――― NBSAネットニュース2008年11月号 ――――
NBSAの会員 支援者の皆様 お待たせしました NBSAネットニュース2008年11月号をお届けします
世界的金融危機は今後どうなっていくのでしょうか 心配事が山積の方が多いと思われるのに恐縮ですが ネパールでは 先日やっとこの世界的規模の問題がテレビの政治討論会で取り上げられました 経済が落ち込めば 当然ネパールへの観光旅行をキャンセルする人が出てくるでしょう そうなると出稼ぎ以外の外貨獲得の手段が一挙に失われてしまう こうストレートに解釈できる人は ネパールにはあまりいないようです それより一般庶民の最大の関心事は ダサイン祭についで行われた光のまつり ティハールに集中しました これは誰にとっても宗教抜きに面白く なんとなく心がなごみます 先月のダサインでは たくさんの水牛やヤギを生贄にし 無益な殺生はやめよと 非難の声があがりましたが ティハールでは日替わりでカラス 犬 牛を奉り 動物にマリーゴールドの花飾りをクビに巻いてあげたり おいしいご馳走を食べされます クライマックスは 金運の女神ラクシュミの登場 ラクシュミさんを自宅に呼び寄せたいので どこの家も大掃除をしたり 家の前にお灯明をあげます また あちこちで盛大に花火を打ち上げ 爆竹を鳴らし それは それはにぎやかに祝います 最後は男子が年上の女性から祝福のティカ 神の恩恵のしるしを額につけていただきます 毎年 光のまつりの美しさを見るにつけ 世界中の人々が 何の不安もなく穏やかにすごせるように お祈りしたい気分になります
●現地活動報告
10月カセットテープ ライブラリー事業は 大型連休の前大変に利用者が多く 郷里に帰らない人が 小説などのカセットをたくさん借りに来ました
点字雑誌の発送 9月下旬の発行を予定していましたが 祭りが続き 大幅に遅れて11月初旬に発送しました 今回の内容は 新しくなったネパールの福祉政策 人気の高いクリケットゲーム大会など またこれまで地方に送った情報誌がどのくらい手元に届いているかを調査したところ 残念なことに地方にはあまり定期的に届けられていないようでした 私たちは点字雑誌をサイズに合わせた特注の封筒に入れ 点字印刷物と書き ネパール語の点字のアルファベットを表記し さらにセロファンの窓枠で中が見えるようにしています ネパールで唯一の点字による定期刊行物が破棄されていると思うと とても残念ですが 郵政省に理解を求めるために 引き続き多くの地方に雑誌を送っていくつもりです
●ネパールの福祉が見直されました パート2 映画館へ行こうよ
先月のニュースで ネパールの福祉評議会の障がい者手当てなどの制度が見直されたことをお伝えしましたが どうやらすべての映画館に障がい者が無料で入館できることになったそうです と言っても映画館によっては料金を請求することがしばしばあり 定着するまでかなり時間がかかりそうです また 介助者の料金は50%オフになります 車椅子利用者などにとっては便利ですが 私たちのような視覚障がい者を専門にサポートする団体で ボランティアも援助がもらえるかまだはっきりしていません いまネパールで コンゴを舞台にしたネパール人のPK0要員の映画がヒットしています 映画の解説者も割引があれば 大勢の視覚障がい者が映画館に行けるようになるでしょう
●ネパール関連ニュース
10月10日 Record China
意識の高い海外メディア 実はチベットとネパールの区別つかず インド紙
インドタイムズの報道によると 世界から注目を集めているチベットは 実は海外メディアにとってはネパール王国との区別がはっきりしておらず たびたび混同して報道されているという 同紙によると ブッシュ政権の国家安全保障関係者は今年米ABCのインタビューで チベットを何度もネパールと混同し失笑を買った さらに90年の歴史を持つカナダの報道機関TCPはカナダの大スターのブルース コバーン氏が出演したネパールに関する映画について チベットに関する映画がトロント国際映画祭で上映される と報道した これまでで最もひどい間違いは ドイツのテレビ局がウェッブサイトに ネパール警察がカトマンズ市でデモ行進参加者を追いかける写真を 中国人警官がラサ市でチベット人を弾圧する写真 とキャプションを付けて掲載したことだとしている
10月22日 軽食の支給がきっかけで ネパールの日刊紙カンティプル
ネパール中部 ヘタウダ市からバスで30分離れたところに小さな小学校がある ここに通う小学生のレポートによると 一番遠い地域から来る子どもは 16km先の村から歩いて登校しているという 学校には 朝食の代わりにそば粉を練ったものや炒ったとうもろこしを持参し数時間かけて歩いてくる だが 親は2食分の弁当を用意できない ここではいまだに白いご飯を毎日食べられない そこで外国のNG0団体が 学童の為に軽食をあてがうことを始めた それ以来休みがちだった生徒が毎日通学するようになったそうだ
10月22日 カトマンドゥ市内 路上商売禁止
ネパールの秋の大祭の最中 路上商売論争が勃発した 場所によっては歩道の90%に雑貨類や野菜などをならべ 歩行者が歩道を通るような状態で 障がい者のみならず一般市民にも大迷惑だった しかし 貧しき路上商人の実態は 歩道のネパールの首都カトマンドゥを訪れた人なら一度は出くわしたことと思われるが 路上での商売には日本のフリマとは違う深刻さが伴う 生活や子どもの学費がかかっているのだ カトマンドゥ市民は迷惑だが深く同情した 警察は以前から交通 歩行の妨害として路上商売を禁止していたが 一斉退去を強制的に実行した 商人たちはゼネスト バンダを行いこれに対抗しようとしたが 政府がラトナ公園の一部を提供することになり 決着した
10月24日 ネパール元国王、電気代の支払いを求められる
ネパールのギャネンドラ元国王とその親族は15日以内に莫大な未払いの電気代を支払わなければ 電力供給を受けられなくなることがわかった 電力会社によると、ギャネンドラ元国王と親族らが所有していた22カ所の宮殿やバンガローで未払いとなっている電気代は、2006年以降114万ドル 約1億千万円 に達している ギャネンドラ元国王のコメントは得られていないし その後の処理がどうなったかまだ報道されていない
10月29日 ネパール暦新年1129年 マプジャ ティハール大祭
ネパールには暦がふたつある 一般的に使われているのはビクラム暦で 今年は2065年にあたり4月に新年を迎える 他にモンゴロイド系国民は中国の旧正月もあるが 形骸化している 約240年前シャハ王朝がネパール全土を征服したが それ以来ヒンドゥー教を基調にしたビクラム暦が用いられるようになった ネパール暦のほうは ネパールの先住民族の一派ネワール民族が シャハ王朝が勃興する以前にすでに用いていたので ネパールの正式な暦では今年はいちおう1129年とされている
10月31日 藩 基文 国連事務総長ネパール訪問
藩総長は滞在中 ヤダブ大統領 ネワン議長 コイララ コングレス党首等と会談後 釈迦の生誕地であるルンビニを訪問してそのままバンフラデッシュに向かった 藩事務総長は1972年韓国の若い外交官としてネパールを訪れたことがある
11月4日 チャートプジャ ネパールの祭日 減ったり増えたり
国民の祭日がさらに加算された これはタライ系住民を意識した特別配慮とも言えよう どうやらインドでは盛大に祭るティハールに近いものらしいが カトマンドゥでは誰も関心を示さず たんなる休日で終わった
11月9日 マウンテンバイク アジア選手権カトマンドゥで開催
日本の選手 井手川と末政が優勝 ネパールの選手の成績はイマイチだったが 地元ではかなり注目を集め お祭り気分の延長のようだった
11月12日 ネパール新首相 インド訪問
プラチャンダことプスパ カマール ダハール首相が 中国 アメリカに次ぎ インドを訪問 マンモハン シン首相と会談し インドとネパールの友好を確認し さらに今後の経済的 技術的援助を要請した
●ネパール時の動き
上述のカトマンドゥ市内 路上商売禁止令 さらにカジノの深夜営業禁止令など 全体から見れば些細なことだが ネパール政府は様々な改善に着手し始めた 善し悪しはさておき マオイスト派の目標 産業の国営化と市場経済の開放政策が合わなくなってきている マオ派の経済省大臣は方針を転換し 自由市場を一部認める方向へ向っているようで 今後党内の強硬派との対立が深まりそうだ さらに 党内改善案の一環で マオイスト党の党名 ネパール共産党毛沢東主義派の変更案が論議を呼んでいる 今後 どのような展開になるかわからないが せっかく落ち着きを見せてきた新政権すべて巻き返しはごめんこうむりたい
以下 長崎大学教授 谷川昌幸氏の 谷川ブログnepalreview 10月22日付けの一部を 許可をとって借用した とにかく面白いブログ 暇をもてあましているネパール好きは覗いてみてください http://nepalreview.spaces.live.com/
ネパールの共産党には 進化の名残のシッポがついている
本体 ネパール共産党 シッポ 毛沢東主義派
本体 ネパール共産党 シッポ 統一マルクス レーニン主義派 UML
本体 ネパール共産党 シッポ 統一センター マシャル
先の選挙で大勝し権力についてみると どうやらこのシッポが邪魔になり始めたようだ こんなシッポは進化の名残だ 切ってしまえ というわけで マオイストもUMLも統一センターも シッポ切りに向かって動き始めた シッポを切れば みなネパール共産党 めでたく大政翼賛共産党が生まれ 人民民主主義の実現も夢ではない
しかし シッポにも血は流れている 切ると痛いだろうなぁ 自然に退化し 短くなり やがて消えていくのを待った方がよいのではないかな?
●グルカ兵の物語 10 現代のロビンソン クルーソー
1942年の退却騒動の最中 マレー半島の密集したジャングルで グルカ兵2の1銃撃隊員 ナイク ナクハン グルンが重症のマラリアにかかった 戦友達は 数日間彼を担ぎながら退却したが ついになす術のない夜を迎えた そこで 彼らはナイクが少しでも居心地よく過ごせるよう小屋を作り いくばくかの食物を残し 俺達はきっと戻って来るよ と言い残したが果たして瀕死のナイクに彼らのことばは届いたのだろうか
1949年10月のある日 1の10グルカ銃撃隊はマレー半島のジャングルで 共産ゲリラの徹底的な捜索を行った際 とある小屋に出くわした かれらは即座に小屋を囲み 一人の孤独な住人を縛り上げた
「弾丸を浪費する必要はないでしょう ククリを使いましょう」兵士のひとりが言った
捕われた男は非常に驚いた なにしろ彼は8年もの間 人間の声を聞いたことがなかったのに 今 いきなり母語のネパール語を聞いたのだ 男は何か言わねばならない状況に置かれていることを察し ひとこと「おい オレはゴルカだ」と言い放った
銃撃隊は意外な展開に驚き そして 彼らは同国人の殺害という悲劇を避けられたことに 安堵と多大な喜びに満たされた それは同時に 捕虜として扱われるはずだった男の身が転機を迎えたことも意味していた 青天の霹靂 ナクハン グルンは 本当に長い間この時を待っていたのだ
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NBSAネットニュース 編集と文責 渥美よりこ カトマンドゥ在住
2008年11月19日
NBSA:http://NBSA.sakura.ne.jp/
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