――― NBSAネットニュース 2010年1月号 ―――

 

ネパールの視覚障害者を支える会(NBSA)の会員 支援者の皆様  

 

明けましておめでとうございます  と言ってもお正月はとうに過ぎて 休みボケがすっかり抜けたことだと思います  年賀状 メール年賀もすっかり読み終え NBSAのネットニュースがなぜか新鮮に感じてもらえるといいなと思い うけを狙って成人の日に間に合うよう配送することにしました  

 

2009年を振り返って

2002年 ビレンドラ国王暗殺事件をきっかけに  ネパール共産党マオイスト派の戦闘が激化 ついにはシャハ王朝を壊滅に至る 全国的な闘争が展開 されました  旧勢力の加えマオイスト党を含む新政権を発足させたもののいまだに政治的安定性が見出せません  また この10年間 低迷するネパール経済は 大量のネパール人労働者を 世界各地に派遣させ続けています  私は昨年12月のほとんどをインドのデリーに滞在していましたが どこに行ってもネパール人労働者を見かけました  その数なんと50万人  ちょっと大げさな気がしますが ネパールには産業もだめ 農業もたいしたことがなく 当面は外貨を得るためには出稼ぎしかないのかもしれません  2010年できたら光明を見出せるような奇跡が起きればいいなぁと個人的には思っています  

日本経済も徐々に回復に向かっていると聞いております  ネパールを愛する皆様 ネパールの視覚障害者にもいつくしみをかけてくださりますよう どうぞよろしくお願い申し上げます  

 

ネパールの視覚障害者を支える会 会長 渥美 資子

 

●現地活動報告  

定例のカセットテープ事業と点字情報誌タッチ19号の発送

このところ カセットテープを借りる人が減っています  今年の冬は一段と寒く バスを乗り換えて事務所に来る人が減っているからです  NBSAの事業は定着し 日々の仕事も安定感を見せているのですが  天候や祭に左右されて 月々の利用者数がまちまち  ボランティアも同様です  暖房設備などどこでも不十分 12月から3月までは 少しゆとりを持って仕事ができそうです  

しかし 点字情報誌の作成は順調で ほぼ遅れなく配布しています  この点字情報誌は 何度も触れましたが ネパール唯一の点字の新聞です  今年も頑張って作成と発送を行いますので 応援してください  

 

●1月4日 点字の発明者 ルイ ブレイユの誕生日を祝う

ネパール盲人協会が開催する恒例イベントですが 今年はあまり意気が上がらず 点字の早打ちコンテストは参加者が11名と過去最低  昨年高校生で優勝した スシル アディカリ君が 今年は大学生になりまたしても優勝  自由詩の発表は 女性の参加者が多く入賞しました  

 

●事務所の営業の短縮と時間の変更

昨年から懸案になっていた事業日数の削減を 今年の1月から実行に移しました  事務所訪問者が昨年よりかなり減ったこと共に 人件費の節約にあります  これまで の正規の職員をパートタイマーにし ネパールの公休日 土曜日も開館します  また 開館時間は 12時から午後4時まで  その間カセット本の貸し出し業務を行います  さらに これまで事務所でボランティアに朗読をお願いしていましたが 

今後 家や学校にパソコンのある学生ボランティアなどには 自宅で朗読してもらい 事務所で編集作業を行います  

2010年新体制での出発ですが ユーザーの方々に理解を求め 支障のないように

頑張ります 今後ともよろしくご声援ください  

 

●大変に貴重で 素晴らしい点字本を頂きました

岩手県の三杉会の方々から 英語点字の小説とすてきな英語の絵本を数冊頂きました  絵本はすべてユニバーサル デザインのものです  この絵本は視力に障がいのある子もない子も いっしょに楽しめるもので 絵本の各ページに透明のプラスチック製点字シールが貼ってあります  お友達や家族がいっしょに楽しめる絵本  そのアイディアもすごいのですが  シールの貼り付け位置などまったくゆがみがなく素晴らしい装丁です  

日本でも有名な絵本の数々  ノスタルジックで世界的にもかなりヒットしたものを点訳してくださいました  私が子供に読んで聞かせたものや 私自身小学校のときに大好きだった デズニーの眠れる森の美女など 時代や国を超えて 子供たちに夢と希望を与えてくれるものばかりです  早速特殊教育の先生に見に来てもらいました  ネパールには本当に哀れをもよおすような貧弱な絵本しかなく 本といえば学校の教科書しか読んだことがないまま 成人する人が大勢いるのです

美杉会から頂いた童話の洋書は以下の通りです  

 

川岸をはさんで大騒ぎ  

ニコラス グリーブの幽霊  

だぶだぶうわぎの男の子  

子うさぎホッパー  

眠れる森の美女

 

懐かしい 子どもに読んで聞かせた時を思い出した方も多いでしょう  私はなんと50年前に感動したデズニーの眠れる森の美女を 東京日比谷の映画館で観たことを思い出しました  ネパールの子どもたちにもきっと喜ばれると思います  本当にありがとうございました  

 

●こちらも愛情こもる寄贈品を頂きました

NBSA事業とは直接関係がないのですが 日本語点字で書かれた外国人のための日本語教科書を神戸の点訳グループ シックス ポインツから頂きました  もうお馴染みですが同市のシルバーカレッジ英語点字サークルの多大なご協力を得たものです  昨年夏から外国人のための日本語検定試験に向けて 地道に勉強をしていたラジェス チャパンガイ君が 10月よりカトマンドゥの国際言語大学の日本語学課に入学しました  こちらには日本語点字の教科書がないので 授業を受けても読むだけでした そこでどうしたらよいかシルバーカレッジの川岸さんに相談したところ 即座にアクションを起こしてくれ 同市の日本語点訳グループ シックス ポインツに教科書の作成をお願いしてくださったのです  1年分の教科書の半分以上を大急ぎで点訳し カトマンドゥのNBSA事務所に送ってくれました  暮れの忙しい中 皆さん本当によく頑張ってくださったものだと 嬉しいと共に驚きました  国際言語大学で日本語を学ぶ学生は200人くらいいるのですが 視力に障がいをもった学生はラジェス君だけ  本当に ひとりはみんなのために みんなはひとりのために という言葉を実感し 点訳教科書を手にして 私は思わず目頭が熱くなりました  シックス ポインツの皆さん そして仲介役を務めてくださった川岸さんに 心より御礼申し明けます  

 

●ネパール関連ニュース  

■中国がネパールに3億円弱の軍事支援 軍病院の建設も 

ネパールメディア  12月18分配信 Record China

ネパールメディアによると 同国を訪問中の中国代表団はバンダリ国防相 統一共産党 と会見し 総額約2億7千万円の軍事支援を行うことを表明した 17日付で環球時報が伝えた記事によれば 中国代表団とバンダリ国防相はネパールへの支援問題について話し合った  同相は中国側に首都カトマンズでの軍病院建設を要請した  また 環球時報が情報筋の話として伝えたところによると 中国の軍当局は昨年 ネパールに数百万元 1元約13円 相当の軍事支援も行っている  これに対抗して インドもネパールに武器輸出の復活を持ちかけたという情報もあるという  

 

■12月19日 スターの恋人で有名な 韓国俳優ユ・ジテ氏は東京で開催されたファンとの集いで 近いうちに結婚の話を匂わせた  ハネムーンは?と聞かれると 彼女をヨーロッパに連れて行きたいです 笑 一人旅ならインドやネパールがいいですね  とのこと ネパールは新婚旅行に向いていないのかな?

 

■12月中旬 ヤダブ大統領インド訪問

 ヤダブ大統領のインド訪問は先に来ネしたムケルジェーインド外務大臣から要請されていたものであるが 本年1月の予定はシン首相の健康上の理由で延期されていたものである 新しいスケジュールは明年2月中旬ということである

 

■12月31日 マダブ クマール ネパール首相の中国訪問  

温 家宝 首相の招聘により36名の随員を従えて中国を訪問していたネパール首相は31日カトマンズに帰着した  北京では温首相のみならず胡 錦濤 主席との長時間にわたる会談の中で中国からの経済協力が確約された 現在中国政府はネパールの国家再建に向けて電力 道路などのインフラ整備に多大の協力をしているが さらに空港 農業セクター、青少年の交流等にも力を入れるようである  一方政治的には チベット 台湾は中国の国内問題であり 一つの中国 を支持した  

 

大国 インドと中国には挟まれた弱小国ネパールの将来はいかに  ネパールは第2のアフガンと言う声も上がっているようですが むしろ中立緩和地帯のネパールであってほしいものです  

●時のネパール  

誰もがうんざり マオイスト党のネパリ バンダ  

これはネパール全土のゼネストのこと  昨年5月にネパール共産党マオイスト党の党首 プラチャンダが首相の辞任後 新政府の巻き返しを狙う 毛派バンダがいまだに続いている  昨年12月の20日から3日間 全国的なバンダが実施されたが 昨年中で一番徹底したバンダであった  車両は救急車以外全部規制され バイクも自転車すら通さなかった  自宅で謹慎し バンダに賛同の意を表せ というものらしいが この間経済活動はストップし 次代をになう学童の学校さえ強制的に自宅待機を強要させられた  しかしながら このバンダを揺り動かしていた多くのマオ派の青年たちは 地方から日当を払って駆り集めた青年たちで カトマンドゥ市内の学生は徐々にマオ派から離脱する傾向にある  今後 マオ派自身が暗中模索のようで 今後どのような戦闘態勢をとっていくのか 党内でも意思統一ができていないようである  

 

大寒波襲来  今年の冬は一段と寒さが厳しく 南ネパールのタライでは凍死者が激増している  この時期 タライ平野に沈滞する雲がヒマラヤ山脈を越えられず 3週間位 まったく陽の射さない日が続く  普段は大変に暑いので 寒さの備えがなく また栄養状態も悪いので 一晩で亡くなる人が大勢いる  NBSAは当地を訪問してくださった方々の不要になった衣類を回収し 南ネパールに送っています  本年度も当地で回収を行いますので ご協力ください  

 

2009年 時の人  ネパールの英字新聞によると 昨年の芸能界スターの筆頭に マイケル ジャクソンを選んでいる  2位は離婚問題を抱えたタイガー ウッズ 3位は若くして亡くなった  ジェイド グッティ  のこりはインド映画の俳優さんたちでした  ネパールも若い人の間では ロックが主流 ネパール民謡や流行歌を離れる人が多くなったようだ  

 

●ネパールの民話  第11話 失われた三つの王国

昔 バクタプルとパタンとカトマンドゥの王が ネパールの北にある聖なるゴサインクンド湖に そろって巡礼に行きました 湖はマハデブ神によって作られ 彼自身もそこに住んでいると言われていました  

 

マハデブ様へのお供えとして バクタプルの王は石でできた雄牛の像を水の中に置きました  パタンの王は銅の雄牛を そしてカトマンドゥの王は銀の雄牛を供えました  銅と銀でできた雄牛はすぐに水の中に沈みましたが なぜか石の雄牛は湖の表面をただよっていました  

 

石が沈まない奇妙な光景に バクタプルの王は他の二人の王からバカにされてしまいました  きっとお供え物が気に入らず マハデブ様は受け取らなかったんだよ と言われ バクタプルの王は 恥ずかしさと不安にかられ 自ら湖に飛び込み 石の雄牛をしっかり握って水の中に沈んでしましました  

 

残った二人の王はバクタプルの王が死んでしまったと思い 湖から立ち去ってしまいました  

しかし バクタプルの王は死んではいませんでした  王が湖の底にたどり着いてみると すぐそばにマハデブ様がいるのに気付きました 王は嬉しくて我を忘れ ネパールの3人の王の中で一番幸運だと思いました  

 

けれども マハデブ様は 3人の王国はひとつにならなければならない もし いまのまま3つの国が分かれたままなら 遠からず他の王から支配されることになるだろう とバクタプルの王を戒めました 

それでも マハデブ様はバクタプルの王に祝福を与えました  その瞬間 王はバクタプルの池のほとりに立っていました  しかし この王はマハデブ様の警告に無頓着で パタンとカトマンドゥの王にマハデブ様の警告を伝えることさえしませんでした  

 

3人の王の間では 相変わらず悪口の言い合いややケンカが続き とうとう 3つの王国はゴルカの王に征服されてしまいましたとさ  

 

うーん なかなか味のある民話ですね  カトマンドゥ盆地にあるみっつの都市は 事実上 1769年にゴルカからやってきた王に滅ぼされ 2008年のビクラム シャハー ギャネンドラ国王が民衆によって追放される2008年まで支配が続いたのです  

 

●事務局だより   日本事務局 高梨憲司  

謹賀新年謹んで新春のお喜びを申し上げます  
景気の低迷 地球温暖化など 私たちの暮らしを取り巻く環境は厳寒の状況です   冬来りなば春遠からじ と言われるように 明日の訪れんことを信じて頑張りましょう  皆様のご多幸を祈念しております  

 

●NBSA日本の事務局

〒2840005 

千葉県四街道市四街道1−9−3

視覚障がい者総合支援センターちば内 NBSA

電話 043−424−2501

 

NBSAネットニュース 編集と文責 渥美よりこ カトマンドゥ在住

2010年1月14日

 

NBSA: http://NBSA.shakura.ne.jp/ 

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