――― NBSAネットニュース 2010年12月号 ―――
ネパールの視覚障害者を支える会(NBSA)の会員 支援者の皆様  

11月下旬秋のスタディーツァー無事終了 
ネパールのキラキラする瞳に会いに行こうをキャッチフレーズに これまで数回スタディツァーを行ってきましたが 今回は最高齢88歳の男性と 20代の芸術家が参加という異例の組み合わせで行いました  すっごく楽しかったです  参加者の皆さん和気あいあいと話し合い 協力しあい和やかなムードに溢れていました  カトマンドゥのここだけは押さえておきたい観光名所巡りも今回は充実し 最後の晩までお買い物に走る人もいました  カトマンドゥってなんだかすごくエキサイティングな街なのです  

釈迦の生誕地ルンビニ一帯はこの時期 朝もやに包まれ その中を素足で托鉢に出かけるお坊さんの姿に出会い 参加者はなんとも神秘的な感動に打たれたようです  また釈迦が出家まで暮らした カピルバストゥーにある質素な盲学生の寮も見学しました  寮母さんが野生のマリーゴールドなど色とりどりのブーケを用意してくれ 心のこもったおもてなしに皆感激  
ポカラでは恒例になったアマルシンハ盲学級の学生寮を見学  生徒たちの元気いっぱいの姿に皆大感激 団長の中山さんは思わず感涙  

世界で最も失明率の高い南アジアの国々のなかでも ネパールの視覚障がい者が置かれている環境は悲惨を極めています  点字の識字率は3%  ほとんどの視覚障がい者は何の行政サービスも受けられずに生涯を終えます  しかしほんの少しでも学校に通える子どもたちの瞳は 白内障でも きらきらと輝いています  元気いっぱいに勉強する子どもたちに会いにきてください  
来年もぜひスタディーツァーを開催したいと思います  どうぞよろしくお願いいたします  

現地活動報告  
定例活動のカセットテープライブラリー事業 トーキングブックの作成
朗読ボランティアが激少し 利用者のニーズになかなか応えられず焦っていますが 途切れることなく作業を続けています  

点字の情報誌タッチ
主に障がい者のムーブメントやイベントなどを編集した隔月誌は 点字印刷機の故障により長期間発行ができませんでしたが やっと修復のめどが立ちそうで 12月中に発送を予定しています  

そのほか12月は多彩な行事を行いました  
@12月3日 国際障がい者デーのパレードと記念式典に参加  
NBSAボランティアの参加は少なかったのですが 役員のほとんどが参加し他団体との交流も深めました  今年のスローガンは 2000年に宣言された琵琶湖プレニウムを2020年までに完成を!とのことでしたが 少々マンネリモードで覇気が感じられませんでした  若者の参加者がかなり減ってしまい なんだか高齢者の集いのようで少々寂しい気がしました  また 集会でのスピーチはマオイスト派の独壇場で少々非難の声が上がったようです  

A12月4日 国際ボランティアデーを祝いました
本来は12月5日ですが 今年は都合により1日繰り上げました  ネパールの餃子 モモをカトマンドゥ市内の出前中華料理の店 香港レストランに注文し ボランティアの皆さんとおいしく頂きました  今年もご協力ありがとうございました  来年もどうぞよろしくと会長のプララダ タパが簡単な挨拶を述べました  NBSAのボランティアが減少傾向にあり危惧されています  来年は新人ボランティアの育成のみならず 古米のボランティアのバックアップが必要になりそうです  

ネパール関連ニュース

ディカプリオ トラの保護に約8300万円を寄付  今行動しなければ 30年後にトラはいなくなる と声明  シネマトゥデイ 11月24日配信
レオナルド ディカプリオがトラの保護のためWWF 世界自然保護基金に100万ドルを寄付したと23日WWFがオフィシャルサイトにて公表した  ディカプリオは 地球上のトラを絶滅から守るため ロシアのプーチン首相と世界銀行が主催した初のサミットにも今週出席することになっていたが 飛行機のエンジントラブルでいったんアメリカに引き返していた このサミットには トラが自然の状態で生息する地域の13か国から高官が出席することになっている  WWFのサイトによるとディカプリオは 過去にネパールとブータンを訪問しており 象に乗ってトラの生息地を視察している ディカプリオの寄付金は主にトラの保護においては最優先事項であるトラが生息する森の保護のために使用されるという  
ディカプリオはWWFのオフィシャルサイトで トラの密猟や森林の伐採でトラの住む森が壊滅的な状況に陥っています  トラを救うことによって 古代から続く地球最後の森も保護できます  われわれが今 行動を起こさなければ地球上で大切な動物のうちの1種類は30年後にはいなくなっています と声明を公表した  
    
ダルビッシュ 有にチャリティーのススメ ゴールデンスピリット賞 
スポーツ報知 11月26日配信
プロ野球人の社会貢献活動を表彰する報知新聞社制定 第12回ゴールデンスピリット賞 の表彰式が25日東京で行われた  日本ハム ダルビッシュ有投手が 開発途上国に対する援助を目的とした「ダルビッシュ有水基金」などの活動が評価され受賞  
小さい頃からお父さんがイラン人ということもあって何度か行かせてもらった  その時に貧しい人も見て大きくなった時に貢献したいと思った と設立した水基金では07年から1勝10万円 賛同者の寄付も合わせ900万円近くが集まり ネパールなどで井戸を設置した                            

日本キックボクシング ネパール人初のチャンピオン誕生!一貴と加藤竜二が初防衛

格闘技ウェブマガジン11月28
11月27日 東京後楽園ホールでMA日本キックボクシング連盟トリプルタイトルマッチが開催された  日本フライ級タイトルマッチはチャンピオンの加藤竜二が前チャンピオンの飛燕野島とドローで初防衛に成功  MA日本スーパーライト級王座決定戦はモハン ドラゴンが深澤大輔にKO勝ちし ネパール人初のキックボクシング王者となった                               

ネパール部隊宿営地が感染源 ハイチのコレラで仏専門家  
時事通信12月7日配信
カリブ海の島国ハイチで流行が深刻化しているコレラについて 菌が国外から持ち込まれ 国連ハイチ安定化派遣団のネパール部隊宿営地から感染が広がったとみられるとする報告書が 仏外務省に提出されたことが7日明らかになった  関係筋の話としてAFP通信が報じた  報告書を作成した仏エクスマルセイユ大のピアルー教授 伝染病学は ハイチ保健省の要請に基づき仏政府が派遣した調査団の一員として先月ハイチを訪問  同筋によれば 報告書はネパール部隊宿営地から感染が広がったと考える以外に状況を説明できないとした上で 宿営地で採取した検体を分析し菌が検出されれば正式に特定されるとした                      

時のネパール  
12月1日は世界保健機関WHOの国際エイズデーでカトマンドゥ市内でも児童保護団体などが式典などを行った  CNNニュースによると WHOが同日発表した統計では東南アジアや南アジア11カ国でエイズウイルス感染またはエイズを発症している子どもの数は 2009年時点で推定13万人に上った  この数字は01年の8万9千人に比べ 46%も増えている  11カ国はバングラデシュ ブータン 北朝鮮 インド インドネシ モルディブ ミャンマー ネパール スリランカ タイ 東ティモール  無論アフリカにも多い  
ネパールの場合恐ろしい話だが15歳未満の女子が 隣国インドに売春婦として出稼ぎに行かされることもエイズ増大原因のひとつだ  デリーの裏町には必ずと言ってよいほど多くの少女売春婦が軟禁されている  カトマンドゥにはこのような少女たちを救出するセンターがあり訪問したことがあるが  彼女たちの数人はネパール帰国後トラウマ症候群にかかり 社会復帰が非常にむずかしいと説明された  南ネパールはボーダーレス 国境のない地帯と言われ ネパール人なら誰もが簡単に国境を越えられる  ネパール政府の努力が足りない!  売春で売られていく少女たちを未然に阻止する対策が必要だ  

亀裂が深まるマオイスト派の党大会  
11月21日から1週間にわたりマオイスト派の党大会が行われた 現議長のダハールに対抗するバタライとバイディア副議長が独自の提案を掲げ マオイスト派内は現在3つの派閥に分裂してしまった  原因は定かではないが 今後インドとどう付き合っていくかによる見解の相違のようだ  ネパールのマオイスト党はインドの毛沢東派と懇意にしているが 1大国インドを敵にしたくない 2断固対決 3適度に付き合うの見解に分かれたようだ  確かに重要なポイントではあるが  外交政策をを話す前に何が何でも内閣を成立してもらわないと国際社会上みっともない  

国家予算不完全だが成立
ネパールの会計年度は7月に始まるが 遅れに遅れて先日やっと決まった  いまだに完璧でなく 変更もあるだろうが 今期の予算は前年と比べると社会福祉や教育費などが増えている  計画倒れが多いネパールだが まずは前進したようだ  
 
ネパールの民話(最終回) 第18話 曲がりくねった木
ある時 王様がカトマンドゥのツゥディケル広場で盛大な祝宴を開きました  そこでは料理人として たくさんのウパディヤバフンが雇われ 高位カーストのブラフマンが作ったコメ料理をみんなで食べました  ウパディヤバフンとは ネワール族の最高位カーストの人々です  
コメは巨大な壺で炊かれ 濃い黒豆のスープが添えられました  
祝宴には多くの階級の人々が集まって来ました  彼らの中にはクシャトリャやネワール族に混じって 低カーストのカミやダマイなど さまざまなカーストの人々もいました  

人々は黒豆スープのような素晴らしい付け合わせでコメを食べることが出来て 王様の寛大さをおおいに讃えました
しかし カーストが低いマジーの人々は少し離れて座り 黒豆スープ付きコメ料理を食べようとはしませんでした  王様はびっくりして 「お前達はせっかくブラフマンが作ったコメ料理を どうして食べないのだ?」 と尋ねました  

マジーの人々は 「もし生きるためにどうしても食べなければならないなら 私達はコメと黒豆スープに酵母を入れたものだけを食べようと思います  私達は ブラフマンだけではなく たとえどんな人が作ったとしても コメと黒豆を一緒には食べません」 と答えました  
こう言って マジーの人々はふところから少しだけ酵母を取り出しました  そして酵母にコメやトウモロコシを混ぜてビールを作りました  
王様は 「そうか お前達が食べたくないのなら 無理して食べることはない」 と言いました  

王様は料理人に命じて コメといくらか野菜スープを用意させました  するとマジー達は 余計な文句を言わず それらを食べました  

祝宴が終わってから 王様は遠くにある曲がりくねった木を指さして 王様の前に集まった人々に 「あの木は曲がりくねっているか それとも まっすぐか?」 と尋ねました  
ほとんどの人は声をひとつにして 「王様が見えるように 私達も見えます」 と言いましたが マジーは黙っていました  

「私にはまっすぐに見える」 と王様が言うと 誰もが 「そうですね 王様」 と熱狂して叫びました  

そのあと王様は マジーの方を向いて 「お前達はどう思うか?  まっすぐか?  それとも曲がっているか?」 と尋ねました  

マジーの頭は 「王様の目が見えにくくなっているのか あるいは 私の首に剣が当たってむずがゆいのかはわかりませんが あの木は確かに曲がりくねっています」 と答えました  
王様は 「すべての種族のうち マジーだけが間違った見方をせず 嘘をつかないということだな」 と独り言をいいましたとさ  

註釈 マジーとはネパールに古くから住んでいる土着民です  彼らは大きな集落を作らず川岸に昔から住んでいて漁師 渡し舟 砂金の発掘を生業にしてきました  今では水田稲作が盛んになり本当に一握りの人しか砂金の発掘をしていません  彼らは同じ民族でもで水辺に住む者 農業に定着する者と別れ お互いに行き来はしても一方が調理した米飯または黒豆のスープは食べないという人もいるそうです  

読者の皆さんから面白いと好評を得ていましたネパールの民話 間にゴルカ兵の物語をはさみましたが通算5年以上になりました  正直言ってネタ切れです  来春からはネパールの詩を連載させていただきます  
毎月ネパールの民話を翻訳してくださった希志子さん そして長い間ネパールの民話を可愛がってくださった読者の皆さん 本当にありがとうございました

編集後記 
今年も残すところ半月  日本の皆さんにとってはなんだかそわそわする時期ですね  当地ネパールでは秋の大祭が終わり  のんびりと春の訪れを待つ季節に入りました  これから本格的な乾季に入り 電気の供給量が少ないので 毎日長時間停電が続きます  イベントなど行うにはちょっと不便な時期ですが 電気やガスをあまり使わない楽しいイベントも企画中です  何をするにも計画通りに進まないネパールですが 皆様の激励のおかげで ネパールの視覚障がい者を支える会は10年近くなりました  来年もビスターライ ビスターライ ネパール語でゆっくり ゆっくり と末長く活動して行きたいと思っています  今後ともご支援賜りますようお願いします  
そして皆様にとりましての2011年 ご多幸が訪れますようお祈りします
現地コーディネーター 渥美よりこ

NBSA日本の事務局
〒284
0005 
千葉県四街道市四街道1−9−3
視覚障がい者総合支援センターちば内 NBSA
電話 043−424−2501

NBSAネットニュース 編集と文責 渥美よりこ カトマンドゥ在住
2010年12月10日
NBSA: http://nbsa.sakura.ne.jp/ 

本会の活動や最新版の会報誌を更新しています  ぜひご覧ください
NBSAネットニュースは音声パソコン対応編集をしています
NBSAネットニュースは会員以外の様々な方に流しています  受信をお望みでない方は ご面倒でもご連絡ください