――― NBSAネットニュース2009年4月号 ――――

ネパールの視覚障害者を支える会(NBSA)の会員 支援者の皆様

 

本年度も大変お世話になりました  不況の折にも関わらず会員の方々が こういうときだからこそ 途上国は日本よりもっとダメージを受けているに違いない と暖かいご支援をお寄せくださった方が大勢いらっしゃいました  本当に嬉しい限りです  

こちらの電力と水の不足はますます深刻になりましたが スタッフ一同元気に活動を続けています  事務所の前庭には 水もやらないのに 紅色のブーゲンビリアが咲き誇り 名も知らぬ草花が埃にまみれてつぼみをつけています  それはまるで 日々の過酷な生活をものともしない ネパールの人々のようでもあります  2009年度も 引き続き 事務局 現地スタッフ一同 ネパールの視覚障がい者の前進のために 心を砕いていきたいと思っています  

 

●現地活動報告  

定例活動

先月同様 電力の不足のため カセットテープ ライブラリーと点字隔月紙の編集が

予定通りできませんでした  しかし 2008年度のカセットテープ作成目標数60冊は 4冊及ばないだけで 朗読ボランティアさんたちが本当に頑張ってくれました  点字情報紙のほうは 残念ながら 隔月発行の 年間6冊を果たせず 5冊の発行にとどまりました  

 

その他の活動

小冊子 視覚障がい者の生活自立訓練の出版がやっと終わりました  原稿は早くから準備していましたが ネパール語タイプや印刷などに膨大な時間を費やし 年度末にやっと完成  視覚障がい児の親の会などを経由して 今後 多くの人々に配布されます  もちろん音訳もしますので 自活をしている人々にもカセットテープにして送る予定です  

 

●昨年の12月号でご紹介した 神戸のシルバーカレッジの英語点字グループから 今度は 英語版ヘレンケラーの自叙伝をいただきました  盲聾という重複した障がいを持ちながら世界中の人々に 愛の光をともした人として ネパールでもとても有名です  本当にありがとうございました  厚く御礼申し上げます  

 

●質問コーナー 音声ソフトってなんですか

会報23号と重複しますが よくある質問なので ネットニュースでも紹介させていただきます  ご質問に答えてくれるのは 千葉県の事務局を担当している 高橋恵子さんです

私たち重度視覚障がい者は パソコンを操作する際 マウスを用いることができません  MS DOSの時代と同様 OSがWINDOWSになっても 全ての操作を キーボードを使って行ないます  そのときに不可欠なのが 画面の状態を読み上げる音声ソフトです  カーソルが現在何ページ何行目にあるか 入力した文字列を読み上げ 更に 漢字変換の際には音読みや訓読み、熟語などによって漢字を説明します。たとえば  ちば と入力して変換すると 私が使用している音声ソフトは  漢数字の千 葉緑素の葉 よう 葉(は)と読み上げます  文字を見た経験を持つ中途視覚障害者ならば適切な文字を選ぶことは容易ですが 幼児期に失明し 点字によって教育を受けた者にとっては パソコンの捜査に加えて 平仮名・片仮名・漢字を適切に用いることが課題です  また 音声ソフト自体が 地名や人名の読みに弱点を持つことも問題です  それでも以前に比べればはるかに聞きやすくなりましたし これからも改善されることが期待できます  

 

なるほど かなり難しそうです  漢字の持つ意味をよく知っている人でなければ日本語の音声ソフトが使えない ということですね 高橋さんの原稿には間違えがまったくありませんでした すごい語彙力をもつ方なのですね  

 

●ネパール関連ニュース 

お知らせ 旧王宮ナラヤンヒティが博物館になりました  入場料は外国人500ルピー ネパール人100ルピーと高く しかも写真の撮影は禁止です

 

3月10日 亡命半世紀 チベット仏教最高指導者ダライ ラマ14世がインドのダラムサラでの記者会見に応じた 50年前のチベット動乱後にインドに亡命したことについて 常に正しい決断をしたと思っている と強調した  だが チベット問題の展望は依然開けず 亡命生活のさらなる長期化も避けられない  ダライ ラマの後を追うようにヒマラヤ山系を越えて命からがらこの地にやって来たチベット人たちの子孫の間でも いらだちが募っている 特にインド在住の亡命者たちは すでに2世の代に渡ってインド政府の差別的状況に置かれていると批判的だ ちなみに インドで約11万人 ネパールで約3万人が生活 チベット動乱から50年の間に分布が南アジアから欧米諸国へと拡大しており スイスで欧州最多の約4千人が 米国で約9千人がそれぞれ暮らしている  

 

3月12日は世界肝臓病の日だそうで  肝臓病に関するシンポジウムがカトマンドゥでも開催された  南西アジアは腎臓病や 胆石が多い地域だそうであるが ネパールでは近年腎臓病が増えている  費用の面で早期に手術を受ける人が少ないが 2008年度は1万9118人が手術を受けている  このため政府は75歳以上の高齢者への透析の無料化 5万ルピーまでの治療費の免除を新年度から実施することになった  

 

3月17日 県にとっても誇り と高知知事がラトナチュリに登頂者9人に表彰

昨年10月に平均年齢64歳でヒマラヤ山脈のラトナチュリ 7128メートル の登頂に成功した県山岳連盟ラトナチュリ登山隊のメンバーが17日 県庁を訪れ 尾崎正直知事に報告  同隊は当時59から68歳の9人で結成し 約2年半の準備を進めて同年9月1日に出国  ネパールの首都カトマンズからキャラバンを開始し 同月19日に標高約5200メートル地点にベースキャンプを設営 さらに前進キャンプの設置などで高度順応を図り 10月4日 山本誠治副隊長64才と刈谷範光副隊長61才がスタッフ5人と頂上にアタック  約9時間半の登山の末 世界で2番目の登頂者となった  


3月12日 ギャネンドラ前国王が政変後初めて外国 インドに渡航した  時を同じくし マオ派政権と一線を画す政党の大物が 健康診断を理由にインドに渡航している  何かどんでん返しを計画しているのではないか とジャーナリズムの的になっている  

 

パシュミナ ビジネスの行方  一時期落ち込んでいたパシュミナ産業が 再度浮上しかけたが 昨年暮れからまた危機にさらされている  特にショールの歴史の古い欧州市場での売れ行きが芳しくない  そこでよく見かけるのが安価なまがい物  品質の低下が懸念される  

 

雇用に保護主義台頭 英 米 豪 アジアで 外国人排除をというのは3月22日付け読売新聞の見出しだが ネパールなどから200万人を超える外国人労働者が働くマレーシアも1月 電機 電子産業などの急激な業績悪化を踏まえ サービス 電機 電子 繊維の3業種でビザの発給や更新に応じないことを決めた 同国のサイドハミド内相は本紙に対し 外国人労働者は汚い 危険 困難な仕事に限定する と言ってはばからなかった  ネパールの出稼ぎ労働者の数は年々増す一方だが 労働市場のダンピングが激しく 高い斡旋料金を払って出稼ぎに出ても 元手を回収できずに国に帰る人が続出している  

 

●時のネパール 

ネパールが連邦制になってから 1年近くになったが 新たに浮上してきた民族問題が超過激化している  昨年の新政府発足後は とりあえず 民族の枠を超えて大同団結のムードが高まり 王政を廃止し 多民族国家を高揚した新国歌が民衆の心を強く打った  しかし 今日では 諸民族が独自の政治的権利を強く要求しすぎ 連邦共和制の土台を  根底からくつがえし 国家や政権などを倒すのではないかとも危惧される  

 

特に南ネパールのタルーなどの諸民族 及びイスラム教徒が 3月に 独自の境地をひらくため これまで何とか丸め込んできた 南ネパールのフォーラムから脱退を求め  またマオイスト党とも一線を画す運動を展開し始めた  10日に亘るタライゼネストの影響は カトマンドゥ市民の生活にも大きな影響を与えたが 手練手管にたけたバックグランドがいる という噂もある  王政復古説もあり その予言が的中するのではないか と カトマンドゥのヤング層の中には将来を憂えている者が多い  

 

増え続ける難民  カトマンドゥでは黒色人種がかなり目立つようになってきた これまでもどういう経緯か知らないが ソマリア難民の男性などを タメル地区でよく見かた   最近では家族同伴になったのか  閑寂な住居が居並ぶNBSA事務所のあたりでも  私立学校に通う児童の姿が見られるようになった 女性のブルカ姿も目に付く    彼らは国連発行のパスポートを持っていて ネパールでの就労は認められない  ネパールのポリシーではいかなる国の難民も受け入れるようになっているそうだ  就労せずに国連のお金を落としてくれる分にはありがたいことだが  ネパールはすでに大勢のチベット ブータン難民も受け入れていて そのほとんどがカトマンドゥ市に移住し 中には中国などのとの交易で巨額の富を築き それを外国に送金している  国自体 いまだに不安定要素をたくさん包括している  最貧国ネパールでの難民受け入れ 安直な処置と疑問が残る  

 

●ネパールの民話 第3話  ガネシュ神とお百姓さん

むかし  むかし  パタンにひとりのお百姓さんがいました  このお百姓さんはカトマンドゥのクベナ  ガネシュ寺院の近くに田んぼを持っていました  ある年 米が不作になったので  お百姓さんは寺院に出かけてクベナ ガネシュにお願いしました  神様 来年は豊作になりますように  もし私の望みを叶えてくれたら 私はあなたに ほかの人のような四つ足の生き物ではなく 八つ足の生き物を お供えをすることを約束します  と誓いました  

 

当時の人々にとって 願いが叶ったり 幸運が巡ってくると 神様生に贄をささげて感謝するのは当たり前のことでした  参拝者が連れてくる生贄の代わりに 幸運の神ガネシュは 人々からいつも見返りを求められました  そのため お百姓さんの願いにもガネシュ神は驚きませんでした  でも 八つ足の生き物には興味をそそられました  ガネシュ神は考えた末 お百姓さんの願いを叶えてあげました  翌年 お百姓さんの田んぼ 他の誰もおよばないほどの大豊作でした  ガネシュ神は約束を守ってくれた とお百姓さんはつぶやきました  お百姓さんは米を蔵に納めて クベナ ガネシュ寺院に参拝に行きました  

 

ガネシュ神は 疑うような眼差しでお百姓さんを見つめました  そこでお百姓さんはカニを持ち出し 謹んでガネシュ神に差出しました  ガネシュ神の好奇心は満足しましたが このお供えには失望してしまいました  でも ガネシュ神に文句が言えるでしょうか  お百姓さんは 脚8本の生き物をお供えするという約束をちゃんとは守ったのですから 

 

●事務局便り 日本事務局担当 高梨憲司 

別れの3月 出会いの4月 と言われますが 皆様には新年度を迎え 多忙な日々をお過ごしのことと拝察いたします  日本事務局をお預かりしてようやく1年 皆様にはいろいろとご迷惑ばかりお掛けしましたが 暖かいご理解のお陰で何とかここまで任務を果たすことができました  現在 総会に向けた準備を進めているところですが どうぞ今後ともよろしくお願いいたします  
さて 3月中旬に発行した 会報23号の中の事務局便りにおいて会費納入のお願いをしておきながら お送りする際に振込取扱票の同封を忘れてしまいました  誠に申し訳ございません  そこで 会員の皆様には4月早々にお送りする総会のご案内状に総会の出欠確認表と振込取扱票2枚 2008年度用と2009年度用 を同封させていただきますので それをご使用ください  既に2008年度の会費を納入済みの方は新年度分の会費納入にご使用いただければ幸いです なお 年会費については2008年度分から学生と障害のある方に対して年会費3000円の協力会員制度 (正会員とは異なり 総会の議決権はありません)が設けられました  是非 お知り合いの方に会への加入をお薦めいただければ幸いです  どうぞよろしくお願いいたします  総会の結果についてはネットニュースの次号でお知らせいたします  

 

NBSA入会をご希望される方は 事務局にご連絡いただければ 振込取扱票をお送りいたします  

 

事務局 〒2840005 

千葉県四街道市四街道1−9−3

視覚障害者総合支援センターちば内 NBSA

電話 043−424−2501

 

NBSAネットニュース 編集と文責 渥美よりこ カトマンドゥ在住

●お知らせ ネットニュース5月号は 一時帰国のため休刊とさせていただきます 

2009年4月4日

 

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