――― NBSAネットニュース 2011年6月号 ―――

ネパールの視覚障害者を支える会(NBSA)の会員 支援者の皆様  



冬のように寒い春を迎えたカトマンドゥでしたが 6月に入るとさすがに暑くなりました  幸い雨も順調に降り始め 水や電力不足がかなり解消され スタッフ一同元気に働いています  なにより嬉しいのは電気の供給で これまで30分おきにタイマーをかけて 一休みし 電気があるのを確認しながら朗読や点字タイプを行っていました  苦あれば楽あり 自然の恵みのありがたさをしみじみ感じながら 和気あいあいと仕事に打ち込んでいます  



総会の御礼  

去る5月28日の土曜日 NBSA日本の事務局のある千葉県の視覚障がい者総合支援センターちばで総会を行いました  今年は取り立ててアトラクションなど行いませんでしたが 2010年度の事業報告と決算も無事承認され 長きにわたりNBSAを援助してくださっている方々と共に 総会の後に和やかな懇親会を行いました  

NBSAが今日まで活動できるのは 皆様の支援があってこそと感謝に耐えません  2010年度もお世話になりました  厚く御礼申しあげます

なお 会員の方々には 会報誌9月〜10月中に総会で決議された報告書を郵送させていただきます  

ネパールの視覚障害者を支える会 会長 渥美 資子



現地活動報告  

定例活動

カセットテープライブラリー事業 トーキングブックの作成  

前号でもお知らせしましたが 生活に欠かせない栄養や健康 美容に関する雑誌などの音訳が進んでいます  ここ2年間は短大や大学レベルの教材の編集が多かったのですが より幅広い読者をターゲットに 様々なジャンルの本を音訳しています  また これまでカセットテープ向けに編集していた小説のCD化も始めています  その第1作目が ダーヤマン シャムシェル ラナ家の勃興と衰退を描いた長編歴史小説 白い虎のCD化  多くの方にカセットテープで聞いてもらいましたが 若い人達の間でも教養のためにぜひ聞きたいというリクエストに応えたものです  今後のCD化の予定は日本民話 鶴の恩返しとアーマ(母)  どれも苦労してテープに録音したものです  残念無念 ネパールにはカセットテープからCDに録音できる機械などありません  時間がある時にコツコツと作業を続ける予定です  



点字情報誌タッチ

タッチ25号発行にスタッフ一同大いに喜んだのですが またしてもプリンタが不調  タッチ26号の発送はかなり先になりそうです  本当に残念無念  



ネパール関連ニュース

パシュミナ 価格競争で苦境   フジサンケイ ビジネスアイ5月27日配信

ネパールの高級手織りウール パシュミナが安価な中国 インド製品との厳しい競争にさらされている  AP通信によると 2000年に1億3000万ドル(約106億4300万円)だった輸出額は 昨年1800万ドルまで激減し 手織り業者から輸出業者まで 関連産業で働く約半数が職を失った   パシュミナはヒマラヤヤギ(チャングラ)からとれる細かく柔らかな毛を厳選した高級素材で ダイヤモンド ファイバー 繊維の宝石といわれる  ネパール政府と業界は チャングラ パシュミナ という商標を登録し 高級ブランドとして確立することで安価な製品との競争から生き残りを図ろうとしている  



5月29日 前田尚紀&モハン ドラゴンが明石上陸 日進会館の戦国武将と対決

格闘技ウェブマガジン

兵庫 明石市立産業交流センターで開催される国際グローブ空手道協会日進会館ブレーブコアの全対戦カードが発表された  

メインイベントには元全日本フェザー級王者の前田尚紀 セミには現MA日本スーパーライト級王者のモハン ドラゴン(ネパール 村上塾)が登場  前田は 日進会館の武田信玄 一刀と モハンは 日進会館の上杉謙信 二朗と対戦する  再起戦を迎える前田 モハン共にアウェーのリングで勝利を掴むことが出来るのか  がんばれモハン  下記はモハンのオフィシャルブログです

mohandragon.blog96.fc2.com/blog-date-201102-1.html



火葬場が観光名所で絶句 坂口憲二 ネパールの旅で異文化を体感 

産経新聞5月28日配信

俳優 坂口憲二(35)のネパール紀行を追ったドキュメンタリー番組 坂口憲二私旅行 アジア万感 が28日午後7時からBSフジで放映された  坂口自身が 楽ではなかった と振り返る旅は 文化の違いを実感させられる驚きと感動の連続だった  

ネパールの火葬場で 日本人には理解できないような場面に出くわした  旅人の坂口が入場料を払って火葬場に入れること自体 考えにくいのだが 内部の光景にはさらに驚いたという  対岸に布に包まれた遺体が運ばれてきて、火葬されているんです  泣いている人 笑っている人 悲しんでいる人たちがいる  その風景を観光客が写真に撮っている  意味が分からない  

露店が並び 観光客向けにお土産まで売られている様子は 本当にすごい世界 火葬場を観光地化するっていう感覚というか感性に正直びっくりした と特異な経験を振り返った  



渡航した4月上旬は 東日本大震災の影響で日本中がまだ落ち着かない日々を送っていた  しかし 旅先のネパールで「日本は大丈夫か」と何度も声をかけられ 「被災地を思う気持ちは世界どこにいても変わらない」ということに気付いた  「だったらネパールで僕ができることは がんばって楽しい旅を日本の人達に伝え 元気になってもらうことだ」と 気持ちが前向きに変化していったという  



今回の旅で初めて挑戦したトレッキングにも 「がんばって良い旅に」という思いが表れた  杖を握って丸一日中歩いた坂口は 「シンプルすぎて 逆にいろいろと考えちゃう  何やっているんだ オレ と思うときもあれば 本当にふとしたときの景色がすごくきれいで うわぁという時も」と 山歩きの魅力を楽しそうに語る  

とはいえ 登山中には苦しい場面もあった  「疲れた つまらないと思うと 本当に体が鉛のように重くなって 次の一歩が出なくなってくる  日本帰ったら何一番先に食べよう(笑)とか 今後の人生のことも考えましたね」

ネパールの食体験も新鮮だった 「カレーは ちょっと水っぽかったけどおいしかったネパールのヨーグルトも  あとはゆで卵ばっかりで」



衣食住で一番興味があるのは やはり「食」  特に 食の宝庫 アジアにひかれるといい 「次回の旅では 食べ歩き的なこともやってみたい  日本でおいしいと知られているものだけでなく 現地の人しか食べないようなものも食べてみたい」とどん欲だ  

旅は人生と同じ  坂口は「直行便で行かず 必ず1回は乗り換える  ひと手間ひと工夫を入れると ひとつ深い世界が待っている」と 目を輝かせる  



震災被災者支援に県内外国人も奔走 炊き出しなどの活動報告  

神奈川 カナロコ 5月28日配信

東日本大震災が県内の外国人住民 コミュニティーにどのような影響を与えたのかを考えるフォーラム「神奈川の外国人コミュニティのこれから」が 28日 横浜市神奈川区の神奈川韓国会館で行われた  避難所で炊き出しをしたり 募金活動に取り組んだりと 被災者を支えるために多くの外国人が奔走したことが報告された  

多文化共生の地域づくりを考えようと かながわ国際交流財団が主催し 約140人が参加  県内に住むネパール ブラジル ベトナムの人たちの取り組みが報告され 外国人問題に取り組む研究者らによるパネルディスカッションも行われた  

在日ネパール人協会幹事のジギャン クマル タパさんは 東北3県で被災した200人以上のネパール人の支援に奔走  バスを手配して 希望する全員を東京に避難させた  



韓国居住外国人5年間で1.5倍に 出身地も多様化

ソウル聯合ニュース 6月6日

統計庁が6日に公表した「2010人口住宅総調査」結果によると 3か月以上韓国に居住した外国人は59万人で 2005年に比べ148%増加した  

出身地別の外国人数は 中国(韓国系含む)が29万9千人で最も多く 全外国人の50.8%を占めた  次いでベトナム (10.1%) 米国 (7.1%) フィリピン(4.2%) インドネシア 日本(2.9%) タイ(2.7%) モンゴル(2.4%) ウズベキスタン(1.9%) 台湾(1.9%)が上位10位となっている  



20位までは カナダ スリランカ カンボジア ロシア パキスタン ネパール バングラデシュ インド 英国 オーストラリア  

韓国居住外国人の出身地は多様化しており 出身者が30人以上韓国に居住する国 地域は90カ国 地域と集計された  居住者が30人未満またはその他に分類される外国人は3116人で ほぼすべての国 地域の出身者が韓国に居住していることが分かった  



ネパールのニュース

世界一背の低い男性が 新たなギネス記録に挑戦 世界環境デーで  

ロイター 6月6日 

世界環境デーの5日 ネパールの首都カトマンズで「世界で最も背の低い男性」としてギネスブックに認定されているカジェンドラ タパ マガルさんが 新たな記録に挑んだ  

タパさんは 2分間木につかまっていられる人数の最多を競うギネス記録に挑戦  878人の他の参加者と共に 記録への挑戦を通して環境保護を訴えた  

身長67.08センチのタパさんは 昨年10月に 世界一背の低い男性 としてギネスブックに認定されている  



ネパール首相辞任へ 憲法草案策定できず 混乱続く  毎日新聞5月29配信

カトマンズ ビナヤ グルアチャリャ ニューデリー杉尾直哉 立憲君主制から連邦共和制へ移行したネパールのジャラ ナート カナル首相は29日 今後3カ月以内に辞任すると表明した  今年2月に首相に就任したばかりだったが 制憲議会 定数601 各派の内紛から新憲法制定期限の28日までに憲法草案を策定できなかったため  3年前に王制から共和制に移行したネパールだが 政治の安定は依然見えない状態が続く  混乱の背景には隣国インドの影が見え隠れしている  

制憲議会は29日 憲法制定期限を3カ月延長することを賛成多数で決めた 野党側は延長合意の条件としてカナル首相に辞任を求め 首相がこれを受け入れた  

カナル氏は 新憲法制定の見通しが立った時点で辞任するとみられるが 出身母体の統一共産党 UML 108議席もカナル派と反カナル派で分裂 憲法制定は極めて厳しい状況  2008年5月に制憲議会が発足した後 3年以上も憲法がない異常事態が今後も長引く見通しだ  

憲法制定の議論で大きな焦点になっているのが 96〜06年に武装闘争を展開していたネパール共産党毛沢東主義派(毛派 236議席)の元兵士 約2万人の扱いだ
カナル首相は 大部分を国軍に統合する案を支持したが 毛派に不信感を抱く野党 ネパール会議派 114議席や UMLのもう一人の指導者 ネパール前首相らが強硬に反対した  



第3党 UMLのカナル氏が2月の首相選出で当選できたのは 毛派のダハル書記長が立候補を辞退し カナル氏支持に回ったためだ  ダハル氏は プラチャンダの名前を名乗って96年からの毛派のゲリラ闘争を指導し 2008年に首相にもなった有力者  カナル氏が内相などの閣僚起用で毛派重視の姿勢を示してきたのも 大物のダハル氏に実権を握られているためとみられており 野党だけでなく UML内部からも「指導力のないカナル氏は辞任すべきだ」との反発を招いた  



毛派の扱いを巡って国政が混乱する背景は 政党間の権力闘争のほか 「地域の大国 インドが水面下で和平を妨害し 野党を支援しているため」 とカトマンズの政治アナリストは批判的だ  

インドは自国内に極左武装組織 インド共産党毛沢東主義派を抱え 北東部などで治安部隊と交戦が続く  ネパールの毛派の台頭が自国にも影響を及ぼすとみるインドが ネパール安定化のカギを握っていると言えそうだ  



ネパール共産党毛沢東主義派について

農村部などでの貧困が深刻なネパールで96年 当時の君主制打倒を主張し 武装闘争を開始 「農村から蜂起し 都市を包囲する」との毛沢東思想を掲げたが 毛沢東が指導した中国共産党とは関係ない  2006年 ギャネンドラ国王(当時)が王制廃止を表明したのを受け 毛派は同年11月 和平協定に調印 武装闘争の終結を宣言  08年4月の制憲議会選で第1党になった  



ネパールで日本人女性 雪崩に巻き込まれ死亡  読売新聞 6月7日

在ネパール日本大使館によると 首都カトマンズの北約30キロにあるナヤカンガ峰(5844メートル)で5日 同峰を目指していた日本人女性(63)が雪崩に巻き込まれ死亡した  AFP通信によると 亡くなった女性はヨシダ マスエさんとみられ 同行のネパール人ガイドも死亡したという  現場付近は悪天候が続いており 遺体の収容作業は難航しているという  



ネパールで不明の邦人女性 13日ぶり発見 読売新聞 6月9日

ネパールの首都カトマンズ北方約60キロのランタン国立公園内で 千葉県在住の岩渕牧子さん(49)が5月25日にホテルから散策に出たまま行方不明となり 7日に山岳地帯で地元ポーターらに13日ぶりで発見された  

命に別条はなく 在ネパール日本大使館に「私は大丈夫です」と電話連絡してきた  日本大使館などによると 岩渕さんは軽装でホテルを出て道に迷った  現場周辺は標高4000メートルで 夜間は零度近くまで気温が下がる  岩渕さんは岩陰や洞穴でササの葉などを敷いて暖を取り 野草を食べるなどして飢えをしのいだという  



遠い声  ドルガ ラール シュレスタ選詩集  翻訳 藤井正子氏



嬰児



ここに白い紙がある

善の印も 悪の痕跡もない真白な

ここにあなたが描くのは

神の姿か 悪の影か



嬰児に触れるな  もし触れたなら

そのたぐいなき清らかさを損ねてしまう

あなたの熱いくちづけでさえ

生まれながらの光栄に 焦げ跡をつけてしまう



世界の民が その到来を 待ち望んでいた

この児こそ まさにその方なのだ

虫に食われた道徳で メッキをされた揺りかごに

この児を寝かせておいてはならない



やがてこの児が成長したその暁には

古い世界と新しい世界をつなぐ

確かな架け橋になってもらおう



彼がどこまでも どこまでも高く

上がっていくその道を

何者にも邪魔させないようにしよう

天に昇り 甘い蜜を地上に注ぎ込んでもらおう

この地が 次々と新しい命に溢れ

永遠に若く 瑞々しくあるように

1985年



パレチャー 

(注 道のそばにある壁が一方にしかない粗末な小屋  旅人がここで休んだり夜露をしのいだりする)



辺鄙な田舎道のかたわらに

静寂の厚いマントに包まれて

パレチャーは ぽつんと佇んでいる

いつか来るのを待ちながら

一体 誰を



あたりから忍び寄る 陰鬱な夜の影

今まさに沈まんとする太陽が  

一瞬小屋を照らし出す

その時 聞こえてきたざわめきは

悲しみに打ちひしがれた旅人の群

涙はとっくに枯れ果てて

ため息だけが心の吐け口



辿り着くなり荷を下ろし ものも言わずに坐りこむ

茹でたとうもろこしといっしょに 深い溜息を呑み込んで

彼らは並んで眠りにつく



空の下 石を枕に 旅人は黄泉の国へと入っていく

三日月が天空を渡りながら

彼らを見つめているのに気づくこともなく



そのありさまに 夜は泣き泣き去ってゆき

やがて朝は そこに誰もいないのを見る

前夜のできごとを物語る 溜息だけが残っている  



涙に目がかすみ 嗚咽に胸をふるわせ

悲しみに声を詰まらせて 朝はじっと佇んでいる  

紅色の顔に 深い困惑を滲ませて



かすかに風が吹くこの場所は 憂いと静寂に包まれて

どこか知らないところから 悲しみの国がやってくる



この場所で自分の国を見る者だけが

眼を要求することができるのだ

ため息の言葉を知る者だけが

それを詩に表すことができるのだ

1984



カトマンドゥからのお願い

どなたかノートパソコンを寄贈していただけませんか  

会報やネットニュースでほぼ毎回水不足と電力不足の状態をお知らせしていますが 12月の乾季に入ると計画停電が毎日数時間続くことが懸念されます  電力の不足は私たちの事業に大打撃を与えます  昨年購入したインバーター 小型の蓄電器ではデスクトップのパソコン2台をフルに使うと3時間と持ちません  何とかだまし だまし点字印刷とトーキングブックの音読を交互に使っていますが あまりにロスタイムが多くボランティアさんも音を上げています  

その解決策としては 今後コンピューター操作の仕事はノートパソコンを中心に使うことです  



昨年寄贈していただいたノートパソコンは蓄電能力が高く5時間使えます  皆様方でご不要になりましたノートパソコンを寄贈していただけませんでしょうか  蓄電能力が高いものであれば 旧式のものでもかまいません  可能な限りバッテリーを探してネパールで使えるようにしようと思っています  どうぞよろしくお願いいたします  

渥美 よりこ(カトマンドゥ在住)

nbsa@mail.com.np



NBSA日本の事務局

〒284
0005 

千葉県四街道市四街道1−9−3

視覚障がい者総合支援センターちば内 NBSA

電話 043−424−2501



NBSAネットニュース 編集と文責 渥美よりこ カトマンドゥ在住

2011年6月11日

NBSA: http://nbsa.sakura.ne.jp/



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