――― NBSAネットニュース 2009年12月号 ―――

ネパールの視覚障害者を支える会(NBSA)の会員 支援者の皆様  

 

2009年 今年も静かに暮れていきます  皆様にはどのような年でしたか  お蔭様をもちまして ネパールの視覚障害者を支える会 NBSAのネットニュースを配信させていただき来年1月には6年目をむかえます  本当に長い間お付き合いくださり感謝に堪えません  記事のネタ不足に苦しむこともありましたが おかげ様で毎月楽しく読んでいます  ネパールの視覚障がい者の様子がよくわかる 最新情報が便利など 好評をいただいております  不況の中での途上国支援を続けてくださっている皆様には 本当に頭が下がる思いです  2010年も頑張っていきます どうぞご支援を賜りますよう よろしくお願いします  

皆様方には よいお年をお迎えください  

 

●現地活動報告  

定例のカセットテープ事業と点字情報誌タッチの編集  

情報誌の配送は12月下旬を予定しています  

 

その他の活動 国際障がい者デーを祝う

12月3日恒例の障がい者デー 記念パレードと集会に参加

今年の国際障がい者デーは なんとも詫びしい 小規模なものでした  世相を反映してか 動員数も少なく 仕出しの弁当も例年よりぱっとしませんでした  女性児童社会福祉省の大臣を主賓に迎える予定でしたが 最後になってドタキャンされ 副大臣が替わりにスピーチ  障がい者福祉事業に力を入れる計画があると述べました  視覚障がい者への福祉事業では 省内にトーキング ライブラリーを設置する予定との事ですが 施工はいつになるなど具体的な話はでませんでした  今回のスローガンはミレニウム宣言の実現 大人も子供も障がい者と共に生きること  

 

●NBSA現地 役員改正

現地のNBSA役員の改正時期になり 以下のメンバーが選出されましたのでご報告いたします  
役員改正について
現地では役員が2年ごとに変わります  
再選も可能ですが 自然と2年間は視覚障がい者 次の2年は晴眼者という順番になっています  
新会長 プララダ タパ 男 (旧副会長)
副会長 シャラダ アディカリ 女 (旧一般役員)
事務局長 ヤダブ ダハール 男 (変更なし)
経理  ビソ アディカリ (変更なし)

以下 一般役員 

オム プラカス 男 前々会長

シュレンドラ ガウタム 男 前会長

アルナ バスコタ 女 新人 NBSAボランティア

アドバイザー ビレンドラ ポカレル 男 ネパール全障連 会長

現地 コーディネーター 渥美 資子

以上 

今後ともよろしくお願いいたします  

 

●ネパール語点字の発明者 ボガティー先生死去

カトマンドゥ盆地のキルティプルに大学付属の盲学校があります  そこにネパールの点字の創始者のボガティー先生が 家族と共にひっそりと暮らしていましたが 11月下旬 70代という若さで亡くなりました  追悼式などは今のところ計画されていませんが 多くのネパールの視覚障がい者に愛され 死去のニュースに涙した方も多かったようです  以前ボガティー氏について会報に紹介しましたので 部分的ですが ここに紹介させていただきます  

 

2004年6月発行の会報誌 ネパールの働く仲間より

これまで「ネパールの働く仲間」では 様々な目の不自由な方々を紹介してきましたが 今回はネパールの盲人文化に 最大の貢献をもたらした先生をご紹介します  

ジャンガ バハドール ボガティ先生は 引退された後も キルティプルのラボラトリースクールの校舎に住んでいます  この学校の女性教師を会報7号で紹介しましたが ネパールの盲学校では最高学府と言われ 清楚で厳格な雰囲気が漂います  先生にネパール語点字 誕生までの経緯をうかがいました  

 

私はネパールの山岳地帯セティ郡の出身で 1960年以来カトマンドゥに住み 視覚障害者教育の発展に全力を尽くしてきました  私は始めインドでヒンドゥー語の点字を学びました  これが点字との出会いです  後 私は時のネパール国王マヘンドラに インドから手紙を書き 盲学校の建設を嘆願しました  国王にその手紙が届けられ ネパールに召喚され 盲学校を作るよう任命されました  ネパール語の点字創作に着手したのは その後からです  残念ながら誰にも手伝ってもらえず インドの仲間の協力を得て完成しました  これまでの私の人生は 盲人社会の発展に注がれ これという個人的な楽しみはなかったと言えましょう  しかし教育の普及こそ 我人生最大の喜びでもあります  

(先生はなぜか お年を教えてくれませんでしたが まだまだ若くとてもお元気です)

 

●ネパール関連ニュース  

ネパールの隣国 中国も政情不安を懸念しています  

Record China 配信

2009年11月18日香港紙 アジア時報は混迷が続くネパール情勢について報じた  ネパール共産党統一毛沢東主義派のバブラム バッタライ氏は ネパールはもう一つのアフガニスタンになる と発言したと新華網が伝えた  

昨年 連立政権を組み与党となった毛派だが 毛派兵士と国軍の統合をめぐり連立は瓦解 わずか8か月で下野することとなった  その後 反政府の抗議行動を繰り返してきたが 11中旬には3万人を動員し 首都カトマンズの首相府など官庁街を包囲する騒ぎを起こした  このネパール問題にインドと中国も関心を示している  チベットと隣接するネパールの政情不安は中国にとっても見逃せない事態  現在では毛派による統治の可能性を摸索しているとも伝えられる  先月には毛派のプラチャンダ元首相が中国を訪問した毛派による統治の可能性を摸索しているとも伝えられる  もともと毛派を支援していたインドだが 毛派と中国の接近に神経を尖らせている  不気味なのが インドはコントロール可能な混乱を望んでいる とのある専門家の分析  一方の中国は 投資に有利な安全と安定を目指しているという  

 

インドのトラ絶滅の危機 一千頭台に

11月25日 インド新聞

インドでは トラ生息数が減少の一途をたどっている  現在推定される生息数は約1411頭に過ぎないと見られている  減少の主な原因は密猟などで これまで殺害が確認されているトラの数は 2006年22頭 07年 30頭 08年28頭 09年56頭と増加しており 保護強化が急務となっている  なお 10月末にネパールで開催されたトラ保護に関する国際会議では 世界のトラ生息数も3500から4千へと減少していることが報告されている  20世紀初頭には10万頭以上いたとされており 過去100年間で約25分の1以下にまで激減している

 

領事館  関西に開設を  府や商議所9カ国に要望 京都  12月3日17時毎日新聞  

府と京都市 京都商工会議所は 関西在住者が多い9カ国の駐日大使に 京都など関西地域に総領事館や名誉領事館を開設するよう要請する文書を送った  同市ではフランスに続いて他の国の領事館を誘致して国際交流を促進したい考え  文書は10月23日付で 経済 産業 観光 文化などさまざまな分野での交流を一層深めたい として総領事館や地域の住民らが領事を務める名誉領事館の開設を要請している  その上で京都の歴史や文化の豊かさ 大学やベンチャー企業の多さ 京都議定書誕生の地であることをアピール  関西地域が独自の経済 文化圏を築いていることも強調した  9カ国のうち ブラジル ペルー ボリビア ネパール マレーシア 南アフリカの6カ国には総領事館 カナダ イラン エジプトの3カ国には名誉領事館の設置を求めた  市国際化推進室によると 関西地域には大阪市14 神戸市2 豊中市1 堺市1 京都市1の計19カ国の総領事館がある  山崎弥生 同室企画調査係長は 領事館があると旅行者は安心できる  誘致は観光振興のための一つの手段にもなる と話している  

 

エベレスト最高齢登頂者 再決定

生年月日があやしいことから今年の五月にもめた ネパール人に高齢登山者ミン バハドール セルチャン氏を ギネスはエベレストの最高齢登頂者に認定した  先にギネスは三浦雄一郎さんを認定したばかりであるが 何故今頃別人を認定したのか 同時期セルチャン氏の周辺にいた諸外国の登山家からも別の意味でクレームは多いそうだ  


●時のネパール  

今年の乾季もまた 水不足に苦しまれそうなネパールだが なんと16時間停電が実施される予定  電力を水力発電だけに頼っているネパール 早々に改善策が必要なはずであるが ネパールの政治状況は相変わらず混乱を極めていて 国家の事業計画など棚上げにされっぱなしだ  11月3日から2日に渡り マオイスト派はネパールの都庁 シンハダルバールを完全に包囲した  現政権への批判行動であったが 即時 国会の解散を訴えるというものではなく 他政党の非難ばかりで 政党間の醜い勢力争いという感じに多くの市民は失望感を覚えたようである    ただでさえ遅い役所仕事が さらに遅くなり 市民は迷惑をこうむった  

11月の終わりになってやっと憲法の草案ができたが まだ完全なものではない  どの党も確たる指針がないまま 権力闘争に没頭し 有権者は政治に見切りをつけ始め どの党でもよいから 抗争のない平和を望み なによりも水や電気 それにガソリンの供給をしてくれる党であれば 首相が誰でもかまわない とまで言い出した  今後ネパールはどのような形で政治が動いていくのか皆目見当がつかないが インド 中国の脅威のみならず 国連機関の監視なども適当であるか否か 十分に警戒しなければならない点と思われる  

 

●ネパールの民話 第9話 金の鯉

 

ずっと昔のことです  ムスキコットにマガル族の王がおりました  ある日  タクリ族の男がやって来て マガルの王にここから何か見えますか と尋ねました  

 

「何も見えないよ」と王は答えました  

「バディガートに大きな金の鯉がいます  王様がその鯉を見たいなら お見せしましょう と男は言いました  

 

王様は金色の鯉を見たくなりました  そこで 王様は男と一緒に川まで行き  速い流れの水の上に突き出ている岩の上へ連れて行かれました  

 

男は下の方を指さし 金色の鯉がいますよ と言いました  

「私には鯉がみえないよ」と王様は答えました  

男は「もっと先の方まで行ってください  そうすれば鯉が見えますよ」と言い返しました 

 

王様が崖の端のふち近くまで行った時 男は後ろから突然王様を川に突き落としました  それがマガル王の最後でした  

 

タクリは急いで取って返し 我こそがムスキコットの王であると宣言しました  それから 男は自分のための使用人を集めました  男は 自分の牛のために草を刈らせました  さらに男は 村人が作ったギー(バターのようなもの)を持ってくるよう命じました  その時以来 ムスキコットのマガルの人々にとって 税と難儀な使役が続くようになったとさ  

 

この物語のバックグランド 

マガル族とは西ネパールの先住民族  この物語は 統一ネパールがヒンヅー教徒系の人々によって平定される過程を表したもののようです  タクリとは 当時の王族や貴族階級の人々で 少数ですが 今に至るまで様々な分野で権力を振るっています  

 

●お知らせ 

まことに勝手ながら12月7月から1月2日までインドに行ってきます  

その間のご連絡や照会などは 次のメールアドレスにお問い合わせください

yorikonepal@hotmail.com

どうそよろしくお願いいたします 

 

●NBSA日本の事務局

〒2840005 

千葉県四街道市四街道1−9−3

視覚障がい者総合支援センターちば内 NBSA

電話 043−424−2501

 

NBSAネットニュース 編集と文責 渥美よりこ カトマンドゥ在住

2009年12月6日

 

NBSA: http://NBSA.shakura.ne.jp/ 

本会の活動や最新版の会報誌を更新しています  ぜひご覧ください

NBSAネットニュースは音声パソコン対応編集をしています

NBSAネットニュースは会員以外の様々な方に流しています  受信をお望みでない方は ご面倒でもご連絡ください