――― NBSAネットニュース 2011年8月号 ―――

ネパールの視覚障害者を支える会(NBSA)の会員 支援者の皆様  


ネパールの空はすっかり秋の色  

8月13日は秋の訪れを告げる神聖な儀式が行われました  これは最高位カーストのブラフマンが中心になって行い 五穀豊穣と健康を祝う五色マメを食べます  なかなか堅苦しい儀式なのですが その翌日はなぜかドンチャン騒ぎのガイジャトラ 牛祭りが行われました  

本来は今年1年に亡くなった人が 楽しく天国に行かれるように祈るネワール族の儀式日なのですが 楽しく愉快がモットーのこの儀式  あの世に行った人たちもびっくり仰天するような奇抜な仮装をして街を練り歩く人々 街角には素人弁士が政治風刺の即興詩を謡うなど 誰もが自由奔放に一日を送る日でもあります  


同日 我がネパールの障害者を支える会ではこの日 初めてガイジャトラ スペシャルを開催  漫才 声帯模写 舞踊 はては子どもがなぞなぞをしておとなを悩ませるなどなど  特に面白かったのは 飛行機 列車 バスなどの車両の声帯模写 それにあの世に行ってしまった高名な政治家コイララ氏と現役のマオイスト派党首プラチャンダのトップ会談声帯模写  ウケにウケまくりました  

こんなに地上で騒がれたらあの世に行ってしまった人たちは安眠できませんねー

おとなも子どももいっしょになって騒いだイベント  

死後の世界に渡った人たちもきっと大笑いしたことでしょう  死者を笑って弔う いかにもネパールらしい気がします  

すでに来年へのアンコールの声が上がっていますが はてどうするかな?


現地活動報告  

定例活動 トーキングブックの作成

前にもお伝えしましたが ますますもってカセットテープ録音の需要が減ってきました  これまで作成したカセットテープのCD化が始まりました  


9月15日に開催予定の 子こどもの日クイズ大会に向けての準備が始まりました  

今年はカトマンズ盆地内コンテストのほか 地方でも行う予定です  カトマンドゥ盆地大会のほか チトワンの盲学校をベースに ポカラとブトワールの学童も招いて競技をする予定です  


点字情報誌タッチ

いまだにプリンタの故障がなおりません 残念ながらタッチの編集と 発送は中断しています  


カトマンドゥ事務所だより

1年以上ものすごく熱心に働いてくれたボランティアのスジャンが渡米しました  米国のフルブライト奨学金応募テストに見事な成績で合格  将来が楽しみな学生です  後任は主婦の女性1名と男性の大学生1名  共に弱視ですが パソコン操作はかなり上手  今のところ真面目に出勤してくれています  スジャン君 長い間熱心に勤務してくれてありがとう


ネパール関連ニュース

募金ラン 淡路島一周 ネパールの子ども 震災遺児に奨学金を 

兵庫 毎日新聞 8月4日配信

高校生が250キロ絆つなぐ

ネパールの子どもと東日本大震災の高校生遺児に奨学金を贈ろうと 大阪府と淡路島の高校生が募金を呼びかけながら島を走破する「第10回チャリティーツアーオブ淡路島250キロ」が3日始まり 高校生ランナーが淡路市岩屋を出発した  

大阪府立長吉高の生徒や教職員でつくる実行委が企画  長吉高など大阪府立高5校と同府立和泉支援学校 島内の県立淡路高の計7校の生徒ら延べ約200人がランナーとして参加  ツアーで集まった募金はネパールの子どもたちの奨学金と 新たに東日本大震災の高校生遺児の奨学金に充てられる  


東電OL殺害事件 支援者ら 即時釈放を要請書提出 

サンケイ新聞 8月4日配信

東京電力の女性社員殺害事件で 無期懲役が確定したネパール国籍のゴビンダ プラサド マイナリ受刑者(44)の再審請求を支援する市民団体「無実のゴビンダさんを支える会」は4日 マイナリ受刑者の即時釈放などを求める要請書を東京高検に提出した  

事件をめぐっては 東京高検の鑑定で 被害者の体内から採取された体液と現場に残された体毛からマイナリ受刑者以外のDNA型を検出  第三者が現場にいた可能性が浮上している  

要請書は「新鑑定結果を見れば 罪を犯していないことは誰が見ても明らか」と強調

「一日も早く釈放してネパールに帰してほしい」などとする本人や家族の声を伝え 「再審開始の遅滞につながる行動はとらないでほしい」と求めた  

要請後 同会の客野美喜子事務局長は「検察が引き返す勇気を持ち 立証の誤りを認めることを社会は歓迎する」と話した  


要請に先立ち 支援者らは東京霞が関の東京高裁前で街頭活動を行った  活動には今年6月 「布川事件」で無罪が確定した桜井昌司さん(64)も参加  「布川事件も終わり ゴビンダさんは『次は自分の番』という思いで過ごしているはず  早く社会に復帰させてあげたい」と訴えた  


フェアトレード 進めて生産者自立を 活動する女性紹介展 名古屋 /愛知

毎日新聞 8月10日

正当な対価を支払うことで発展途上国の生産者の自立を目指すフェアトレード(公正貿易)活動を進める国内外の女性を紹介する「フェアトレードでつながる女性達」展が 名古屋市東区のウィルあいち情報ライブラリーで開かれている 「名古屋をフェアトレード タウンにしよう会」 土井ゆきこ代表が企画した  


日本のフェアトレードを代表する二人の女性と題して フェアトレード商品の輸入販売を行う団体ピープルツリー(東京)代表の サフィア ミニーさんと ネパール女性の収入向上のため商品企画などを行う ネパリ バザーロ(横浜市)代表の土屋春代さんを紹介している  また インドやネパールで 縫製やスパイス 衣服作りを通して女性の地位向上や仕事づくりに取り組んでいる現地の団体の活動を展示している 土井代表は「女性が仕事を得ることは自立につながる 世界で起きていることは私たちと関係がある  女性同士でつながり 頑張っていることを知ってほしい」と話している  17日まで入場無料  


NBSAもフェアトレードに参加しています

NBSAでは、千葉県柏市の視覚障がい者を中心とする障害者サポート小規模作業所ポコアポコに、ネパールの民芸品やおしゃれグッズの販売をお願いしています  ポコアポコのスタッフはすご〜く協力的  季節や流行に合わせたネパール製品を作業所内ばかりでなく、バザーなどでも積極的に販売してくれます。ポコアポコは本当にNBSAの心強い助っ人  ネパール特産のパシュミナのストールやマフラーも置いています。また定番のネパール紅茶や ヒマラヤの岩塩も人気者  収益はNBSAに還元されます  たくさん買ってください  ご協力のほどお願いします  

住所 千葉県柏市 松葉町 6−8−1

問い合わせ: ポコアポコ作業所 電話 04 7136 0505


東電OL殺害のDNA鑑定 検察側は意見保留  産経新聞 8月10日配信

「争うか検討中」検察側 主張明らかにせず 

東京電力の女性社員殺害事件で 強盗殺人罪に問われ 無期懲役が確定したネパール国籍のゴビンダ プラサド マイナリ受刑者(44)の再審請求審の三者協議が10日 東京高裁で開かれた  東京高検は、現場から第三者のDNA型が検出されたとする鑑定結果について 「争うかどうか検討中」として 主張を明らかにしなかった  次回協議は10月5日  


高検が行ったDNA鑑定では 女性の体内に残された体液からマイナリ受刑者以外の男性のDNA型が検出され 現場から見つかった体毛1本と一致  さらに 別の体毛2本からは この男性と被害者のDNA型が検出された  

弁護団は今月4日付で鑑定結果に対する高検の釈明を求めていたが 高検は協議で「今日は答えられない」と述べたという  弁護団は「今後明らかになる検察側主張を踏まえた上で 再審開始を求める最終的な意見書を 9月末までに提出したい」としている  


一審東京地裁は 現場から第三者の体毛も発見されたことなどから無罪としたが 二審東京高裁は 女性が第三者と現場に行った可能性を否定 無期懲役とする逆転有罪判決を言い渡し 最高裁で確定した  


東電OL殺害事件 謎深まるうように感じられる方もいらっしゃることと思いますが 一度は無罪として釈放されたにも関わらず 再度拘束されたまま何年もの月日が流れてしまいました  真相はわかりませんが再度の拘束に矛盾を感じないではいられません  東電OL殺害事件 様々なサイトや書物が出版されています 一度ご覧になられるとよいと思います  (あつみ)


ネパールのニュース 

ネパールの老舗政党ネパール共産党カナル首相辞任

7ヶ月にわたった首相不在のネパールをバックアップするかのように 選任された ジャラナート カナル氏  彼もまた短命の首相であったようであった  カナル氏は7ヶ月に及んだ首相不在を解消するべく 国民的期待が高かったのだが 彼もまた激化をたどる政党間の抗争をまとめる力がなかったようである  ネパールの政治家の今後の関心事は マオイスト派をどのように自党に巻き込んでいくかで 国政の重要課題を決められない異常事態が続いている  調整役だった首相の辞任により さらなる政治混乱に陥る可能性が高い  

カナル氏の辞任で 制憲議会は再び暗礁に乗り上げる可能性があるが どの党がどのようにマオイストを巻き込んでいくかが一番難しい問題だ  

無論国民会議派の議員の中には真っ向から マオ派と対決したがっているものもいるし 少数派ではあるが旧王党派も同様だ  


と言うのは 今のネパールの情勢を見るとマオイスト派の排斥ではなく どのようにマオイスト派を自党に巻き込んで自党を維持できるかに必死のようだ  辞任したカナル首相も マオイスト票で首相に当選したことは明白  何かにつけてイエスマンといわれていたカナル首相であったが 調整役だった首相の辞任により さらにネパールの政治は混乱が続く可能性が強いと思われる  

いっそのことマオイスト党のプラチャンダ議長 (2008年から2009年首相)に再度首相をお願いしたいところだが マオイス派自身が大変な混乱状態に陥ってしまいるので そう簡単には立候補しかねる状態  当分は当たり障りのない 国際世論の波風の立たない首相を選任するほかないだろう  ただし貧困にあえぐ大多数のネパールの農民層のことを無視してはならない  文責 渥美



自前論評  儀式と祭りはいっしょなのだろうか?


ネパールはお祭が多いな〜 一見楽しそうで良いのだが あまりに多いのも仕事をする分にはストレスが溜まる  

「この教科書 今週の金曜日まで欲しいんです 音訳を絶対にお願いします」

「はい はい急いで仕上げます」

と言ってボランティアさんに残業してもらって読み上げる

ところが金曜日になっても取りに来ない

どうして?

土曜日に供養があるので その仕度に追われていました  

供養に大勢の親戚がくるので 本を取りに行くことができませんでした

へー 供養の仕度の前に本を取りに取りにくればいいのに  

でも すごっく忙しいので これの繰り返し


ところで供養の日は何をするの?

去年は司祭やお坊さんにお経をあげてもらい それから親戚一同でおいしいご馳走をたべて 賭けトランプをしました  私は50ルピーも稼ぎました


家の供養をする ここまではわかるが その後の賭けごとまで付き合わんとならんの?


それもしきたりなんです

言われてみればネパールでは結婚式でも新婚のカップルが 来客を前に賭けトランプをする儀式がある


何を意味するのか さっぱりわからないが 日本とはだいぶ違うようだ

しかしよく考えてみると 日本も葵祭り 神田明神祭り 賀茂神社の祭りなど 楽しい祭礼もたくさんあるにはある  


でも儀式と言うと 半分公事 神事 慶弔の礼といった ちと堅苦しいものを思い浮かべてしまう  

冒頭の牛祭り ガイジャトラは あの世に行った人が寂しくないように 楽しいようにと地上で思いっきりふざけあう  

うん なかなか粋なはからい  このユーモアのセンスや思いやり 

負けましたな我々は


遠い声  ドルガ ラール シュレスタ選詩集  翻訳 藤井正子氏

不満足


毎度かかさず食べてはいても

なお腹は減り 喉は渇く

捜し求める場所に近づけば

それはどんどん遠ざかっていくようだ


何という口なのだ

他人にはよだれを垂らしながら

自分には胆汁やよもぎの味がする

それでも酒をひと飲みしたいと

未練がましくうろついているようだ


何かがひっくり返り

誰かが戸をたたくのを願いながら

いざその時になるとためらってしまう

私はそんな人間のようだ

1988


踏まれた蕾


あの娘のことを思い続けてどうなろう

そうすることで何ができよう

私にできることはといえば

泣くか 沈黙を守るか

ただそれだけだ


どうしてただじっと見ているしかないのか

内に秘めた美しさを 未だ開花されてもいない

可憐な蕾の上を

残酷な運命が音を立てて踏みつけるさまを


むしろ私のこの命を 喜んで犠牲にしたい

花が蕾のうちに摘みとられるのを

まのあたりにしながら耐えるくらいなら

1988


NBSA日本の事務局

〒2840005 

千葉県四街道市四街道1−9−3

視覚障がい者総合支援センターちば内 NBSA

電話 043−424−2501


NBSAネットニュース 編集と文責 渥美よりこ カトマンドゥ在住

2011年8月16日

NBSA: http://nbsa.sakura.ne.jp/


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