――― NBSAネットニュース2009年10月号 ―――
ネパールの視覚障害者を支える会(NBSA)の会員 支援者の皆様  

凧が舞う風景 
秋の大祭ダサインが終わり カトマンドゥのもしっとりとした感触が戻ってきました この時期は盆地内でも風がふくので 屋上で凧を上げる子どもたちの風景がとても可愛い  失業者が多い街です 大人も混じって凧を上げ もっと右を上げろ 左に下げろ と叫んでいる姿は ちょっと複雑ですがやはり愛らしい  日本人と時間の流れがどこか違う環境なんですね  みなさんもたまには童心に返って 子供と遊ぶ時間をとってみてはいかがでしょうか

現地活動報告  
恒例のカセットテープの編集と貸し出しのほか 点字情報誌のタッチ18号の発送  


ぜひともダサイン祭の前に仕上げようと 朝7時から編集作業をする時もありました  いまだに計画停電が実施されているので 電気が来る時間帯を狙っての作業です  また NBSAの事務所は一般的な住宅地にあるので 早朝や夜間は騒音のでるプリンターが使えません  何かと不便な条件の下で作業するのは容易ではないのですが 情報誌を心待ちにしている読者を思うと なんとなくパワーが湧いてきます   
カセットテープ事業の方は ダサイン前に小説などを借りに来た人が多かったのですが まだ返却されていません  貸し出し期限は原則的に2週間  このあたり大変ルーズで時々ストレスを感じます  

ティハール休暇のお知らせ 
NBSAカトマンドゥ事務所の休みは 原則的に政府の休みに基づいています  
休みの日  10月17日から10月19日まで  よろしくお願いします  

ニーラ アディカリさん 就職おめでとう
ニーラさんは才の先天盲の女性です  彼女は日本点字図書館のトレーニング プログラムで日本に招聘されたこともあり 大変な才女です  日本から戻り 音声パソコンの指導などしていましたが このほどパタン市の役所に就職がきまりました  現在研修中で どの部署に配属されるか決まっていませんが ネパールで視覚障がい者が事務職で採用されたのは初めて  ネパールの労働省では 障がい者の雇用率が3%から5%となっていますが 現実は1%にも満ちていません  ニーラさんの就職は 将来ネパールの障がい者に希望と勇気を与えるでしょう  

ネパール関連ニュース  
9月9日 ネパールでも中秋の名月 月餅の持込禁止 
卵や肉 ドライフルーツが多く使用されている月餅は トリインフルエンザや口蹄疫などの流入を防ぐため 世界各国で持込が禁止されている  カトマンドゥ空港でもちゃんとチェックしているとのこと  ご注意ください

9月14日 ネパール選管が箱根町議選の開票作業視察  日本の細密な選挙制度を学びたいと 近く国政選挙を控えるネパール政府の選挙管理委員会関係者が13日 箱根町議選の開票作業を視察した  視察団長は 日本のシステマチックな開票作業に驚いた 現状では選挙妨害は少なくないが ネパールの民主主義の発展のために尽くしたい と話した  2008年5月に王制が廃止されたネパールは 制憲議会を設置して新憲法の制定を目指していて  11年までに国会議員の選挙が行われるため 政府選管の人材育成を目的に箱根での視察を決めたという 国際協力機構JICAと日本政治総合研究所がサポートした  

9月23日 鳩山首相 PKO貢献拡大に意欲 国連総長 温室ガス削減目標を歓迎 時事通信  
鳩山首相は国連の潘基文事務総長と国連本部で会談し 首相は席上 国連平和維持活動について わが国の人的貢献は十分ではないが 今以上に努力しなければならない分野だ と述べ 日本の貢献拡大に意欲を表明した  日本はこれまでネパールに軍事監視要員を送っている  

9月25日 英国とインドのスカイダイバー 世界一高い着地に成功  
英国とインドのスカイダイバー3人が 世界最高峰エベレスト近くの標高5163メートルの地点にパラシュートで降下し 世界一高い着地に成功した 3人は高度6100メートルを飛ぶヘリコプターから降下平らになっているゴラクシェプに着地した   この挑戦を支援したネパールの登山協会の代表者は スカイダイビングの着地場所として安全かどうかを確かめる テストジャンプ だったとしている  同国の観光航空省当局者は 今後 より多くのスカイダイバーがネパールに足を運んでくれるだろうと期待を寄せている  

ヒマラヤの美しさの陰で 黒柳徹子のネパール報告
2009年8月16日 14:00〜15:25 テレビ朝日系をご覧になり感動された方も多いと思います  素晴らしいメッセージも読めます こちらをクリックしてください  http://dogatch.jp/blog/news/ex/0915076566.html


時のネパール ネパールの光と影 
秋の大祭ダサインをにぎやかに祝っている中 今年はご馳走のヤギの肉も食えなかった と嘆く人々が大勢いた  ネパール人の食肉摂取量は 日本人と比べると圧倒的に少なくまた菜食主義者もいるが 高たんぱく質の肉を1年に一度くらいは取って 英気を養う人が多い  今年の秋祭では 物価高騰があまりに激しく 肉も買えなかった 1年間着古した衣類も買い換えられなかった と嘆く人が続出した 

アジア開発銀行 ADBによれば アジアの19カ国の中でネパールでは55%程度が一日1.25ドル以下の極度の生活困窮者と認定されている  しかしながら ネパールの銀行は大幅に 貯蓄率を上げている  ネパール銀行協会の発表によれば2008/2009会計年度の カトマンドゥ市中商業銀行の決算は26銀行のうち23銀行が過去最高の利益をだした  
 世界的な金融危機のなか インドなど周辺諸国の大手銀行との資本提携などでその影響が心配されていたが 国内の建設ブームなどにより大幅な増収となったもの 資金源のほとんどは出稼ぎ労働者の収益  10年以上も国外で働いているネパール人もいる  貧困格差は日増しに拡大しているし 政治的な不安定はもうマンネリ化してきた  いつか爆発する日が来るかもしれない  

ネパールの民話 第8話  バクタプルの黄金の扉 
昔 パタンのシャキャ族の少女がとなり街の バクタプルに住む男と結婚しました 少女の父親は仕事が綿密なことで知られている 偉大な金属細工師でした  バクタプルの王様は少女を通して父親の細工師を呼び寄せ 自分のために働かせました  

やがて 王様の宮殿の扉が完成しました  それは 神々や女神たちを銅メッキで浮き上がらせた赤いレンガの板でできた扉でした  王様は細工師の荘厳な仕事に いたく感激しました  王様は黄金の扉のお披露目に パタンとカトマンドゥの王様を招待しました  二人の貴賓客はこの扉に感動しましたが パタンの王様はおもしろくありません  パタンの王様は嫉妬にかられました  そして パタンの細工師がバクタプル出向き そこで傑作を作ったのは パタンにとってかしからんことだと考えました  

考えの浅い王様はただちに偉大な細工師を罰しました  細工師は再びパタンに戻ることを禁じられたので 住む家もなくなってしまいました  細工師の苦境を聞き知ったバクタプルの王様は 自分の領地の中に細工師の家を与えました  王様は細工師がバクタプルで快適に過ごせるように 土地や生活に必要なものを 何でも与えました  そして今 バクタプルのすべてのシャキャ達は 黄金の扉を作った偉大な細工師の子孫だと伝えられているそうな  

シャキャ族は 主にパタンに住むネワール民族の一派です  彼らは仏教徒で 自らを釈迦の子孫だと称しています  彼らに言わせると シャカが時と共にシャキャになまった と主張します  真相を究明する者とてなく 歴史のロマンに夢をゆだねる人々も心をひきつけられますね  この民話の黄金の扉 複製ですがバクタプルにあります 確かに細工は趣向を凝らし 素晴らしいものです  

NBSA日本の事務局
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千葉県四街道市四街道1−9−3
視覚障がい者総合支援センターちば内 NBSA
電話 043−424−2501
 
NBSAネットニュース 編集と文責 渥美よりこ カトマンドゥ在住
2009年10月7日

NBSA: http://NBSA.sakura.ne.jp/ 
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