――― NBSAネットニュース 2011年3月号 ―――

ネパールの視覚障害者を支える会(NBSA)の会員 支援者の皆様  



またしても停電と断水のお話で恐縮  どちらも不足で困るんですが NBSAが困る方からお話しします  3月現在カトマンドゥ市内の計画的な停電は最低14時間以上 このままで行くと18時停電が始まりそう  ノートパソコンの蓄電量も限られているので いつまで持つか気がもめます  



次はプライベートで困るのはなんと言っても水不足  1日バケツ3ばいの水で生活

台所で煮炊きした後の水で洗濯 最後にはトイレへと  



ネパール政府はこうした電気不足と水の不足は 5年後には完全に解消されると発表しています  でも不思議でたまらないのは 約5年前に電気と水の不足は5年後に解消されると発表していたこと  私の聞き間違えか? それともネパールの5年は2度あるのだろうか?



話は突然変わるのですが ネパール語で明日と言うのをボリと言います  

新ネパール語講座  1 ボリについて

明日と言うのは今日の次の日と思っていたが ネパールでは どうやら24時間後と言う意味ではなさそうです  

例 近くの雑貨屋での話し  おじさん 洗濯洗剤ある?と聞くと おじさんはボリ 明日来るよと言う  翌日同じおじさんの店に行ってみても洗剤はない  



おじさんは けろりと ボリ ボリを2回繰り返えす  

ボリボリが2回続くと ああ これは当分無理だなぁ と思ったほうがよい  

南欧でも同じような感じだと聞いたことがあるが ネパールの場合永久にありえないことでもやっぱりボリ ボリ ボリで済ましてしまう のんきなんですね  

ボリが3回続いたらこいつはダメだと諦め 他の店を当たったほうがよいだろう  



ちなみに日本語で 「みょうにち伺います」などと言うとかなり信憑性が高く感じられ 明日はきっと来るなと期待ができる

でも「みょうごにち伺います」と言うと かならずしもあさってという気がしなくなる  言葉というのは便利だが 奥が深くて解釈が難しいものだ  



そういえば 明日がある 明日があるという歌がヒットしたけど この場合もやっぱり今日の次の日とは限らない感じがしますよね  

何でも忍耐が必要なネパール でもやっぱりストレス感じることもありますねー  



現地活動報告  

定例活動のカセットテープライブラリー事業 トーキングブックの作成  

こちらは電気を蓄電しながら今のところは何とかやっています  一番新しいパソコンは電気がなくても5時間使用可能  ちょっと古いのは2時間  出来るだけこの2台を録音に使い 古いデスクトップパソコンは編集と情報誌の点字プリンタに回しています



でも充電時間が10時間以上とかなり厳しい  そこで音声訳する本がかなり制限されてきます  大学の教科書が中心になってしまい  小説などが好きな一般の読者にちょっと不評をかっています  



点字の情報誌タッチ編集

これはノートパソコンでは出来ないので デスクトップパソコンでの編集とリアルな電気で印刷をしています  点字プリンタもパソコン経由ですか?と不思議に思われる方もいると思いますが  その通り 全部コンピュータの操作で印刷されるのです 

タッチは毎回最低26ページを目安にしていて 両面印刷するのに約7分くらいかかります  毎日通電している時間帯に 少しずつ少しずつ印刷しています 昨年は長期間の機械の故障で年間目標を達成できませんでしたので 今年は目標に少しでも届くように タッチ編集者はかなり気合を入れています  ちなみに現在タッチ24号を編集中です



カトマンドゥ事務所移転のお知らせ 

昨年4月1日に事務所を移転したばかりなのですが どうにも大家さんとの折り合いが悪く 引越しすることになりました  これまで大家さんとのトラブルが発生したことはなく 事務所付近の人々は皆協力的で 引越しするたびにお世話になってきましたので スタッフ一同ちょっとショックを感じています  



事務所移転日 2011年4月1日

開館日は以前と変わらず月曜 水曜 土曜日

開館時間も以前と変わらず 正午から午後4時まで  

新住所 カトマンドゥ市内 マハラジ ガンジ

電話番号 444 6234  

日本からかける場合は 前に977−1−をつけてください  



中古カセットテープ収集終了

これまで大勢の方に使用済みカセットテープをいただいてきました  私が一時帰国するたびにテープをネパールに運んだり トレッキングに来られる方々が日本で集めてネパールに運んでくださいました  しかしながらネパールにもやっとCDプレイヤーが定着してきました  ネパールではCD1枚が15円程度とテープより格安  デジタル編集以外にもちろんカセットテープにも録音していますが これまで頂いた中古カセットでここ数年やっていけそうです  これまで重たいカセットテープをネパールまで運んでいただき本当にありがとうございました  



ネパールのニュース

2月13日 歌手の加藤登紀子さん カトマンドゥ タメルのレストランでミニライブを行い 地元の日本人等との交流も行いました  聴衆は至近距離で生の歌声と素敵なお話を聴き 感動したとのことです  



毎日新聞 2月13日配信

国連環境計画(UNEP)の親善大使で歌手の加藤登紀子さんが12日 大津市のホテルで海外視察報告会 環境省 公益財団法人地球環境センター主催 を行い アジアの国々の現状や支援への思いなどを語った  1月に訪れたバングラデシュとネパールの市街地や農村の写真などを紹介しながら「この10年でアジアの長い歴史と地球の変化の激しさを目のあたりにした」と振り返り 「支援は近代化することだと言う人もいるが 昔ながらの生活をしている地域に 必要な技術を手渡していくことが役立つと思う」と支援の在り方を語った  



ブライアン アダムズ ライブ イン カトマンドゥ

2月21日カナダの歌手ブライアン アダムズのコンサートが開催された  ブライアン初のネパールツァー  ところでブライアン アダムズって誰?と思われる方が多いと思いますが その昔80年代にレックスと言う曲がヒットしたと思うんですが あまりに昔でよく覚えていない  はっきり覚えているのは彼が超ハンサムだったこと  ネットでカトマンドゥライブの様子を見たけどあまりにシワだらけでがっかり  たぶん彼は50代後半のはず  でも 著名なロックシンガーがネパールでライブをするなどめったにないので 聴衆の反応はグーだったようで 観客棒立ちでけっこうのりのりだったとのこと 



ネパール関連ニュース 

インド前国防相 最大の敵は中国  わが国侵略する準備終えた  サーチ2月24日配信

インドのサマジワディー党 社会党系で前国防相のムラーヤム スィン ヤダヴ氏は22日 シン首相に 「国家は外部からの侵略を防ぐと 国会に対して約束してほしい」と求めた  最大の敵は中国で 中国軍はすでに準備を終えており いつインドを侵略してもおかしくない と主張した  ヤダヴ氏はこれまでも 中国脅威論を繰り返してきた  



ヤダヴ氏は「インド侵略を行う可能性があるのは、中国とパキスタン」と名指しした上で「最大の敵は中国」 「中国がインドを攻撃する際には ネパールを占領する」と主張した  中国とパキスタンはネパールとの関係を強化しているが インド侵略の際にネパール領を利用し「実質的に占領状態にする」と論じた  

インドは一時期 ソ連 現ロシアと極めて親密な関係にあった  現在は米国寄りの外交を展開している  ヤダヴ氏は「現在のインドには、友人がいない」と政府を批判  インドは米国の手のひらで踊らされているだけで 米国はインドの友人とは言えないと主張し「われわれに かつてのソ連のような友人はいない」と論じた  



インド エイズ患者デモ  後発薬のEU規制要求に抗議 毎日新聞3月4日配信

欧州連合EUがインド産の安価な 後発ジェネリック医薬品の製造 販売を制限しようとしているとして インドと周辺諸国のエイズ患者約3000人が2日 インドの首都ニューデリーで抗議のデモ行進をした  参加者は「欧州の製薬会社の利益ではなく 我々患者の命を守れ」などと叫んだ  

ジェネリック薬は新薬の特許が切れた後に安価に生産される薬 インド産のジェネリック薬は途上国を中心に世界500万人以上のエイズ患者の治療に使われているとされ インドは途上国の薬局とも言われている  だが 国際非政府組織NGO国境なき医師団などによると EU側はインドとの自由貿易協定(FTA)交渉で知的財産権保護を理由に規制を要求しているという  



12年前に輸血からエイズウイルス(HIV)に感染したというネパールのラジブ カフレさん37才は 「インドの安い薬があるから我々は命をつなぐことができる  EUの要求をのめば 世界の貧しい患者は死ぬだけだ」と話した  



時のネパール

清貧の政治家死す 

3月4日元ネパールの首相クリシュナ プラサド バタライが首都カトマンズ市内の病院で 多臓器不全で死去  86歳であった  ネパール国民会議派の創立メンバーの一人で 国王親政を行っていた当時ビレンドラ国王に複数政党制を受け入れさせた1990年の民主化運動で主導的役割を果たした  90年から91年と99年から2000年の2回 首相を務めた  ネパールの主要新聞は元首相の死去を第一面に掲載しその死を悼んだ  彼は清貧の政治家として名高く 酒はいっさい口にせず 財産と名のつくものは1本の傘とこうり(行李)だけで 生涯独身を通し 私生活においては孤独な政治家として知られていた  



3月14日 やっと決まったネパールの組閣  

1ヶ月前に新首相が決まり 以降マオイスト派の入閣を巡り 喧々諤々と議論していたネパールの国会であったが やっとマオイスト派と統一共産党の連立政権ということで落ち着いた  8ヶ月ぶりのことである  

和平プロセスに マオ派の入閣は不可欠  ネパールの王制を廃止した立役者のマオ派も入閣させないと これまた大変なことになりそうで とりあえずマオ派は11人の閣僚を議会に送り込むそうな  ネパールが王制を廃止し以降混沌としていたが 新憲法の制定は今年の5月までがリミット  しかし 各党の派閥争いが激化し 新憲法制定にはまだまだ遠い道のりを歩みそうだ  



遠い声  ドルガ ラール シュレスタ選詩集  翻訳 藤井正子氏

そっと 静かに



そっと 静かに

つま先でしのび込んでおいで

繊細でやさしい感傷のように

私の寂しい心の中へ



この孤独な世界の美しさは

どんなに微かな音にもかき消され

声にならない歌の花は

髪一本触れても萎んでしまうのだろうから

1964



夕映え

この盃の縁で 泡が踊っている限り

乙女らが その香で大気を酔わせている限り

死がいつ私にくらいつこうと

いっこうにかまうものか

花々は咲き続けるだろうし

鳥たちは 私の歌を歌いながら

楽しげに飛び回っているだろうから

1964



愛の強さ

虹に引っかけて思い切り引っ張っても

あの空を引きずり降ろすことはできない

空は君の骨折りをバカにして

軽蔑の唾を吐きかけるだろう



けれども もしそこに愛があるなら

引き寄せるしぐさだけでも もう十分

空はすべてを喜んで君に渡してくれるだろう



今だって あの静かな湖に行けば

空がその中に巣ごもっているのを

君は見つけることだろう

1964



NBSA日本の事務局

〒284
0005 

千葉県四街道市四街道1−9−3

視覚障がい者総合支援センターちば内 NBSA

電話 043−424−2501



NBSAネットニュース 編集と文責 渥美よりこ カトマンドゥ在住

2011年3月10日

NBSA: http://nbsa.sakura.ne.jp/ 



本会の活動や最新版の会報誌を更新しています  ぜひご覧ください

NBSAネットニュースは音声パソコン対応編集をしています

NBSAネットニュースは会員以外の様々な方に流しています  受信をお望みでない方は ご面倒でもご連絡ください