――― NBSAネットニュース2009年2月号 ――――
ネパールの視覚障害者を支える会(NBSA)の会員 支援者の皆様

お待たせしました 2009年初のネットニュースです  お蔭様で久しぶりに日本のおせち料理を満喫し 心身ともにパワーアップしてきました  全世界が不況のどん底に落とされたニューイヤーでしたが せめてもの救いはネパールの人々の明るさ  停電が1日に16時間もあるネパールに よく帰ってきてくれたねー とスタッフに声をかけられ思わずほろり  微力ながらもネパールの視覚障がい者のために今年もがんばろうと決意を新たにしました 皆様方にもますますの応援を賜りたいしだいです  今年もよろしくお願いいたします  ネパールの視覚障がい者を支える会会長  渥美 資子

●現地活動報告 
定例事業のカセットテープ ライブラリーと点字隔月紙 タッチ14号の編集のほか 次の三つの事業を行いました 
2008年12月21日  親の会ミーティング 会場NBSAカトマンドゥ事務所
視力に障がいのある子どもを持つ親の会のカトマンドゥ盆地内の役員5名が集まり 翌年の全国大会の準備会議を開いた

2009年1月4日 点字の発明者ルイス ブレイル生誕200年を祝う式典が各国で開催された NBSAでは特に催し物はしなかったが 役員がネパール盲人協会の点字早打ちコンテストなどに本会の代表で参加した  今年も若い学生が優勝した

1月10日 親の会全国会議  カトマンドゥで開催  会場 KNKカレッジ 参加者 父母17名とNBSA役員とボランティア8名 ゲスト 知的障がい者親の会会長  今年の全国大会は 交通の不便さに加え経費の節約のため 遠方からの参加者は最も活発に活動しているポカラと新規加入のカブレ郡の親だけを招待し あとはカトマンドゥ盆地内の各所から代表が参加した  またこれまで総合司会をNBSAが行っていたが今回はカトマンドゥの親の会が独力で行った  議題は視力に障がいをもつ学童の状況報告と分析  親の会の役割とニーズ 新役員の選出と親の会の正式登録 日本のNPOのようなものの説明と意見交換などが話し合われた  ネパールでは 知的に障がいを持つ児童の親の会の活動が最も活発なので 組織作りなどのヒントを提供してもらった  会議は和やかで楽しく閉幕したが  具体的なアクションプランや財政面で NBSAは今後も親の会サポートを続けて必要性が感じられた  報告 プララダ タパ

●日本での特別イベント 2008年12月23日 ネパールからの報告会 青山
昨年暮 ネパール在中の渥美さんの一時帰国に伴い 千葉県柏市でネパールからの報告会を催しました  2週間程度しか準備期間がない大慌てのイベントとなりましたが サポーターを入れて42名の方に集まっていただきなかなかの盛会でした  パワーポイントを使った渥美さんのネパールの説明と報告は 現地の障がい者の暮らしをリアルに紹介したもので 普段日本では知りえない情報に接し 参加者の心を大いに揺さぶったようでした  多くの人が感動したのはNBSAがネパールで行っている視覚障がい者のための生活自立訓練は インパクトが強かったようです  

このイベントのきっかけは しばらくぶりの年越し帰国だし もっとNBSAの活動を理解してもらうことが必要だよね と言う渥美さんのメールから始まりました  それは 会員の減少と資金の目減りを憂いての言葉であり 逆にどうしたら会員を拡大できるかですが なかなか良い回答は出てきません  しかし現地の話の中で 障がい者が作った品物を細々と売っているが 店で預かってもらい フェアートレードができればいいよねと 話がとんとん拍子に進んで 今回の物品販売つきの報告会になったのです  

今回の催しの金銭的側面ですが チケット代は千円でスタッフもこれを買っています  
現場経費と言っても直接的経費だけであり 会場費が無料 スタッフも結構持ち寄りをしてくれました  このような中で 現場経費を引いた56685円を渥美さんに手渡しできました  そこから渥美さんのネパールでの仕入れ23000円を引き さらに 後日NBSAの活動に賛同してくださった方からカンパで3000円頂き それに渥美さんが1315円を出して 合計38000円を事務局に送金できたという報告を受けています  絶対金額は少ないですが 渥美さんのやる気とスタッフのがんばりのお陰でイベントは成功となりました  以上

●NBSA支援グッツが日本でも買えます
千葉県柏市の 女性自立支援の店に 上記のネパール製品を置いてもらえることになりました  可愛い天然石のペンダント トップやネックレス ネパールの障がい者の手作りコースターや貴重な手書きの仏画などもあります ぜひ寄ってください  
お店の名は ウーマンズライフ  年中無休 午前10時から 午後8時まで
電話 04−7140−8933  柏市 松葉町 6の10の1  青山第二ビル

●お知らせ いのちのホーム柵 2月7日東京都新宿でシンポジウム&ライブ開催!
上記の青山さんが主軸になって活動を続ける団体 駅にホーム柵を!日本会議のイベントが2月7日シンポジウム&ライブを開催します  毎年日本では 視覚障がい者以外にも 多くの人がホームからプラットホームに転落し命を落としています  ぜひご参加ください  詳細はHP http://anzensaku.org

●忘れじの人々 小学校の教師になった奨学金生 クショワール ポウデ 24歳
1月24日は 私にとり最良の一日でした  私と友人が個人的にサポートしていたクショワールが 1年前に辺鄙な村の学校に教師として赴任し その様子を見てきました  故郷から遠く離れてひっそりと生きている彼を見て ほっとしたし 心から嬉しかった  彼は小学生にネパール語を教えています  ちょっと模擬授業をやってみせて と頼むと 驚いたことに声も変わりとても堂々としていました  彼はどちらかというと自分の気持ちをストレートに表さず 周りから少し水臭いなぁと言われています  この1年間 訪問者もなく ただもくもくと仕事に打ち込んでいたようですが 寂しかったり 辛かったことがたくさんあったでしょう  

家族から遠く離れ 下宿先の奥さんは親切だよ と口では言うものの彼の部屋を見て唖然としました  大家の物置に高い家賃を払って寝泊りしているようなものでした  
私たちは11時にネパール式の朝ご飯を食べ 3時ごろ軽食を食べましたが 彼がすべて事前に手配をしていた  かなり散財させてしまいましたが これまで就職してから誰も様子を見に来た人がいなかったので 法外な喜びだと言ってくれた  

これまで様々な人に 個人的にネパールの視覚障がい学生に奨学金を支給していただきました  彼らの現況も追いかけていますが 女性は結婚して家庭に入った人も多くいますが 音楽の教師として子育てと仕事を両立している女性もいます  一番すごいのは ポカラでマッサージ師になり 一般の人の倍の給料を稼いでいる男性です  仕事が暇になったら 奨学金生を訪問する旅でもしたいと思っています  奨学金を支給してくださった方々に 改めて御礼申し上げます  渥美 よりこ

●ネパール関連ニュース  
2009年1月1日  カトマンドゥの西チトワンでゾウの国際競技大会閉幕
西暦で新年を祝う人が少ないネパールであるが 各種楽しいイベントが開催された  特に人気を呼んだのがゾウによる国際競技大会  今年で5回を迎え ゾウによるサッカーのほか ゾウの装飾ファッションなども競われた  

1月4日 アルピニストの野口健さん マナスルのふもとに学校建設へ
ネパールの高峰マナスル 8163メートルのふもと サマ村の子供たちに教育の機会を提供しようと マナスル基金を設立したアルピニストの野口健さん 35歳が4日 カトマンドゥで記者会見し 3月に学校の建設を始め約2年で完成させる計画を明らかにした  建設費は約1000万円で野口さんも村人と一緒に建設に参加する  

1月15日 ネパールの警察が168個の人間の頭がい骨が入ったかばんを回収
カトマンドゥの南西インド国境沿いの街 カカルビッタで見つかった頭がい骨は ボールように細工されていた  その頭がい骨の出所や収集の動機は明らかにされていないが 警察は 過去に頭蓋骨は装飾的な珍しい物として高額で取引されことがあると述べた  

1月21日 米国の新大統領オバマ氏 ネパールで大人気 ネパールの大統領 首相ともども祝辞を送った  ネパールでのオバマ氏の人気の理由は 若さと 大国アメリカではじめての有色人種が国の長になったという点らしい  

1月26日 2011年はネパール観光年
マオ派の女性闘士 ハシミ ヤミ観光大臣は2011年を観光年に制定し観光客の大幅増加を狙っている  これまでの倍100万人の観光客を呼び込むつもりであるが インフラ整備が不十分なネパールで 実現可能だろうか

●時のネパール  何をどのように対処すればよいのだろう 1日16時間の計画停電


2009年1月11日から カトマンドゥ盆地の電気供給時間が一日8時間に制限された  
ネパールの電力不足の原因は 電気の需要が伸びているのに供給が追いつかないという単純な理由だが 産業も増加したことに加え 激増したインターネットカフェ 会社や学校でのコンピュータ授業などの電気使用量にも問題があるといわれている  さらにすさまじいのは 大型ジェネレーターをもつホテル カジノのなどは 電気があるときに膨大な電気を逐電してしまう  また テンプーと呼ばれる三輪の公共車は電池起動なので 充電が間に合わず全線十分に走れない場合もある  

無論カトマンドゥの人口が激増したのも原因で  数年前に マオ派との戦闘を避けてカトマンドゥに移住した者たちの間にも2世が誕生し かれらにとってはここが故郷になってしまった  にっちもさっちも行かなくなったカトマンドゥでは 連日のように電気不足に抗議するバンダ ゼネストが決行されたが なにひとつ変わらない  噂によると 3月末には計画停電が1日20時間実行されるそうだ  まっさきに失業するのはアイスクリーム屋さんだろう  
2月1日現在 計画停電が見直され 1日14時間時間で収まっている 
 
混迷を続けるネパールの政治状況
2007年以来国連派遣団 UNMINのネパール駐屯が6ヶ月延長になった  その主な理由は マオイスト軍の国軍統合問題がまったく進展していない状況にあるため  統合を求めるマオイスト党党首と マオイスト派との妥協を断固拒む コングレス党党首とのトップ会談も決着がつかず 今後どのような展開になるか 誰もまったく予想がつかない状態である  そんな中1月26日にダハール首相は テレビとラジオを通じ 国民に30分にわたる演説をし ここ半年の間に大きな改善が見られなかったことを詫びると共に 野党への協力を呼びかけた  また 国民が一致団結し新国家形成のために 贅沢な結婚式などは避けるよう節制を求めた  しかし世論の目はここ半年の間に 何の改善策も打ち出さなかった首相を冷えた目で見ていたようだ  

世界恐慌のあおりを受け ネパール人出稼ぎ労働者が アラブ圏 マレーシアなどでリストラ もしくはボーナスカットなどされ ネパール経済も深刻な落ち込みに見舞われている ネパールの最大の外貨獲得手段は外国への出稼ぎだが 昨年比80%の海外送金率にとどまっている  こうした国民の不満鬱憤が高なる中 以前 ネパール毛沢東派が起こした暴行事件などが 暴露され始め 被害者らによる大規模集会が各所で行われた  いまだに武器管理とマオ派の軍隊 旧政府の軍隊の合併問題に決着がつかず ネパールは近未来 無政府状態になるのではと危惧している   渥美 よりこ

●在ネ日本大使館からのお知らせ
鳥インフルエンザの発生ついて  東部タライ地域に位置するジャパ郡メチナガル市カカルビッタ地区において 1月中旬鳥インフルエンザが発生しました  当地の訪問はなるべく避けることをお勧めします  鳥インフルエンザに関する情報は下記をご参照下さい  
外務省 海外安全ホームページ 鳥・新型インフルザ関連情報 
http://www.pubanzen.mofa.go.jp/
  
●ネパールの民話 ご好評いただいた ネパールの民話 今年はこれで行きます 
第1話 黄金の水の秘密
むかし チベットのラサに移住したネワール民族の男がいました  男には仕事がなく いつも貧乏でした  男は家族を養うことが出来なくなり もう死のうと思いました   ある日 男は家を出て行きました  男は川岸に立ち まさに飛び込もうとしたとき ひとりのおじいさんが現れました  
「お前さん どこへ行く気だったのかね」とおじいさんはたずねました  
「もうあの世へ行こうかと思っていたところですよ おじいさん」
と男は答え それから自分の惨めな生活ぶりを話しました  
「いやいや まだ死ぬことはないよ  お前さん達が生きていける方法を教えて進ぜよう」
と おじいさんはやさしく言いました  
そして おじいさんは男に 黄金の水を作る秘密の方法を教えました  
「それは きっとお釈迦様やほかの神様たちの 尊い仏画を描くのに使われるようになるだろうよ」
と おじいさんは言い残し あっという間に消えてしまいました  
あー あのおじいさんはきっと神様だったんだ と貧しい男は思いました  

さて 男は家に帰り さっそく教えられたとおり秘密の方法で黄金の粉を作り それを液体に変えることに成功しました  それからというもの 男のところにはたくさんのお坊さんや商人が 銅の仏様に黄金を塗ろうと押しかけてきたので、男の生活はどんどん楽になってきました  
やがて この黄金の水は 伝統的な芸術品のタンカ 仏画や曼荼羅 にも使われるようになりました  そして 貧しかった男の人生は好転し チベット人の妻と子供たちと一緒に幸せに暮らしましたとさ。

●事務局便り 
事務局担当 高梨憲司
明けましておめでとうございます 謹んで新春のお喜びを申し上げます  
と言いましても既に1ヶ月を経過してしまいました 皆様にはいかがお過ごしでしょうか お陰様で私は年末に退院し 今まで同様に仕事に付いております 皆様には大変ご心配をお掛けし 申し訳ございませんでした  同僚の評価によると 入院以前よりも元気で若返ったようだと言います  それもそのはず 体のリフレッシュ工事をしたわけですから 10歳ぐらいは若くなったと思っています  人間も50歳を過ぎるとリホームをした方がよいようです 皆様も時々入院すると若くなりますよ 笑い 

昨年秋にアメリカを震源地に発生した 100年ぶりの経済危機は 世界をかけ巡りこれまで経済の安定を維持していた日本も例外ではなく 大変厳しい状況にあります  NBSAの活動を考えると 途上国の状況は一層深刻なことと思います  年頭にネパールから帰国した娘の話でも 現地は1日16時間の計画停電とか しかも一番必要な時間に電気が来ない  裕福な人たちは自家発電を用いることができても 大半を占める貧困層は寒さとひもじさに震えている 満足に仕事や勉強もできない そんな有様を想像すると胸が熱くなってしまいます  

ところで2008年度も後2ヶ月で終わろうとしていますが 今年度の会費を納入された方が会員全体の65パーセントに留まっています  厳しい経済状況の中でお願いするのは誠に恐縮なことですが 事情の許される方は早めに納入をお願いします また先般渥美さんの報告にもありました通り 青山さんを中心とする支援者の方々が 柏市においてイベントを企画してくださり 支援の輪を広げると共に貴重な収入を得ることができました  たとえ小さな営みでも結構です こうした試みが各地で行われるなら 塵も積もれば山となる のことわざのように 今は小さな支援の輪でもやがて全国に広がることも夢ではないと思われます  それぞれの立場でできることをご検討いただければ幸いです  どうぞネパールの視覚障がい者のためによろしくお願いいたします  

NBSA入会をご希望される方は 事務局にご連絡いただければ 振込口座取扱票をお送りいたします 
事務局 〒284
0005 
千葉県四街道市四街道1−9−3
視覚障害者総合支援センターちば内 NBSA
電話:043−424−2501

NBSAネットニュース 編集と文責 渥美よりこ カトマンドゥ在住
2008年2月4日

NBSA: http://NBSA.sakura.ne.jp/ 
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