――― NBSAネットニュース 2010年2月号 ―――
ネパールの視覚障害者を支える会(NBSA)の会員 支援者の皆様  

初春の香りのするネパール  寒さも緩和され 梅や桜が開花し始めました  この時期から6月にかけて カトマンドゥは大変な水と電気の不足に悩まされます  仕事ができず せっかく事務所に来てくれたボランティアさんには申し訳ないのですが 外に出て日向ぼっこをするほか何もない 辛い毎日です  事務所を訪問する利用者の足も遠のきますが 取り立てて用事がなくても 皆さんお元気?と訪ねてくれるのは嬉しい限りです  

冒頭から手抜きのようですが あまりに和やかな記事なので 1月31日の毎日新聞を借用させていただきました  
横須賀東海岸の七宝山東光寺 横須賀市津久井で 真冬に咲く「ヒマラヤザクラ」が満開となり 可憐なピンクの花が訪れる人たちをなごませている  (横須賀経済新聞) ヒマラヤザクラはネパールのヒマラヤ山脈が原産地   日本で最初に育ったものが熱海市にあり 1968年にネパールのビレンドラ皇太子 当時 東京大学に留学 より贈られた種子に由来すると伝えられる  二酸化窒素の吸収力がソメイヨシノの3から5倍との研究もあり 環境浄化木としても注目されている  
近くにはいちご狩りのシーズンを迎えた津久井観光農園があり 周辺はハイキングコースにもなっている  散策に訪れた横浜市在住の20代女性は いちご狩りの帰りに立ち寄り 冬のサクラを初めて見た  いちごとサクラの2つを楽しめてよかった とほほ笑む  
竹林に囲まれた東光寺は 平安時代に三浦半島を治めた三浦大介義明の弟 津久井次郎義行の碑や五輪の塔があり 津久井一族の祈願所としても知られる  住職の田村英厳さんは 例年は1月下旬〜2月上旬に咲き始めるが 今年は暖かい気候が続いたため1週間ほど早く満開になった と話す  見ごろは2月上旬まで  
とのことです  まだ間に合いそうですね 近くに住んでいる方はヒマラヤの桜を鑑賞してみてください  素朴な色合いが心に和やかさを感じさせます  

現地活動報告  
定例のカセットテープ事業と点字情報誌タッチ20号の発送

特別事業  2月13日に久しぶりの大型イベントをしました  
参加者 80名以上  
NBSAの事業と親の会の紹介 それに日本点字図書館から多大な援助を受けて実現したネパール唯一の点字による定期刊行誌 タッチの創刊20号を盛大に祝い さらに 昨年NBSAが出版した 生活自立訓練の本の出版記念と配布を行いました  来賓もかなり大物  ネパールの大統領顧問を迎え ネパール最大の障がい者施設と学校の校長 視力に障害のある児童をもつ親の会の代表など  驚いたのは 来賓たちが最後まで参列してくれたことです  閉幕の挨拶は新会長のプララダで 来客への感謝と共に 政府の援助を求めました  
さて ちょっとお硬い式典が終わった後が大変で 一部の参加者がなかなか帰らない  NBSAの利用者はヤング層が多く この日は男子寮と女子寮の学生が多かったので  娯楽の少ないネパールでは こうしたイベントは重要な出会いのサイト  ボランティアとNBSAの役員は 疲れ果てて退散しましたが 彼らはいったいいつまで騒いでいたのでしょうねぇ  

ネパール関連ニュース
大麻所持 ネパールで日本人容疑者逮捕  1月26日配信 毎日新聞
ネパールの麻薬捜査当局は1月26日大麻10キロ 末端価格約1900万円相当 を所持していたとして 日本人の男を25日に逮捕した  当局によると 男は大阪府出身で スーツケースに大麻を隠し ドーハ経由アムステルダム行きの航空機に搭乗しようとしていた  同容疑者は18日にインドからネパール入りし 欧州から日本へ帰国するための航空券も所持していた  ネパールでは、大麻所持罪は10年以下の懲役に科せられる  

世界最高峰での挙式も ネパールの旅行代理店が同性愛者誘致 1月22日分配信 ロイター
ネパールの旅行代理店が 象の背中に乗る結婚式や世界最高峰エベレストでの挙式を 同性愛者の観光客向けに提案している  旅行代理店 ピンクマウンテンは ネパールの同性愛者の男性3人が設立  そのうちの1人は 同国の議会で唯一同性愛者であることを公表しているスニル バブ パント議員だ  パント氏は 内戦後の復興の過程にある同国に 裕福な同性愛者の観光客を誘致したいとの考えを示し ネパールには同性愛者に対する差別がなく 急流下り ラフティングやトレッキング 登山などのアドベンチャースポーツを楽しんでもらえる と話した  ネパールでは同性愛は今もタブー視されているものの 2年前には同性愛者に平等な権利を保障する法律を作るよう最高裁が政府に命じるなど 過去数年で同性愛者に対し好意的な国へと変わってきている  

時のネパール  ネパールでは相変わらず停電の日々が続いている  
電源を水力だけに頼っているネパールでは 乾季に入るととたんに計画的な停電が実施される  ドーンとインドから石炭でも買って火力発電でもすればよいのに と思っているがガスやガソリン代の未払いで まずインドは手伝ってくれないだろう  そもそも電気代が安すぎる  しかも未払いが当たり前と思っている国民が大半で 電力会社は常に赤字を抱えている  基本料1ヶ月80ルピー 家族のひとりが1日働けばよい金額なのだが 納税者が10%未満のネパールでは 公共意識がいたって低いことにも原因がありそうだ   ちなみに NBSAの地域の停電時間帯は現在以下の通り  現在1日11時間の計画停電です  

日曜日  午前3時〜8時    午後 12〜6時
月曜日  午前5時〜11時   午後 4時45分〜9時45分
火曜日  午前6時〜12時   午後2時〜7時
水曜日  午前8時〜午後2時  午後4時〜9時
木曜日  午前9時〜午後3時  午後5時〜10時
金曜日  午前10時〜午後4時 午後6時〜11時
土曜日  午前3時〜9時    午後12時〜5時

NBSAの開館日は今年から月曜 水曜 土曜日 の12時から午後4時までです 計画停電のあおりで まともに仕事ができるのは月曜日のみ  トーキングブックと点字情報誌の作製がかなり難しくなりました  
ネパールの公共休日の土曜日以外は ろくにテレビが見られないし 電気釜も使えない状況  真夜中だけはほぼ毎日通電されているが 冷蔵庫の普及率が低いので 消費電力はほぼ必要なしの状態   たいていの場合 炊事用具や食器などは同じ場所に置くので たいした不便さを感じないが 家族団らんのテレビタイムもほとんどなくなったのでたぶん家族内の会話も減っているだろう そのうちに限られた時間内で観るテレビ番組をめぐって ネパールでも家庭内暴力が発生するかもしれない  

 出稼ぎの新しいパターン
古くはゴルカ兵の派遣から その延長で 外国でのガードマンなどにネパールの出稼ぎ労働者は 絶えることがなく かつなかなかまじめと評判がよかった  ここ10年は 取り立てて特技やキャリアが不要な 一般的な肉体労働者として  アラビア半島 途上国の粋を出かかっている タイやマレーシアでも大勢のネパール人労働者が働いている  
さらに今度は留学労働者の斡旋会社がカトマンドゥに乱立している  留学地は先進国が多く たいていは自費の語学留学で ビザ代 航空運賃 語学学校の1学期分の学費は自前  当然 留学できる学歴と旅費を出せる人に限られるが どこの国も物価はネパールよりずっと高いので すぐにアルバイトの口探さなければならない  
アパートなどは数人のネパール人留学生と共に借り +昼間の数時間は語学学校 残りの時間はアルバイト という日課  こうした留学斡旋で人気が高いのは 日本 アメリカ 英国 など  生活費がやや安いカナダ オーストラリア がこれに次ぐ  最近新聞広告でよく目にするのが フィリピン留学  フィリピンで学んで航空会社に就職しよう という触れ込みだが  東南アジアでは所得水準がもっとも低いフィリピンにまで出稼ぎに行かないと ネパールは本当にやっていけないのだろうか  私は昨年の12月から1ヶ月ほどインドに滞在した  ネパール人の場合インドのビザが不要で簡単に国境を越えられるので なんと15歳未満の子どもや売春婦までいるのには驚いた  聞くところによると インド全体で約50万人のネパール人が働いているそうだ  ネパールの議会は相変わらずポストの奪い合いで躍起になっているが もう少し 基本的人権なども見直してほしい  
ネパールの民話  第12話  王様にならなかった男
昔 マジヒという男はチベットに塩を運んで行く途中 女王が支配している国にたどり着きました  その女王は毎朝新しい男を見つけては 結婚していました  しかし なぜか結婚した男は夜の間にいなくなってしまうのです  そして 翌朝また 新しい男がその日の王様になるために 女王のもとに呼ばれていきました  

マジヒも王宮につれてこられました  女王はマジヒと結婚し その日の王様にしました  哀れなマジヒは王様になりたくありませんでしたが 相手が女王では断れません  さて 夜になりましたが マジヒはいっこうに眠れません  なんと 真夜中に 女王の鼻から2匹の蛇がはい出してきたではありませんか  マジヒは襲われる前に 何とか2匹のへ蛇を殺すことができました  

マジヒはやっと安全になりました  今まで たくさんの男たちを2匹の蛇が飲みこんでいたことを 誰も知りませんでした  夜を生きのびたマジヒは 翌日も王様のままでいました 

しかし マジヒは国を治める術をまったく知りませんでした  そのかわり 川での釣りはうまく 畑を耕すことはもっと得意でしたので この二つの仕事で 毎日を忙しく過ごしました

ある日 マジヒ王が山腹の畑にレンズ豆を蒔いている時 一人のネワール人がやって来ました  そのネワール人はマジヒに あなたはなぜ王様のようにふるまわないのですか  百姓のように働きたいのですか とききました  もしあなたが王様でいたいなら 王様らしく国を支配しなさい  もしこの国を支配したくなかったら 私に王国を任せてください と言いました  

あなたがそうしたいなら この国の王様になりなさい とマジヒは答えました  
それから そのネワール人が王様になり マジヒはかごを背負って とっととチベットへの旅をつづけましたとさ

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電話 043−424−2501
 
NBSAネットニュース 編集と文責 渥美よりこ カトマンドゥ在住
2010年2月15日

NBSA: http://NBSA.shakura.ne.jp/ 
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