――― NBSAネットニュース 2010年8月号 ―――
ネパールの視覚障害者を支える会(NBSA)の会員 支援者の皆様  

雨季が終わりに近づいてきました  先日は驚異的な集中豪雨で大切に育てていた観葉植物が水浸し  もうだめかなぁと思ったらからりと晴れた翌日にはまた元気になりました  人も植物もなかなかしぶとい  先日来発電所の故障でカトマンドゥは毎日8時間停電が実施されています  これも大変に不便なのに壊れてしまったものはしかたない ととりたてて文句がでないのが不思議  こんな姿勢がネパールの発展を阻止している原因なのかも知れませんが 年中不平不満を並べている日本の社会よりある意味大人なのかも知れませんね  ともあれ日本の猛暑は大変だと思います  次のネットニュース9月号を出す頃には幾分涼しくなっていると思います  どうぞご自愛ください  

現地活動報告  
点字情報誌タッチ作成再開 大変お騒がせしました  先月号で点字印刷機のコードが紛失し 場合によっては日本から取り寄せようかと考えていたのですが あっさり見つかりました  大変お騒がせしました  さっそくタッチ22号の作製に入っています  カトマンドゥに住む視覚障がい者は 様々な情報が入手しやすいのでイベント報告などつまらないと不満があるようですが 地方の人々にとってはネパール唯一の点字による情報誌が楽しみなようです  今後も頑張って発行していきます  応援してください  

もうひとつの定例活動のひとつトーキングブック  様々な小説や大学生レベルの教科書を音声化して貸し出しをしていますが  最近では教科書に要望が高まり こちらに集中しています  私個人としては様々な文学書などを聞いて教養を高めてもらいたいのですが ネパールも日本同様文学離れが進んでいるようでいたし方ありません  ネパールではMP3が普及していないので 携帯電話に教科書を録音して学習に役立てるのがはやっているようです  

7月31日に役員会を開きました  
議題は今年の盲学童のためのクイズ大会の企画とコストの削減について  
今年のクイズ大会はカトマンドゥ盆地以外に 地方のチトワンでも行うことにしました  チトワンには盲学級が設置されている学校が2校あり 教育レベルも高いので今から楽しみです  これまでクイズの出題約500問をテープに録音して事前に出場校に配っていましたが 今回はクイズの本を配布し 先生と学童がいっしょになってクイズ大会に取り組んでもらうことにしました  
他の行事については今のところ計画がありませんが ネパールでの物価上昇が激しいので昨年に続き今年も行事を絞り込み 経費節減に努めるつもりです

ネパール関連ニュース  
暴力をふるった釈迦の生まれ変わり  7月24日カンティプル紙
おととしのネットニュースで度々登場した釈迦の生まれ変わりとして名高い17歳のラム少年が 南部のバラ郡で野菜を取り来た農夫をいきなり殴りつけ 大怪我をさせて話題になりました  瞑想の邪魔をされたと注意するくらいならよいが 怒りがあまりに激しく 殴られた人は破傷風の注射をされたとのこと  

ヒマラヤを水源とする諸国が 水争いの恐れ 話し合い解決を目指せ 7月30日ザ・タイムズ・オブ・インディアは インドと中国の 水争い について 話し合いで決着をつけるべきだと論じた  以下はその概略  
世界で今 最も価値のある資源は原油ではなく水である  人口増加や都市化 気候温暖化により 地球上の水資源は急速に減少  もはやこの問題に関心を示さない国はない  特に世界最大の人口を有する2つの国 インドと中国にとっては深刻な問題だ  ムンバイの研究機関によると ヒマラヤ山脈の氷河減少は著しく このままではここを水源とする大河を持つ中国 インド ネパール バングラデシュの農業や水力発電 食糧の供給に壊滅的な打撃を与えかねない  各国は水の確保に躍起になっており 水をめぐる争いが勃発しかねない状態だ  
インドはネパールとバングラデシュとは水資源に関する協定を結んでいるが 中国とだけは結んでいない  インドの研究機関SFGは新たに ヒマラヤ河川委員会 を設置し 各国の水争いを話し合いで解決していくべきだとしている  

頑張る日本の熟年登山隊ヒマラヤへ 
静岡市山岳連盟 60代12人山頂で達成感を 7月31日毎日新聞  
メンバー12人を中心に編成した登山隊がネパール ヒマラヤの高峰 トロンピーク 標高6201メートルに挑む  8月中旬あこがれの山頂を目指す  この登山隊は 静岡西ネパールトロンピーク登山隊  同連盟が創立60周年を記念して計画し 傘下の山岳団体から参加者を募った  選ばれた隊員は60〜69歳の男女で このうち3人は海外登山の経験はない  計画ではネパールの首都カトマンズに7月31日夜に入り8月4日に高度2710メートル付近から登り始める12日にベースキャンプを設営し翌日 トロンピークの頂上にアタックする  途中の高度5000メートル付近には湖があり絶景という  

国際法模擬裁判アジアカップ ネパールなど8カ国が参加  8月6日インド新聞
日本外務省は8月23日と24日 国際法模擬裁判 2010年アジアカップを開催する  開催場所は日本外務省で国際法模擬裁判は 架空の国家間の係争を題材に 参加チームがそれぞれ原告と被告に扮して弁論を行い 裁判の勝ち負けを競うもの  今年で8回目  裁判官役を務める国際人権 人道法の専門家が両チームを審査し 予選法廷の上位 チームで決勝法廷 原則1ラウンド80分から110分までの延長あり を行う  アジア各国から書面による予選を勝ち抜いたチームが来日し 日本国内予選を勝ち抜いた日本の2チームと競い合う  今年度は 環境の保護に関わる人権侵害事件 をテーマに インドネシア シンガポール タイ 中国 フィリピン ベトナム ネパール マレーシアの8カ国から約40人の学生が来日する予定  傍聴は無料  事前に申し込みが必要  10年8月4日 日本外務省発表から  

時のネパール  
今月号は思い切りミーハー ネパールの芸能特集です  
ネパールの国会はいまだに大統領も首相も決まらずケンカをしています  ばかばかしくってやってられん!というのが一般人の意見  国際社会にもなんの影響がないのは やっぱりネパールって最貧国のひとつなのだなぁと改めて思いました  

3歳の女の子歌手デビュー カンティプル紙7月19日
なぜか顔写真つき一面が歌謡曲の話題  このソロアルバムにはネパール国家も入っている  2歳から歌い始めたということだが何となく歌としての味がない  親からばっちり仕込まれているせいかステージでも堂々としていた  父親はギネスブックに申請すると張り切っているけど うーん 認可されるかな?

米映画ソルト大ヒット
アクション女優のアンジェリーナジョリーの最新作 ソルトがカトマンドゥでも上演
されている  インドアクション映画に混じって 女性が大暴れするアクションものはネパールではまだない  カトマンドゥでは一箇所でしか上演されていないが 観客は若いカップルばかり  字幕スーパーなしの原語で上映  それでもちゃんと内容がわかっているのだからすごい  でも入場料がものすごく高くびっくり  500ルピーもした  ネパール人の給料や物価に照らし合わせると たぶん6千円くらいになるだろう  そんな高い映画を学生のカップルや家族で観に来る  うーん カトマンドゥにはとてつもないお金持ちが増えているんだなぁ と改めてたまげた!

70年代ロックを聴くなら ネパールのラジオFMで  
毎晩9時から10時までの一時間 100%完璧なアメリカン英語のナレーションでロックを流しているFMラジオ局がある  CMまで英語  流れてくる曲の選択が何となく面白い  ビヨンセや今は亡きマイケルに混じって必ず70年代に流行ったロックが流れる  キューン キューン キュンというギターをバックに ジミヘンやエリック クラプトン サンタナが演歌っぽくうなる!ビートルズやフォークソングは流れない  いわゆるウッドストック世代 エレキギター全盛期のものだ  あのキューン キューンにネパールの若者は開放感を覚えるのだろうか?私にはひたすら懐メロで 実は毎晩トランジスターラジオで聞いている  

ネパールの民話 第15話 カバハの物乞い

昔 カトマンドゥの南の都市 パタンのゴールデンテンプルにお勤めしていたカバハのお坊様が寺を離れ さすらいの物乞いになってしまいました  長い間 宗教的にも社会的にもお坊様に奉仕してきた信徒たちは失望しました  時が経つにつれて 地域の人々や若い男女達が秘密の聖地アガムに入ることができなくなってきました  
このカバハというのはパタンに住むネワール族の宗教上の奥義をきわめた人のことです  お寺にアクセスできるのは由緒正しい家系の人々で 彼らはしばしば家屋にアガムという独自の礼拝堂をもっていました  
そのカバハのお坊様がいなくなってしまったので 他の誰も信仰の道に入る手ほどきを行うことができなくなりました  聖地の秘密を打ち明け 由緒正しい儀式を行うことができる ただ一人のお坊様は物乞いになって 立ち去ってしまったのですから  

しかし 都合のいいことに彼らは素晴らしい金加工の技術を持っていたのです  金細工を献上し 彼らはパタンの王様に会うことができました  王様は彼らの芸術品に満足し ある日「褒美に何がほしいか?」とお尋ねになりました  

彼らはすかさず「王様 私達のお坊様が物乞いになってしまいました  私達はアガムに入ることができず アガムが造作ないままに放置されています  どうかお坊様をさがしてください  」と頼みました  

「どうすればいいんだ?」と王様が尋ねました  
「もし王様が施し物するというお触れをだしたら 物乞いたちはきっと集まってくるでしょう  私達は乞食の中から本物のお坊様を捜します  」とネワール族の男が言いました  

彼らに言われた通り 王様は身を寄せる所のないすべての物乞いに施し物を与えるので 王宮に集まるように呼びかけました  

物乞い達が集まった時 王様はそれぞれ一人ずつに なぜ人生をさすらっているのか尋ねていきました  そしてついに 親指につけていたリングで くだんのお坊様を見つけ出しました  しかし その物乞いは自分がお坊様であることを認めようとしませんでした  

そこで王様の命令により その物乞いは牢屋に閉じ込められてしまいました  しばらくして そこから自由になる道がないことに気づいた物乞いは 自分がまさしくゴールデンテンプルのお坊様であることを告白しました  そこで再び王様の命令により その物乞いは元の生活に戻り 本物のお坊様になりました  

しかし そのお坊様には妻がいなかったので アガムの秘密を伝えていくことができません  
そこでお坊様は結婚させられることになりました  結婚した後も お坊様は若い結婚したカップル達の願いを受け入れて 秘密のアガムに入れました  しかし お坊様に息子が産まれると すぐにまた前の物乞い生活に戻ってしまい パタンから姿を消してしまいました  息子は成長した後お坊様になり 父親がさすらいの人生のために打ち捨ててしまった伝統を受け継いでいきましたとさ  


講演会のお知らせ
障害者分野における国際協力 開発途上国における視覚障害者の就労について
講師 カマル ラミチャネ氏 日本学術振興会特別研究員
日時 2010年9月4日()13時半から16時
場所 アジア文化会館 2階 129教室  文京区本駒込2−12−13
都営地下鉄三田線 千石駅 A−1 出口 徒歩3〜4分
電話:03−3946−4121 
参加費 無料
定員 50名
講演会の趣旨  カマルさんのご専門である障がい者の教育 就労研究に基づき 障がい者の就労の現状や問題点をご指摘いただいた上で これからの障害者就労のあり方を考えます 
カマル ラミチャネ氏の略歴 
2003年 ダスキン アジア太平洋障害者リーダー育成事業 第5期研修生として来日 その後 筑波大学及び東京大学で 障害者の教育についての研究を進め 22010年3月 東京大学で博士号を取得した  ネパール出身 全盲  
プログラム 予定 13時受付開始
13時30 主催者挨拶  国際視覚障害者援護協会 IAVI 理事長 石渡博明
13時45 カマル氏による講演
15時 休憩
15時10分 IAVI留学生による体験発表  インドネシア ベトナム マレーシアモンゴル ラオス 
16時 終了
お問い合わせ お申込み
社会福祉法人国際視覚障害者援護協会
東京都板橋区蓮沼町20−18
電話:03−5392−4002
メール:h7622icb@iris.ocn.ne.jp
以上

この講演会にはNBSAは直接関与していませんが 講演をされるカマルさんから色々アドバイスを頂くことがよくあります  日本で頑張っているカマルさんの講演会にぜひご参加くださりますようお願いします 渥美よりこ

NBSA日本の事務局
〒284
0005 
千葉県四街道市四街道1−9−3
視覚障がい者総合支援センターちば内 NBSA
電話 043−424−2501
 
NBSAネットニュース 編集と文責 渥美よりこ カトマンドゥ在住
2010年8月14日

NBSA: http://nbsa.sakura.ne.jp/ 
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