――― NBSAネットニュース 2011年5月号 ―――

ネパールの視覚障害者を支える会(NBSA)の会員 支援者の皆様  

新事務所に移転してから1ヶ月が過ぎました  なぜかカトマンドゥは寒い日々が続いています  市内の中心部 トゥンディケルには高さが30メートルもあるジャガランダがそろそろ花を落とし始めました  上品な淡い紫色のジャガランダの原産地は南米とのこと  どこをどのように経由して 南アジア大陸に運ばれてきたのでしょうか  

この花が散り始めるとカトマンドゥは一気に暑くなり 時折スコールが襲ってきます  でも 今年はシトシト(ネパール語ではシメシメ)と雨が降り 毎日寒くてまだカーディガンを羽織っています  地球温暖化などで ここ数十年間世界は不安定な天候に見舞われています  カトマンドゥも人口増加に伴い 10年ほど前からゴミ問題がクローズアップされ始めました  それでもそのゴミは 地球の気候を変えてしまうのではないかと思われるほどの一酸化炭素を出しているとはとても思えない  先進国の経済活動による「つけ」が 途上国に回ってきているような気がします  日本は今大変な状況を迎えていると思います  でも 時々いくつもの海を隔てた 遠い国々に住む途上国の人々のことも思い出してください  


●現地活動報告  

■定例活動のカセットテープライブラリー事業 トーキングブックの作成  

5月から カトマンドゥ市内の大学生2名が 半年の契約で事務所に来ています  

彼女たちにお願いしたのは 主に大学生向け英語の教科書の音訳です  点字の基礎も同時に少し勉強してもらっています

NBSA新企画として 生活改善のトーキングブックの作成を始めました  第1作目は保健と栄養に関する本の作成で 完成にはあと数日かかりますが 女性の利用者がすでに楽しみにしています  


■点字情報誌タッチ

かなりスムーズに作成しています  年間6巻の発送を目指しているのですが これまで5巻が最高  残念ながらいつも計画倒れ  点字ボランティアグループは人数が少ないのですが 今年こそは と張り切っています  


■カトマンドゥからのお願い

どなたかラップトップを寄贈していただけませんか  

会報やネットニュースでほぼ毎回水不足と電力不足の状態をお知らせしていますが これから乾季に入ると計画停電が毎日16時間続くことが懸念されます  水の方は何とか井戸水などで個人的には我慢できますが 電力の不足は私たちの事業に大打撃を与えます  昨年購入したインバーター 小型の蓄電器ではデスクトップのコンピューター2台をフルに使うと3時間と持ちません  何とかだまし だまし点字印刷とトーキングブックの音読を交互に使っていますが あまりにロスタイムが多くボランティアさんも根をあげています  

その解決策として 今後コンピューター操作の仕事はラップトップを中心に使うことです  


昨年寄贈していただいたラップトップは蓄電能力が高く5時間使えます 皆様方でご不要になりましたラップトップを寄贈していただけませんでしょうか  蓄電能力が高いものであれば 旧式のものでもかまいません  可能な限りバッテリーを探してネパールで使えるようにしようと思っています  どうぞよろしくお願いいたします  

渥美 よりこ(カトマンドゥ在住)
yorikonepal@hotmail.com
  またはnbsa@mail.com.np


●ネパール関連ニュース

■4月24日 霊能者サイババ グル(先生)の死去

普通の水を金に変えたり 不治の病を治したりするグル 先生として世界的に名高い霊的指導者 サティヤ サイ ババの死は ネパール人信者にも衝撃を与え 追悼集会がカトマンドゥにて開催された  先生は生前 自分は90代で死に その数年後にうまれ変わると予言したらしいが なぜか心肺不全のため85歳で亡くなった  ちなみに 先生は莫大な資産家として知られている  国内外の信者からの寄付 献金によるもので 実態ははっきりしないものの資産は4千億インドルピー(約8千億円)以上との見方もある  先生はネパールにも遺産を分配する計画を立てなかったのは 至極残念なことである


■最高齢登頂目指し死去 エベレストでネパール元外相 5月10日 ナガリーク紙  

ネパール政府当局者によると 同国のウパダヤ元外相(82)が ヒマラヤの世界最高峰エベレスト標高8848メートル 登頂の最高齢記録を目指したものの 登山中の9日午後に死去した 死因は分かっていない  成功していれば 2008年にネパール人登山家ミン バハドゥール シェルチャン氏が達成した76歳の最高齢登頂記録を塗り替えるはずだった  


■エベレスト登頂 世界最多21回に ネパール人シェルパ  時事通信5月11日

世界最高峰エベレストの最多登頂記録を持つネパール人シェルパのアパさん(51)が11日 21度目の登頂に成功し 自身の持つ最多記録を更新した  アパさんは 1990年からエベレスト登頂を続け 廃棄物回収などの環境保護活動を行っている  


■エベレストで邦人登山家死亡 第1回植村直己冒険賞の尾崎さん 時事通信 5月13日配信

ネパール政府当局者が13日明らかにしたところによると ヒマラヤの世界最高峰エベレスト登頂に向かっていた日本人登山家の尾崎隆さん(58)12日午後 頂上近くで死亡した  高山病が原因とみられる  

日本山岳ガイド協会の磯野剛太専務理事によると 尾崎さんは4月中旬から5月中旬の予定でエベレスト登山を計画していた  尾崎さんは1980年代にエベレスト北壁の新ルートからの登頂や厳冬期のエベレスト登頂などに挑み 96年にはミャンマーの最高峰カカボラジ山(5881メートル)の初登頂に成功 翌年に「第1回植村直己冒険賞」を受賞している  


●時のネパール どうするネパールの新憲法

制憲議会の任期は今月28日まで  新憲法の成立がその目的であったが政党内においてもいまだにはっきりしていない  任期はおそらく延長になると思われるが 微妙なニュアンスの違いが党利党略に反映すると云うので 政党間が激しく自己主張を続けているらしいが正直言ってよくわからない  国民も憲法の内容がよく解っていないような気がしないでもない  自分にとって利があればやはり支持政党の案を押しているようだ  業を煮やしたネワール族は 早く決定してくれと催促のバンダ(強制ゼネスト)をし 草案内容に不満な党も日をおいてまたもやバンダ決行  憲法が大切なのは十分わかるが バンダばかりしてどうなる  草案反対案は 重箱の隅をつつくような詳細に到っている (どうせ誰も守りっこないのに)

とにもかくにもネパールの憲法は長すぎる なにせ草案も200条を下らないのだ  読むほうも大変だ  細かいことは民法にして 臨機応変にチェンジすればよいのではないか  ネパールの憲法17条位にしてもらえないものだろうか  


■遠い声  ドルガ ラール シュレスタ選詩集  翻訳 藤井正子氏

手紙


恐れから あるいは恥から
私は今までこの事を言い出せなかった
今日 この手紙を通して
私の沈黙を破らせてもらおう

私のところに駆け込んでくる度に
彼らは訊ねる
「あいつは敵に寝返ったのか」と
私はいつもの答えを返す
「何をしようが本人次第さ」

「知ってのとおり 彼の心は
牛乳のように真っ白だ
どうして道から逸れたりしよう」

おそらく君は狼を遠ざけるため
自分の魂と売ったのだ

「彼が飢えていると知ったとき
我われは彼を助ける労を惜しまなかったろうか
それなのに彼が寝返ったと疑って
皆で彼を鞭打っている」

そう こうして私は君を庇った
私自身 確信してもいないのに
ことのことすべてがかなりおかしい
私の中で何か死んだのだろうか

砂地に育つ木々の無言の声は
どんなにやさしいことだろう
かすかな風のそよぎも
なぜそれは倒れそうになるのだろう

君を見るときしばしば思う
いつまで私は自分の立場を持ちこたえられるかと
最後の戦いは今も始まる
そして誰のために 何が備えられているのか
それは誰にもわからない

1979年

満たされぬ魂

私の心の呻きによって
君がその眠りを破られた時
おそらくその日の明け方に
私は息を引きとるだろう

私の葬列が我が家を通り過ぎる時
窓を大きく開けて外をのぞき
そして こうお言い
「その飲んだくれは いま酒場から
家に帰っていくところなんですよ」と

それから
「お前さんが欲しがっただけ飲ませ、
その渇きを癒してやることができなかった」と言って
静かに涙をながしてくれないか

1981年

日本事務局より

深緑の候 夏の訪れを予感させられる今日この頃ですが 会員の皆様 支援者の皆様 どのように過ごしでしょうか  東日本大震災から2ヶ月余 被災地からは大きな悲しみに耐えながら懸命に立ち上がろうと努力する人々の姿や それを支える多くのボランティアの活動の様子が映像を通じて伝えられてきます  そこには間の真の力強さを感じます  一方で 原発事故については関係者の懸命な努力にもかかわらず刻一刻と状況が変化し 見通しの持てない戦いへの不安が広がっています  

そんな中にあって何とも嬉しいことは海外から日本に寄せられる支援です  義捐金や支援物資の総額は過去 世界最高と聞きます  先進国のみならず途上国からも多くの支援やエールが送られています  途上国の人々にとっては自分の生活さえもままならないのに 経済大国の日本にまでエールを送ってくださる  人間の真の暖かさを感じ 感謝の限りです  そうした背景には どんな困難にもめげず ひたむきに努力する 日本人のまじめな気質 に対する敬意とこれまで政府の行ってきた海外支援への感謝も含まれているのかもしれません  

今こそ私たちは 戦後復興を遂げた日本人の英知を信じ世界の人々の期待に恥じない営みをしなければならないと痛感する次第です  幸いNBSAの関係者からは大きな被害を受けられたような情報は入っていません  事務局としても安堵しているところです  

そこで 来る5月28()の午後に 千葉県四街道市の事務所で今年度の総会を行うこととしました   会員はもちろん 多くの支援者の方々の参加をお待ちしています  詳細は事務局の川崎までお問い合わせください  

これまでにも渥美会長を通じてNBSA現地役員からの暖かな励ましのエールが寄せられています  彼らにどのような恩返しができるのか 総会において新たな事業計画の検討ができればと考えています  是非 皆様の一層の支援をお願いする次第です  


NBSA日本の事務局
〒284
0005 
千葉県四街道市四街道1−9−3
視覚障がい者総合支援センターちば内 NBSA
電話 043−424−2501

NBSAネットニュース 編集と文責 渥美よりこ カトマンドゥ在住

2011年5月17日
NBSA: http://nbsa.sakura.ne.jp/

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