――― NBSAネットニュース2009年8月号 ――――

ネパールの視覚障害者を支える会(NBSA)の会員 支援者の皆様

 

先日 日本の友人からこんなメールを頂きました  

渥美よりこさま 今週日本は 22日の皆既日食で大騒ぎでした  一番長い時間皆既日食が観測される悪石島では 残念ながら暴風雨で観測不可でしたが 鹿児島市は日食開始頃から雨がやみ 最大日食までほぼ観ることができ また雨でした  日食が終わる頃にはお天気が良くなり 翌日は快晴!人生もこんなもんなんでしょうか  

 

とてもおおらかなメッセージですっかり気に入ってしまいました  さて インドとネパールからは皆既日食が本格的に見えて これまた大騒ぎ  ネバーランドへ行ったマイケル ジャクソンは それって誰?とたいして報道されませんでしたが  46年ぶりの本格的日食は 前日から報道され 科学的な解説もついた  ネパールでは午前5時ごろから7時45分頃に終了  前夜いきなり 全国的休日が発表されました ネパールでは日食の日は休みにするのが通例でしたが 近代化を急ぐネパールで はてな?と思った人が大勢いたようです  これはヒンヅゥーの教えで 日食や月食は不吉な兆候で 悪いことがおきるといわれているのです  電気のない時代であったら 理解できますが 21世紀になってなぜ と疑問に思っている人も少なからずいました  日食が終わってから出勤しても十分間に合うのですがね  ネパールは何につけ ゆっくり ゆっくり 時が移っていきます

 

●現地活動報告  

恒例のカセットテープの編集と貸し出しのほか 点字情報誌のタッチ16号と17号を作成配布した  NBSAへの訪問者は雨の激しい季節になると減少する  傘をと白杖 それにかばんを持って歩くには大変なので リュックサック利用者が増えているが 女子はやっぱりハンドバッグでないと決まらない と思っている人が多いので事務所に着くときにはずぶぬれになっていて少々気の毒な感じがしますね

そのほか役員会1回  その中で点字情報誌の発行部数について討議された  紙代の節約で発行部数を少なくするという意見がでたが ネパールでは点字の本が極端に少なく 学校の教科書以外はほとんど作製されていない  せっかく習った点字を忘れてしまうのはいかにも残念  そこで 発行部数はそのままにし 毎回のページ数を少なくすることになった  

 

先週ネパール西部のダンクッタ郡の ラジオFMの編集者が事務所を訪問  ダンクッタは2年前までマオ派の戦闘で激しくダメージを受けたが  今では和解し仲良く暮らしているそうだ  そのラジオ局には6人の視覚障がい者がアナウンサーとして手伝いをしている  点字などの台本がないので 暗記した文章をそのまま読み上げるだけだが なかなかスジがよいとのこと  当地の識字率は低く 読む本自体がほとんどないので NBSAが作製した小説などの音訳本を ラジオ番組にぜひ使わせてほしいと申し出があった  こちらではNBSA作成と番組の中で一言述べてくれればよいとし  数冊の音訳小説のCDを提供した  

 

●ネパール関連ニュース 

7月15日  ネパールのサイも絶滅の危機に瀕している  

アジアには1千年も前から サイのツノを薬として用いる習慣があった  粉末にしたサイのツノを液体に溶かして飲むと 発熱などを抑える作用や精力アップするといわれている  また 最近ではサイのツノにはガン治療の効果があるという風説が広まり 需要の増加に拍車を掛けることになった  アジア地域の経済成長や アジアとアフリカの間の貿易拡大も サイのツノに需要が集まる要因となっているようだ  3千頭あまりのサイが生息するアジアでは 今年1月以降 インドで10頭ネパールで7頭のサイが密猟の犠牲になったとみられている  世界自然保護基金WWFは このままではサイが絶滅する危険があると警告している  

 

7月13日 ネパール現状報告会を開催ユネスコ世界寺子屋運動20周年 インド新聞 

世界寺子屋運動20周年の一環として訪日しているネパール ルンビニ寺子屋プロジェクトで活躍するNGO職員 カリアニ シュレスタさんらの報告会が 東京渋谷で行われた  日本ユニセフ教会連盟とともに2002年度からルンビニ郡とカピルバストゥで実施しているプロジェクトの概要について特に寺子屋で行われている「識字プログラム」の内容や識字プログラムと合わせて実施している「収入向上プログラム」や 女性のエンパワーメント 生活の質向上に関するプログラム などを中心とした報告が行われた  

なお 世界には働かなければならなかったり 学校が近くになかったりして学校に行けない子どもが7千5百万人もいる  また 学校に行けずに大人になり 文字の読み書きができない人が7億7600万人もいる  世界寺子屋運動は このような子どもたちや大人が 学びの場の寺子屋 で読み書きや算数を学べるように教育の機会を提供する運動である  

 

7月12日 温暖化 ヒマラヤ山脈の氷河研究プロジェクト ネパールで影響調査

ヒマラヤ山脈流域の氷河湖に関する研究プロジェクトの調査活動がネパールで開始された  調査活動は エベレストのイムジャ湖から開始され 地球温暖化が氷河に与えている影響などについて現地調査が行われている  

調査は年内に ヒマラヤ山脈のネパール側の中部及び西部の2つの氷河湖で行う予定となっている  1985年にはネパールのクンブー地方で氷河湖が決壊し 甚大な被害がもたらされたほか 国連環境計画などが10年前に行った調査では ネパール20か所とブータン24か所の氷河湖の湖面が拡大しており 2009年までに決壊する可能性が高いと指摘されるなど 温暖化による氷河湖の決壊で大規模な洪水が発生する危険性が数多く報告されている

 

ネパールで大きく取り上げられた 日本の衆院解散ニュース

日本ではあまり珍しくない ごめんなさい解散  ネパールではとても新鮮らしく 数日間このニュースが報道された  ネパールの政治家 及び一般人も負けを知らない というか人前で頭を下げて謝罪する という作法が身についていない  失敗は過ぎ去った事と水に流すのが通例で あえて追求しないところがある  これではいかん! 国の政治をつかさどるトップも間違えは素直に認めなければならない と多くの人は感動したようだった  

 

●時のネパール

コレラ大発生 

本格的雨季に突入した7月中旬から 凄まじい勢いでコレラが蔓延している  特に多いのは 南部と中西部で すでに2200名近く死者がでた  この季節 他の赤痢や腸チフスも多く発生するので テレビでは食事の前には必ず手を洗うよう呼びかけているが 何年経ってもこの習慣が身につかない  毎度ながら政府の対応もすこぶる遅いのには困ったものだ  

 

変わり行くネパリバンダ  

ネパールのバンダ つまりゼネストについてたびたび書いているが  ここ数ヶ月間 庶民レベルでの単発バンダが続発している  ここ180日中に 発生したバンダ件数はなんと162件 ほとんどが南部ネパールのもので 旅行者にはたいして迷惑がかかっていない  しかしカトマンドゥ市内で単発的に起こるバンダ そのほとんどが数時間で局部的な道路封鎖であるが  政治的は訴えや要求などではなく 個人的な理由で道路封鎖が行われる場合が多くなった  無論 無届デモで警官は交通整理をするだけで たいした取締り行為はしていない  たとえば バスにはねられ死者が出たりすると 遺族がバス会社に抗議をするほか 子供の誘拐犯の罪が軽いなどがあると 裁判所のほか抗議の道路封鎖バンダを行ったりする  当事者どうしの話し合いで済みそうな問題でも 日中3時間くらいバンダを行う  パートで働いている人々にとって大きな痛手だ  ネパールにはいまだに法と秩序が何であるか よくわかっていない人が多いようで これを取り締まる手立てがない  もっともこうした市民による偶発的バンダは 金と弁当で動員されるので 最終的には金のある者達がダダをこねているとしか思えないのだが  

 

●ネパールの民話 第6話 魔女の失敗

むかしネパールでは 魔女になった女は 自分が死ぬ前に 後任の魔女を育てなければならないと言う掟がありました  

 

そして 魔女になる女は 修行が終った後に魔女の女神の祭壇に生贄の子羊をささげなければなりませんでした  この生贄の子羊というのは 自分の夫か息子と相場が決まっていました 

 

かつて 年老いた魔女が若い女に 魔力を教えてやると誘いをかけました  修行が終わるころ 老練の魔女は若い女に魔法の糸を与え 一人前の魔女になるには魔女の寺院に越して来る前に 夫の首のまわりにその糸を巻くように言いました  

 

その夜 夫が眠りこんでいるすきに 若い女は紐を持って夫の元へ行きましたが 最後の瞬間に後悔し 首に紐を巻くのをやめました  若い女は家から飛び出し 家の外にある 米をつく大きな臼に 魔女の糸を巻きつけました  それから 若い女は暗闇の中を寺院に向かいました  

 

若い女が寺院にたどり着くとすぐに 年老いた魔女は若い女に おまえはやるべきことをやったかい?とささやきました  この問いかけに震えながらも 若い女は嘘をつくことに決めました  そして もちろんしましたよ ときっぱり言いました  

 

しかし驚いたことに 若い女が話終える前に 紐を巻きつけた大きな臼が寺院まで転がってきて 老魔女を押しつぶしました  さらに寺院の神々が現れ 老いた魔女に憤怒りの形相で立ち向かい 老いた魔女が命乞いをする隙も与えずに 打ち殺してしまいましたとさ  

 

怖いお話ですね  赤いひもが巻かれた臼が どうして若い女性を助けに行ったのかさっぱりわかりませんが 正義は必ず勝つ ということなのでしょうか  

 

●事務局便り 

日本事務局担当 高梨憲司  


暑さ厳しき折 支援者の皆様にはお変わりなくお過ごしでしょうか  残暑お見舞い申し上げます  また 台風8号と9号に伴う豪雨で水害に遭われた地域の皆様と 静岡県を中心とする大規模地震で被害を合われた皆様に 心よりお見舞い申し上げます  1日も早い復興を願うばかりです  

さて 今回は心温まるご報告です  ネットニュース6月号でウォークマン寄贈のお願いをしたところ 東京都八王子市在住の会員 村山 満さんが4台のすてきなウォークマンを寄贈してくださり 7月号でそのウォークマンの現地への配達役を募集したところ 同じ東京都にお住まいの会員 小島純子さんがネパールまで届けてくださりました  現地からも喜びの声が寄せられています  皆様の素晴らしい連携に事務局として心より御礼申し上げると共に 個人的にも胸が熱くなる思いで 嬉しい限りです  そこで 今一度 皆様に新品のカセットテープ もうお使いにならない使用可能なウォークマンと ルーペなどについて寄贈をお願いいたします  今回寄贈いただいたウォークマンは 現地事務所の貸し出し品として活用されるようですが できるだけ多くの視覚障がい者にお届けできたらと願っています  

    

事務局 〒2840005 

千葉県四街道市四街道1−9−3

視覚障がい者総合支援センターちば内 NBSA

電話 043−424−2501

 

NBSAネットニュース 編集と文責 渥美よりこ カトマンドゥ在住

2009年8月14日

 

NBSA: http://NBSA.sakura.ne.jp/ 

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