は飼育されている  ネパールではゾウは法律で守られており ゾウを殺した罪で有罪になった場合 最長15年の禁固刑が科される  ちなみに牛を殺した場合 終身刑と聞いたことがあるが 今は緩和されている 

 

9月16日 日本の教育支援拡大 外務省プレスリリース

日本政府はネパール連邦民主共和国政府に対し 第二次 万人のための教育 支援のための小学校建設計画の実施に資することを目的として 8億7千万円を限度額とする一般プロジェクト無償資金協力を行うこととし このための書簡の交換が 9月16日カトマンドゥにおいて行われた  詳しい内容は下記のHPを御覧ください  

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/h20/9/1183157_915.html  

 

9月19日 PKO派遣半年延長

日本政府は ネパールにおけるPKO 国連平和維持活動協力法に基づき ネパールでの軍事監視を来年3月末まで延長することを発表した  現在6名の陸上自衛隊隊員が ネパール国軍の兵舎や共産党毛沢東主義派のキャンプで 武器や兵士の監視に当たっている  

 

9月22日 風が留まる場所 ヒマラヤ

ネットニュース5月号でお知らせした渋い韓国俳優 チェ ミンシクの新作のタイトルが決まった  チェ ミンシク3年ぶりの映画出演  工場で事故に遭ったネパール人労働者の遺骨をもってネパールへ飛び そこで経験する話を描いた 風が留まる場所 ヒマラヤ』では チェが悔恨の表情でスクリーンに返り咲く  

 

9月24日 ヌードダンスレストランのオーナーが カトマンドゥ盆地でゼネストを決行  以前から問題になっていた風俗営業の取り締まりに警官が乗り出し ディスコやナイトクラブ ダンスバーを捜査し1500人の身柄を拘束した  そこでダンスレストランオーナー等が 政府の行為はビジネスを脅かし8万人が職を失うと抗議決起し ゼネスト バンダを行った  

 

9月26日 またしても出稼ぎトラブル発生

数日前 アフガニスタンの首都 カブールに ネパールの青年250人が到着した  出稼ぎ契約で様々な地方からやって来た若者達だが彼らを迎える職場がない  人材派遣会社が周旋料だけとってドロンしたのだ  現在 引退したグルカ兵協会などがネパール政府に 本国送還の為の準備を要求している

 

9月26日 またしても出稼ぎトラブル発生

数日前 アフガニスタンの首都 カブールに ネパールの青年250人が到着した  出稼ぎ契約で様々な地方からやって来た若者達だが彼らを 彼らを向かえる職場がない  人材派遣会社が周旋料だけとってドロンしたのだ  現在 引退したグルカ兵協会などがネパール政府に 本国送還の為の準備を要求している  

 

10月7日 ネパールの生き神世代交代

新クマリに就任したのはカトマンドゥの マティア シャキヤちゃん3歳  クマリは初潮を迎えると解任され 再度人間界に戻される  任期が終わるまでクマリの館で少女は過ごし 式典以外の外出もままならない  そんなクマリの制度は ここ数年人件団体から反発をかっている

 

10月8日 大惨事 ネパールのイェティ航空機事故で19名死傷

エベレスト登山の要所ルクラ空港の着陸に失敗した  乗客のほとんどを占める欧米人とネパール人乗客並びに機長 副機長 スチュワーデス 合計19人のうち パイロットを除く全員の死亡が確認され 祭りモードが一瞬ぶっ飛んだ  

 

 

●ネパール時の動き

ネパール共産党毛沢東主義派党首こと マオイストのプラチャンダが首相に就任し 初の国家予算が発表された  ネパール暦2065年度の国家予算総額は2360億ルピーとされているが なぜかいまだに変則的である  今年は予算がかなり増大し その多くは外国からの援助を当てにしている様子だ  教育費を増額したのはよいが 軍事費と警官の手当て さらに公務員の給与の引き上げなどは 予算の10%を占めている  また 2桁の経済成長率を見込んでいるが すさまじい物価の高騰で 経済は低迷を極めている  しかしながら政府の方針はこれまでの民営化政策を逆転させ 国有化政策を目指すとのこと  

その国家予算に関することで 世論を揺さぶる事件がふたつ起きた  始めは国民の祝日インドラジャトラ祭の予算が削除されたことに対し カトマンドゥ盆地内のネワール民族が大きく反発  急遽ゼネストを決行して脅されたせいか 来年の祭りのための予算が認められた  このインドラジャトラ祭とは クマリ信仰に基づくもので 歴代の国王がクマリから国家安泰の印をいただくものであったが 世俗国家となったネパールにこの儀式は不要と ネパールの初代大統領はこれを簡略化した  ネワール民族に言わせると この式典はネワール文化に由来した ネパールの国民的 国家的重要行事であること強調し続けた  その一方 ゼネストの最中にテレビでは特番を組み インドラジャトラとは何か 歴史的背景などの説明を何度も繰り返した  それほどカトマンドゥ盆地以外の国民には疎遠の行事であったのだ  

 

さらにダサイン大祭の日にも抗議行動が起こった  これまで王室筋が中心になり カトマンドゥ市庁舎などで 比較的貧しい者に 日本で言うところの餅代を配っていた  これは由緒あるパシュパティナートの貧者へのサービス事業として 国家予算で行なわれてきた事業でもあったが 今年度からこの事業が廃止された  ダサインの最中に抗議をする者達が市庁舎に押し寄せ ピケを張り 政府はデモ隊に負けて折れた  政府はまたしても予算案にない出費を強いられたわけだ   

 

この出来事は様々な波紋を投げかけ ダサインの歌謡ショーの合間に某テレビ局では公開討論会を行った  それはまた そもそもダサインとは何か 宗教的祭りがなぜ世俗国家の行事になるのか はたまたダサインで多量に動物を生贄にし それを貪り食うヒンドゥーの教えは正しいのか等 様々な民族がかなりきわどい突っ込みを入れ 遠回しにダサインと政府の決定した祝祭日を批判した  ダサインの日こうしたテレビ番組が登場するなど これまで無かった出来事で当分論議を呼びそうだ  

 

●グルカ兵の物語 9 うまい話

トルコ コンスタンティノープルの投稿者の実話から

今朝 駅でロシアの軍人さんが目に止まった  うちひとりはかなり有能なタイプとおぼしき男で フランス語の地方新聞を翻訳していた  それによると大ブリテン連邦民のインド人部隊がトルコに向けて進軍を始めたこと  そしてシーク教徒のことや 騎兵隊 パキスタンやアフガニスタンに住むパターン人のこと さらにグルカ兵に関する内容だった  

「なんだと!奴らはゴホォルカ兵も捕らえたのか」

立派な口ひげをはやしたロシア人の男が話の腰を折った  

「さようであります閣下  全連隊です」

「うむ そうか  それじゃ我々にとっては撤退ということだな」

とベテランとおぼしきタイプの男が もったいぶった表情で頭を振った  

「だがよいか ゴホォルカ兵は悪魔だ  奴らが人間と交わるわけにはいかない  撤退は連隊全体のためなのだ よいな」

「タイムズ オブ インディア」ボンベイ1878年6月13日木曜日

 

飛行中 我々はよくグルカ兵に攻撃された  彼らは獰猛な兵士達で グリーンの軍服を着用し 革のベルトには短剣を差していた  彼らは森の茂みに伏せていて 我々が通過するとともに 自動小銃火を炸裂させて我々は一掃されていた  そこで 我々はグルカが村にいると聞けば村を迂回し 何よりもグルカを避けて通った  

 

かつて一度 ミズシマがたったひとりでグルカ兵の一団の中を歩いて行ったことがある  ミズシマの頭上には 巨木の枝にまたがったグルカ兵がいた  ミズシマは勇気をふるい ビルマの神聖な歌を歌いながら 巨木に向けてまっすぐ歩いて行った  グルカは始めミズシマを 旅の音楽師と思ったのか小銭を投げてやった  4,5人のグルカ兵も続いて硬貨を投げてやった  枝にまたがって 足をぶらぶらさせていたグルカ兵が 「おい ジャップを見なかったか」と大声で叫んだ  

ミズシマは 遠く離れた山を指差した  グルカ兵はうなずくと 半月のように曲がった短剣をベルトから抜き 地面に投げ刺した  そこでミズシマは グルカ兵にとらわれずに 彼らに何度も何度も同じ曲を弾いて聞かせた  それは 通常危険信号として用いられている曲だった  

 

ビルマの竪琴 竹山道雄 英文訳 Howard Hibbetより

 

●事務局便り 

事務局担当 高梨憲司
天高く馬肥ゆる秋と言いますが 皆様にはいかがお過ごしでしょうか  何時もNBSAの活動にご支援をいただき、感謝申し上げます
原油価格の高騰に伴う諸物価の高騰や 米国のサブプライムローンに端を発した金融不安など 世界経済の行方が定まらない今日この頃ですが アジアの最貧国ネパールの障害者の生活は一層深刻な状況ではないかと推察します  そこで 日本事務局としては少しでも支援の輪を広げる努力をしなければと考え ささやかな活動を開始しました その一部をご紹介します

日本網膜色素変性症協会 JRPS千葉県支部の総会における広報活動

去る75日に千葉市の美浜文化ホールで開催されたJRPS千葉県支部の総会で ネパールの視覚障がい者と国際交流 と題する講演をさせていただき 併せてNBSAの活動紹介と入会案内をしました  これによって会からご寄付をいただいた他 2名が入会されました    

アイフェスタIN千葉での入会案内とカンパ活動

去る10月5日に千葉市のハーモニープラザにおいて開催されたJRPS千葉県支部主催のイベントで NBSAの入会案内と募金活動を行いました  例年に比べて参加者が少なくて低調でしたが 4千円の募金があり 10数名の方が資料をお持ちになりました  

まだまだ始まったばかりの小さな活動ですが 塵も積もれば山となる の思いで頑張ります 皆様の一層のご支援をお願い申し上げる次第です  

 

NBSA入会をご希望される方は 事務局にご連絡いただければ 振込口座取扱票をお送りいたします 

事務局 〒2840005 

千葉県四街道市四街道1−9−3

視覚障害者総合支援センターちば内 NBSA

事務局担当者  高梨 憲司  電話:043−424−2501

 

またはE−メールで nbsa@mail.com.np にご連絡ください

 

NBSAネットニュース 編集と文責 渥美よりこ カトマンドゥ在住

2008年10月10日

 

NBSA:http://NBSA.sakura.ne.jp/ 

本会の活動や最新版の会報誌を更新しています  ぜひご覧ください

NBSAネットニュースは音声パソコン対応編集をしています

NBSAネットニュースは会員以外の様々な方に流しています  受信をお望みでない方は ご面倒でもご連絡ください