――― NBSAネットニュース 2010年3月号 ―――

ネパールの視覚障がい者を支える会(NBSA)の会員 支援者の皆様  

 

暖かくなりましたね  ヒンドゥーの神様シバ神の降臨祭と 水かけ祭が終わるとネパールはすっかり春  日中は暑いくらいですが 夜のおぼろ月夜はとてもきれい  

彼女を探すイヌの遠吠えも なんだかロマンチックに聞こえます  

さて 情緒に浸っているのもよいのですが 生活面では辛いシーズンの到来です  断水と計画的な停電がカトマンドゥ市民を苦しめます  

この計画停電は毎日ですが 金曜日はかなりきつい  

 

午前10時から午後4時まで停電  そして午後6時から11時まで停電  まさに恐怖の金曜日です  金曜はNBSAの閉館日なのですが 電気製品を多量に使う我が家では 掃除 洗濯それにネットが使えないのがなにより辛い  
とくに危険なのは冷蔵庫です  肉はけっこう頑張りますね 冷凍保存のせいか まとめて買いも大丈夫  一番危険なのは卵です  卵はたいていカトマンドゥ市外の養鶏所から 卵売りのおじさんがまとめて買っておき 太い竹の天秤棒で担いで一軒一軒 卵はいらんか〜 と声をかけながら売りに来ます  私は今年59歳になりますがこうした情緒ある?光景はネパールに来て初めてみました  物心ついたときはすでに商店に卵が並んでいたのですから  ネパールの発展を阻止しているのがなんだかわかりませんが  みんなが清潔で安全な暮らしが早くできるようになるよう 祈願してやみません  

 

●現地活動報告  

カセットテープ事業  小説や大学の教科書を読んでくれるボランティアが著しく不足しています  幸い カトマンドゥのユーザーの方は急ぎのリクエストがないのですが 寒さが遠のいたので 利用者がまた増えると思われます  カトマンドゥの利用者は減っている反面 地方からのリクエストが増えています  皆さん口コミでどんな本があるのか知っているようです  カトマンドゥに用事で来たついでにNBSAを訪問する人が トーキングブックを地元に持ち帰り広がっていったようです  

先日 ラジオでクレオパトラを紹介したせいか クレオパトラの生涯についての本をぜひ音訳してほしいと要望がありました  

 

点字情報誌タッチ

先月点字情報誌タッチ創刊20号を祝う式典を行ったばかりですが すぐにタッチ21号の編集に入りました  ページ数は30ページに満たないのですが記事の収集と編集タイピングと校正をふたりで行っています 共に学校の先生  授業の合間に時間を割いてよく頑張ってくださっています  タッチ21号は今月上下旬発送予定 年間6冊のノルマは果たせそうです  

 

●昨年カトマンドゥのNBSA事務所を訪問した 日本人の大学生 宮内悠平さんから こんな感想文をいただきました  

2009年8月20日 21日にNBSAを訪問させていただきました宮内と申します  もともと僕達はネパールにおける視覚障がい者教師に関するフィールドワークを行うためにネ パールに渡航していたのですが 現地のことを別の団体の方から伺い急遽活動を見学させていただけることになりました  20日はゼミ生10名ほどでNBSAを訪れ 動の概要をうかがった後 皆で目隠しをして 杖をもって歩いてみるという体験をさていただきました  また 20日には事務所に来られている障がい者の方が全くいらっしゃらなかったので 1日にネパール人の視覚障がい者を含む 数名の方を呼んでいただき 交流という形でフリーディスカッションをさせていただきました  ディスカッションのテーマは障がいに限らず ネパールの政治や開発問題全般にわたるもので 大変楽しませていただきました  
途上国の障がい者は ある意味一番社会のしわ寄せを受ける立場にありながら 彼らが直面している問題は 社会的に広く認識されているとは言いがたい状況です  問題の性質としても 何かマニュアルにそった解決策があるわけではないような難しい問題と向き合いながら なおかつ理想の社会を目指してまっすぐ前を見続ける渥美さん スタッフの方々 障がい者の方々の姿が印象に残りました  突然現地で当日お電話差し上げたにも関わらず 快く僕達の訪問を受け入れてくださった渥美さん および21日に来ていただいたネパール人の方々には 感謝申し上げたいと思います  本当にお世話になりました  
東京大学経済学部澤田ゼミ4年 宮内 悠平


宮内さん まぁ硬い話は抜きにして もっとリラックスしてまたNBSAを訪問してください  いつでも歓迎しますよ 渥美  

 

●ネパール関連ニュース

■外国人と初の農地貸借契約 田辺市 2月15日配信紀伊日報

耕作放棄地対策で耕作放棄地を防ぐため 田辺が農地の貸借契約を仲介する事業で このほど初めて外国人との契約があった  同市本宮町の森林組合で山林業務に励んでいる外国人の男性2人がそれぞれ水田を借り 春の田植えを楽しみにしている  契約した外国人は 緑の雇用事業をきっかけに本宮町森林組合で働いているネパール人のシェルパ プードルジさんとブラジル人の石部ジョージ巽さん  シェルパさんは 生まれ故郷のネパールで東京都出身の女性と結婚  緑の雇用事業を通じて7年前から 本宮町森林組合に勤めており 作業員の班長になっている  昨年12月同組合と農地の貸借契約を結んだ  シェルパさんは「人間関係にも恵まれ 住みやすい  妻の勧めもあって農業にも取り組みたい」と話した  

 

身長56センチ ネパールの18歳がギネス目指す  2月22日配信ロイター

身長56センチというネパールのカジェンドラタパ マガルさん18才が21日 カトマンズで開かれたメディア会見に両親とともに姿を現した  マガルさんの家族は マガルさんが18歳にして世界で最も背の低い男性だと主張  ギネス記録への掲載を求めて欧州を旅する予定  

 

■PKO ネパール支援4カ月延長 3月2日配信毎日新聞

政府は2日午前の閣議で 国連ネパール支援団 UNMIN に軍事監視要員として派遣している陸上自衛官6人の活動期間を4カ月間延長し 今年7月末までとすることを決めた  UNMINに対して政府は 国連平和維持活動 PKO 協力法に基づいて07年3月から自衛官を派遣  ネパール国軍の施設や共産党毛沢東主義派のキャンプで 武器管理などの監視業務に当たって    活動期間の延長は今回で5回目  

 

■日本からネパールへ無償資金協力 コミュニティ交通改善計画 3月10日

水野達夫駐ネパール日本国大使とネパールのラメショア・プラサド カナル財務省次官は5日カトマンドゥで 9億9千万円を供与額とするコミュニティ開発支援無償資金協力「コミュニティ交通改善計画」に関する書簡の交換を行った    

ネパールの開発は2006年まで約10年間にわたって続いた国内紛争の影響などから 南アジア地域の中でも特に遅れている  地方道路の大半は未舗装であるほか 橋梁が整備されていないため 雨季には長期間 通行できなくなるなど 交通に支障を来している  国内紛争の原因とされる国内格差を是正する観点からも 地方インフラの整備は喫緊の課題となっている  

 

「コミュニティ交通改善計画」は 首都カトマンドゥ近郊と南部の穀倉地帯であるテライ平原を結ぶ主要幹線道路であるシンズリ道路(日本が無償資金協力で建設中)に接続する地方道路における雨季の通行止め期間を短縮するため 主要地方道路10路線上の渡河地点28カ所に橋梁を建設するものである  この計画により 対象地方道路で車両の通行不能日数が減少し 住民約36万人の学校や病院など公共サービスへのアクセスが改善され 雨季も市場へ農産物を出荷できるようになり 所得が向上するなど 地域の生活の質の向上や経済の活性化 都市と地方部の格差是正へと貢献することが見込まれる  

10年3月5日 日本外務省発表から  

 

■おまたせしました  人気の高い番付表です  今回は住みよい都市です  

2010年1月英経済誌エコノミストの事業部門である調査 コンサルティング企業エコノミスト インテリジェンス ユニット(EIU)が 世界で最も住みよい都市(Global Liveability Report)のランキングを発表した  1位に輝いたのは間もなく冬季五輪が開催されるカナダのバンクーバーだった  

最高および最低ランキングの詳細は以下の通り 上位10位

1位 バンクーバー カナダ

2位 ウィーン オーストリア 
3位 メルボルン オーストラリア 
4位 トロント カナダ 
5位 カルガリー カナダ 
6位 ヘルシンキ フィンランド 
7位 シドニー オーストラリア 
8位 パース オーストラリア 
9位 アデレード オーストラリア 
10位 オークランド オーストラリア

下位10位

131位 ダカール セネガル 
132位 コロンボ スリランカ 
133位 カトマンズ ネパール 
134位 ドゥアラ カメルーン 
135位 カラチ パキスタン 
136位 ラゴス ナイジェリア 
137位 ポートモレスビー パプアニューギニア 
138位 アルジェ アルジェリア 
139位 ダッカ バングラデシュ 

140位 ハラレ ジンバブエ 


●ネパールの民話  第13話  塗られた怠け牛

ある農夫が2頭の雄牛を飼っていました  雄牛たちは怠け者でのろまでした  どんな牛追い棒も餌のニンジンにも 雄牛たちは鈍感でした  農夫は雄牛たちの使い道がわからず どう扱ったらいいのか悩んでいました  

 

ある日 一人の男が2頭の怠け牛をじっと見ていて 農夫に「あなたの牛は役に立ちませんよ 私に引き取らせてください 牛1頭につき20ルピー支払います そのお金で他の牛をお買いなさい」と農夫に言いました  

農夫はたいして考えたり 悩むこともなく 雄牛を手離しました  

 

さて 怠け牛を引き取った男は 雄牛たちを 1頭ずつ別々のところに放しました  それから男は 1頭の雄牛を赤土で塗り もう1頭を白土で塗りました  それからもう一度 男は雄牛2頭を一緒にして 雄牛たちが以前一緒にいた仲間とはわからないようにしました  雄牛たちは始め お互いに不審気に見合っていましたが 一緒につながれて鋤を引かされると すぐに働き始めました 

 

男は また農夫のところへ戻って 「私は働き者の雄牛を2頭持っていますよ もし あなたが欲しいなら 雄牛を見に行きましょう 」と言いました 

 

男は雄牛たちが働いている畑に農夫を連れて行きました  そこの雄牛たちは せきたてられもしないのに 前に行ったり後ろに下がったりして さっさと畑に鋤をかけていました  賢い雄牛たちを見て 農夫は大喜びでした  農夫は自分でも雄牛たちをあやつり その働きぶりに大満足しました  そして 農夫は1頭につき2000ルピーを支払ってその雄牛たち買いました  

 

ところが 二 三日もたたないうちに 赤土と白土が雄牛の身体から剥げ落ちて 農夫はびっくり仰天  悔しさでいっぱいになりました  雄牛たちもお互いの身体を見て 驚きましたが  お互いに昔の仲間だとわかると大いに喜び そしてすぐに昔の怠けぐせが戻って来ました  農夫の方は詐欺師に大金を支払い 大いに嘆き そして落胆しましたとさ 

 

●NBSA日本の事務局

〒2840005 

千葉県四街道市四街道1−9−3

視覚障がい者総合支援センターちば内 NBSA

電話 043−424−2501

 

NBSAネットニュース 編集と文責 渥美よりこ カトマンドゥ在住

2010年3月13日

 

NBSA: http://nbsa.sakura.ne.jp/ 

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