――― NBSAネットニュース 2010年11月号 ―――
ネパールの視覚障害者を支える会(NBSA)の会員 支援者の皆様  

秋の大祭ダサインがやっと終わりました  ネパール独特の楽しい祝日なのですが 何かと格式ばった儀式が多くって 誰もかれも何となく疲れている様子です  このあたりが日本と違うところ  日本には宗教的な祝日がないのでピンと来る人が少ないと思いますが ネパールの場合ほとんどの祝祭日は宗教的行事に満ちています  
ある日 日本語を勉強している学生に 日本の休日について質問されました  うーん 案外説明が難しい 体育の日などは身体を鍛えようとか 敬老の日はお年寄りを敬えなど説明がつきます  ちなみに私などは毎日が敬老の日だとよいなと思っていますが  ではみどりの日や海の日のようにかなり抽象的な休みをどのようにネパール人に説明すればよいのでしょうか  海の日を祝ってどうする?魚が多く捕れる日ですか と聞かれても  はいそうです と言えないところが苦しいところ  

ネパールの祝日は宗教色が強いのですが それなりに自然の摂理にかなっているものが多いようです  初春を告げる水かけ祭のホーリー 厳しかった冬から開放されて 花々がいっせいに開くように皆が水や着色した粉を掛け合って遊ぶ日  稲が枯れないように水を呼ぶ蛇を祭る日 ナーグパンチャミ そして豊作を祝い 邪悪をはらう秋の大祭ダサインなどなど  どれも自然を敬い その恩恵に感謝する気持ちが込められている行事です  
残すは幸運と財運を呼ぶ光の祭ティハール 私たち現地スタッフにも幸運が訪れますよう 11月4日から7日までお休みさせていただきました  

現地活動報告  
先月号でお伝えしましたが 朗読ボランティアがぼちぼちと戻ってきた感じで 定期的にリーディングをしてもらえるようになりました  ひとり大変ユニークな女の子が熱心に通ってきてくれます  彼女のあだ名はゲラゲラちゃん  ほんのちょっとしたことでもゲラゲラ笑ってばかりいます  まさに箸が転んでもおかしい年頃なのでしょね  彼女が来るようになって事務所がいっそうにぎやかに そして明るくなりました  

点字情報誌事業 長らく休刊になってしまった点字情報誌タッチ  残念ですがまたしてもプリンターの故障でついに分解修理するに至りました  気ばかり焦っていますが一向に作業が進みません  残念ですが 連休後に再度トライしてみますが 読者のことを思うと気が沈みます  

ゲラゲラちゃんに続きオフィスにペットも登場
1ヶ月前から近所の野良ネコがオフィースに出入りするようになりました  幸か不幸か先日納戸で子ネコを3びき出産しちゃいました  ネパールではネコは魔性のものと言われ とかく敬遠されがちです  NBSAの利用者はかっわいい となでなでする人と 大嫌い派にわかれています  はて困ったな  3びきの子猫ちゃんたちが目が開いたら ママといっしょに自然に帰るのを願っています  

ネパールの盲聾唖児童の教育現場から  
もう何年も経ってしまいまたが カトマンドゥに唯一の盲聾学校のことを紹介したことがあります  先日この学校を訪れるチャンスに恵まれました  この学校は視力と聴力が弱い子どもたちのための学校で 設立当時は 先生たちも手探りで教え始め 戸惑うことばかりだとおっしゃっていましたが いまではもう熟練した先生になり 子どもたちをやさしく育んでいます  見えない そして聞こえない人々がどのようにコミュニケーションをするのでしょうか  ちょっと想像が付きにくいと思われますが 様々なサインを覚えさせてお互いに意思を交わすことができます  

例えばトイレに行きたくなったら手を下腹部に当てます  飲みたいときはコップを持って口にあてる動作をします そしてコミュニケーションは指点字を使います  これは人差し指と中指の6つの関節を 点字の6点に見立てて 自分の気持ちを表すことができます  とても大変なようですが 元気に登校する子どもたちを見ると 自然と笑顔がほころびます  この盲聾学級は 聾唖の子どもたちが通う学校の中にあり お友達もできやすい環境です  最年長の女の子はもう17歳になりました  ここの特殊学級はデンマーク政府が5年前から資金援助をしていますが 援助を打ち切る話が出ています  私たちの団体もそうですが 本来ならネパール政府が行うべき事業です  政党間でケンカばかりしていないで もう少し福祉のことも考えてほしいものです  

ネパール関連ニュース
最小の男 18歳の誕生日を迎えギネス認定 10月15日毎日新聞
ネパール中部ポカラでビナヤ グルアチャリ 世界で最も身長が低い男 の認定を目指していたネパールのカジェンドラ タパ マガルさん 18歳 身長67センチが14日 ギネス世界記録に正式に認められ 自宅のあるネパール中部ポカラで認定証を授与された  この日はマガルさんの18歳の誕生日 18歳未満はギネス認定の対象とならず 家族とともにこの日を心待ちにしていたという  マガルさんは プレゼントのチョコレートケーキに包丁を入れ ご機嫌だった

自然に対し謙虚に 先住民族グランマが伝統的知識めぐり訴え 
産経新聞 10月19日
名古屋で開催されている生物多様性条約第10回締約国会議 COP10 に先住民族の立場から提言するため 南米アマゾン メキシコなどに住む女性の長老 「グランマザー おばあさん 10人が19日 名古屋学院大に集い 「自然に対して謙虚に生きるべき」と訴えた   女性は 世界各地で環境保全や平和を訴えるグループ「13人のグランマザー」のメンバー  アメリカ ブラジル ネパールなど4カ国から集まった  50〜80代で 部族の儀式や伝統医療 ヒーリング(癒し)などに携わっている  フォーラムでは 米国のケルマ族のアグネス ベイカー ピルグリムさん86才が 自然と結びついた智恵のある生活が失われている と危機を説明  それぞれの女性たちが 自然を管理できると思わないで 自然の声に謙虚に耳を傾けてなどと訴えた  

ヒマラヤ遭難 本田さんの遺骨が帰国 毎日新聞 10月19日
ヒマラヤ山脈の高峰ダウラギリ 8167メートル で9月28日 雪崩で日本人1人が死亡 2人が行方不明になった遭難事故で 本田大輔さん 32才 の遺骨が19日 愛知県岩倉市の実家に戻った  本田さんは日本プロガイド協会 事務局の捜索隊によって12日に遺体で発見され 現地で荼毘にふされていた  

報道自由度 国境なき記者団178カ国調査  
インド新聞10月22日 
報道の自由確立や弾圧されている記者の支援を目的としている国際団体 国境なき記者団は2010年 世界報道自由度指数 を発表した   今年で9回目   
今年は178カ国が対象となり 昨年の175カ国から3カ国増加した  
昨年の自由度トップには フィンランド アイスランド オランダ ノルウェー スウェーデン スイスの6カ国が並んだ  7位にはオーストリア 8位にニュージーランド  9位にエストニアとアイルランドと続く  

日本は11位でアジアのトップ  昨年の17位 一昨年の29位 3年前の37位 4年前の51位から大きく順位をあげた  
米国及び米国領内は 20位で昨年と同順位  

最下位の178位は 昨年に続きエリトリア  ポイン 177位には北朝鮮で 4年連続で最下位を免れた  そのほか下位には176位トルクメニスタン  176イラン  174位ミャンマー 173位シリア 173位スーダン 171位中国など報道規制国家として知られる国 社会主義国家 半内戦状態にある国などの名前が並んでいる  
南アジアは モルディブ52位 ブータン64位 ネパール119位 インド122位 バングラデシュ126位 パキスタン151位 スリランカ158位  モルディブ ブータン以外は3ケタの順位と非常に低い評価となっている  


汚職清潔度 南アジア 総じて低評価  インド新聞 10月28日  
世界各国の汚職動向を監視している非政府組織 NGOトランスペアレンシー インターナショナルは26日 国 地域別汚職認識指数やランキング2010年版を発表した  10年調査対象となったのは178カ国地域  得点数(10点満点)や順位が低いほど腐敗度が高いことを意味する  
インドの汚職清潔度は87位で 昨年の85位から2ランク低下している  1位はシンガポール デンマーク ニュージーランド  以下4位フィンランドとスウェーデン6位カナダ 7位オランダ 8位スイスと豪州 10位ノルウェーとなっている  
最下位178位は前年と同様ソマリア  176位がミャンマーとアフガニスタン 175位がイラクだった

先進主要国では 日本が17位で昨年と同順位  ドイツは15位 英国20位 米国が22位などとランクされている  
上記以外のアジア主要各国 地域は 香港13位 台湾33位 ブータン36位 韓国39位 マレーシア56位 タイと中国78位 スリランカ91位 インドネシア110位 ベトナム116位 バングラデシュ134位 パキスタン143位 ネパール146位 ラオスとカンボジア154位などとなっている  南アジア諸国は ブータンを除き 総じて低ランクとなっている  

エベレスト頂上も利用可能に 第3世代携帯電話  ニューデリー時事 通信  10月30日  
ネパールの通信会社は29日 世界最高峰エベレスト 8848メートルの頂上でも テレビ電話や高速インターネットが可能な第3世代携帯電話が利用できるようになったと発表した  第3世代は現在の日本で主流の携帯通信規格  サービスエリア拡大はエベレスト登頂を目指す世界の登山家の助けになると期待されている  頂上での通信手段はこれまで 料金が高額で大型の衛星携帯電話などに限られていた  

池田香代子さん ネパールに何ができるか 高校文化祭で講演 大熊 福島   毎日新聞 10月31日  
ドイツ文学者で翻訳家の池田香代子さんの講演会 100人村が問いかけるもの  が大熊町の県立双葉翔陽高校であった  全校生徒337人がメモを取るなどして熱心に耳を傾けた  池田さんはベストセラーの絵本 世界がもし100人の村だったら の著者  31日までの文化祭に合わせて同校が講演を依頼した   池田さんは 生活のため通学できないネパールの子供のため 本の売り上げの一部を教材費として寄付していることを紹介  内紛で大変な国だが 国民は誇り高い  彼らが落ち着いて生活できるようになるため 私たちが何をしたらいいか 考えてほしい と訴えた  同校2年の渡辺美知さんは 私と同じ年ぐらいで教育を受けられないとは  私たちは幸せなんだなぁと思います と話していた  

時のネパール  
ネパールは 新首相の選挙も国家予算も決まらないまま 2度目の大型連休に突入した  政党間の調整がつかないばかりではなく 各党内での首相候補者もはっきり決定していないのが原因だ  こうなると公務員の給料の問題が浮上してくるのだが 聞くところによるとダサイン祭にボーナスを支給したという  ネパールの会計年度は本来7月であるのにどうやってボーナスを出したのか不思議に思っている  何せ国庫はすでには底をついているとも言われているのだから  どうにも理解に苦しむのだが とりあえず国民の不信を避けるために 国家予算審議会は今年度の予算に青少年育成とスポーツのために1億1260万ルピーを予算に割り付けると11月4日に発表した  なんとものんきな話  

一番肝心な旧国王軍とマオイスト軍の統合については まるで折り合いがついていない  そうこうしているうちに インドの極左グループ インドのマオイスト派がネパールに潜入し ネパールのマオイスト派から訓練を受けていると噂がたった  またエキスポ北京の閉会式にマオイスト派党首のプラチャンダが単独で出席するなど ネパールにもうこれ以上きな臭いムードを撒き散らすなと言ってやりたい  王政復興はもうありえない とほとんどの国民は思っているが ひょっとすると ひょっとするという感じが否めない  

ネパールの民話 第17話 カトマンドゥの聖なる壺

その昔バクタプルに お寺で仏教僧侶のために働いている小作農がいました  星占いではこの百姓は大金持ちになると出ていましたが なぜかいつも貧乏でした  百姓は星占いをやってもらうたびにお米を12マスを支払いました  百姓は占ってもらうたびに 金持ちになれるよと言われましたが 金持ちになりそうな気配はまったくありませんでした  そのうち百姓は 星占いに飽きてしまいました

ある日 百姓は占星図を川に浮かべましたが 偶然川岸で身を清めていた百姓のご主人である僧侶に拾われてしまいました  僧侶は身を清め終わると 占星図を持って家に帰りました  しばらくして僧侶は百姓の家に行き 「これはおまえのものか?」 と尋ねました  

百姓は「私はこの占星図のためにお米12マスも遣ったのです  でも 星占いに飽きてしまったので 川に投げ捨てました」 と答えました

僧侶は 「私が顔を洗って祈りをささげていると 占星図が漂ってきた  その占星図を読んで これはおまえのものだとわかった  それで 私は占星図を持ってきてやったんだよ  私達は死ぬ時にこれが必要になる  生きている間の儀式にも必要だ  だから 私はお前にこれを返すために わざわざやって来たのだ  お前には10万ルピーが手に入る日が 必ずやって来る  お前は 誰も運命を変えることができない ということわざを知らないのか?  この占星図は大事に持っておきなさい」 と言いました

この言葉を残して 僧侶は百姓の家を立ち去りました

それからなんら変わらぬ何年かが過ぎました  ある日 僧侶は仲間の何人かと一緒に ラサに行き金の取引をすることなりました  僧侶には 勇猛で信心深いポーターが必要でした  僧侶はすぐにあの百姓を思い出し 「私と一緒にラサに行ってくれないか?」 と頼みました  百姓はすぐに了解しました

ある縁起の良い日に 僧侶と百姓はバクタプルを出発し 何日もかけ 大変な苦労しながらも ラサの町はずれにたどり着きました  

すると 奇妙なことが起きました  ラサの修道院の仏陀像の頭が動き うなだれてしまったのです  その出来事はチベットの人々を驚かせ 怖がらせました  チベットの人々は像の前で「仏陀様  何か間違っていたのでしょうか 何が間違っていたかわかりません」 と嘆きました  

もちろん この嘆かわしい訴えに 仏陀からの答えなどありませんでした  人々は辛い心のまま 重苦しい気持ちで家路に着き 寝ることになりました

ラサの人々はその夜 こんな夢をみました  
「前世で 私は10万ルピーの借金をした  しかし それを返す前に 私は死んでしまった  だから私には借金が残っている  今 ラサに私が借金をした男がやって来ている  借金を返すまでは 私の頭はうなだれたままだ  私の借金を払ってくれ  さもなければ 私は大地に沈んでしまう」  
と仏様が言っている夢でした  

「誰がその男だろう」と言葉が 僧 男 女 ネワール人 カヤン人を問わず すべての人々の口から出てきました  修道士は その男を捜し回りました  ちょうどそんな時に 僧侶と百姓はバクタプルから到着し ラサの修道士のところにやって来ました  

「あなた方は昨日ラサに来たのですか?」 と ラサの修道士はバクタプルの僧侶に尋ねました  
「そのとおりです」 と僧侶は答えました  

修道士はバクタプルの僧侶に奇妙な夢の出来事を伝えました

バクタプルの僧侶と百姓も同じ夢を見ていました  僧侶は修道士に 「私の連れは農夫です  この男はずっと金持ちになるはずだと言われてきたのに 彼の人生にはお金とはまったく無縁でした  それである日 彼は占星図を川に投げ捨ててしまったのですが  その時私は偶然川に入っていて その占星図が私の手の中に入って来まことになったのです  私はその占星図を彼にいったん返し いずれお前は10万ルピーを手に入れることになるだろうと言いました  その後 私はラサで仕事をすることになり 彼に一緒に来てくれないかと頼みました 彼はすぐに了解してくれたので 私はこの農夫を連れて来たのです」 と話しました  

百姓はすぐに修道院に連れて来られ チベットの人々は百姓に10万ルピー支払いますと申し出ました  

「私はそのお金は受け取れません  その代わりに仏陀像そのものをネパールに連れて行きましょう」 と百姓は言いました  

「仏陀像を渡すわけにはいかない」 とチベットの人々は言いました

「もし 像を渡していただけないなら 私が前世に貸したお金の利子を私に払ってもらえますか?」 と百姓は尋ねました  

「それもまた出来ない相談です」とチベットの人々は答えました  

百姓は「もし 借金の利子をもらえないなら 元金も受け取りません  支払いのしるしとして何かほかのものをください」 と言いました  

「あなたは何を持っていきたいですか?」 とチベットの人々は百姓に尋ねました  


「仏陀像の前に供えてあったカラスと言う聖なる壺のをください」 と百姓は言いました  

「いいでしょう  もうあなたのものです  どうぞ持っていってください」 とチベットの人々は言いました  

百姓は壺を手に入れたことが嬉しくて 自分は幸運だと思い 聖なる壺を持って 僧侶のところにと急ぎました  なぜなら 百姓はすぐに家に帰りたかったのです

「帰り道のために お金と食べ物を少し手に入れたらどうだ?」 と僧侶はすすめましたが 百姓は 「私には この聖なる壺だけで十分です」 と答えました

百姓はすぐに ネパール向けてに出発しました

再び何日もかけて 百姓はカトマンドゥにたどり着きました  連日の徹夜で大変疲れていたので 少し休むために道端に行き カラスと言う聖なる壺聖を置きました  すぐに百姓は眠りこみ まもなく目覚めましたが 夢の中で 仏陀が 「百姓よ お前は私をネパールに連れてきた  お前は私の化身カラスを多くの道が交わる場所に置くがよい」 と言うのを聞きました  

その時百姓は その場所が 聖なる壺が祭られるべき場所であることに気づきました  百姓はそこに社を作り 聖なる壺 カラスを供えました  時が経つにつれて それは大きな聖地になりました  

その地は アサマル アジマと呼ばれ 豊穣を祈るアンナプルナ寺院が建立され たくさんの道が交差する広場になりました  これがカトマンドゥ最大の市場アサンの由来で 現在も活気を帯びていて 特に野菜市場は庶民の胃袋として栄えています  

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NBSAネットニュース 編集と文責 渥美よりこ カトマンドゥ在住
2010年11月9日

NBSA: http://nbsa.sakura.ne.jp/ 

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