――― NBSAネットニュース 2011年9月号 ―――

ネパールの視覚障害者を支える会(NBSA)の会員 支援者の皆様  



お待たせしました ネットニュース9月号をお届けします  



やっと残暑から開放され すがすがしい秋を迎えていらっしゃることと存じます  皆様いかがお過ごしでしょうか  当地カトマンドゥはすっかり秋になり 朝早く起きると身体がぶるるんと震えるほどになりました  トランジスタラジオから流れてくる朝のニュースを聞きながら 朝のコーヒーを頂くのが何よりの楽しみ  



ネパールの人々はまず洗顔 朝食の前なのに歯を磨く  それから近所のお寺に詣で お茶を頂きます  牛を飼っている人はまず始めに乳しぼりから始めます  洗顔はおっくうなのでパスする人も多い  本当にところ変われば品変わるとはよく言ったものと驚きます



さて恒例の9月15日のクイズ大会 今年は同日 同時間に2か所で開催しました  


カトマンドゥ盆地と近郊の4つの盲学校の選手が 名門校ダルバール ハイスクールに集い また チトワンにおいては隣県の4つの学校から選手が参加して かなり盛り上がりました  

アレンジメントは役員と多くのボランティアの力によるもの  皆さんよく働いてくれて 感激しました  12月5日の国際ボランティアデーでは 彼ら彼女たちの労をねぎらうパーティーを開く予定です

なお クイズ大会の主賓に 長崎大学教育学部の上薗恒太郎教授をお願いしました  先生旅行中にご足労頂き どうもありがとうございました  



クイズのスコアは下記の活動報告をご覧ください  

日本は敬老の日と秋の大運動会が近づきましたね  若さの秘訣は運動が第一とのこと 楽しい1日をお過ごしください



現地活動報告  

定例活動 トーキングブックの作成

カトマンドゥ市の私立短大の学生が 朗読ボランティアを続けていましたが 契約期限が切れたので あっさり退散してしまいました  NBSAカトマンドゥでは 定期的にボランティア募集を行っていますが 常に不足気味です  カトマンドゥに住むお友達でボランティアをされたい方がいらしたら ぜひご連絡ください  

8月と5月に5冊の本を音訳しましたが ヒットしているのは 心のチキンスープ英語版です



点字情報誌タッチ  

毎度プリンタの故障の話で恐縮ですが 交換部品などネパールで入手は無理  そこで常套手段として ネパール盲人協会に印刷を依頼しました  遅れに遅れたタッチ26号やっと発送が終わりました  タッチ27号の印刷もかなり難しいものと思っています  今後どのように作成と印刷をするか検討中です  



NBSAクイズ大会 スコアー 合計8校 選手各3名

1位 ラボラトリースクール 180点 カトマンドゥ (キルティプル)

2位 アマルシンハスクール 140点 (ポカラ)

2位 サンジバニドリケル 140点(ドリケル)

3位 バンパラ パティ 110点(ナラヤンガート)

3位 ナムナマチンドラ 110点 (カトマンドゥ)

4位 ジョワニ 105点 (チトワン)

5位 ナラヤ二チャビ 100点 (チトワン)

6位 アダルシャ 90点 (サノティミ)



カトマンドゥのみならず地方の学生もみなよく頑張りました

来年もクイズ大会を開催します ぜひ応援してください



ネパール関連ニュース

一日も早くネパールへ 受刑者家族と面会東電OL殺害事件  

時事通信 9月12日配信

東京電力女性社員殺害事件で 無期懲役が確定し服役中のゴビンダ プラサド マイナリ受刑者 44歳が12日午前 ネパールから来日した妻ラダさん 41歳 兄インドラさん 53歳と面会した 再審請求審で 第三者が犯行現場にいた可能性を示すDNA鑑定の結果が出てから 家族との面会は初めて  
ラダさんらによると ゴビンダ受刑者は 近いうちに釈放されると思うから 今回は笑って話そう と提案  過去の面会では泣いていたラダさんも 泣かずに面会を終えた   ゴビンダ受刑者は 無実だとはっきりしたので すぐに釈放してほしい としきりに話していたという  面会後 ラダさんは 良い鑑定結果が出たので 一日も早くネパールの家族の元へ戻ってきてほしい と訴えた  



東電OL殺害で 新証拠提出 「別人の唾液」鑑定書 

産経新聞9月12日配信

東京電力の女性社員殺害事件で、強盗殺人罪に問われ 無期懲役が確定したネパール国籍のゴビンダ プラサド マイナリ受刑者 44才の再審請求審で 弁護団は12日遺体の胸に付着した唾液のような液体の血液型がO型である可能性が高いとする鑑定書を新証拠として東京高裁に提出した  

東京高検は 唾液の鑑定書や被害者の首回りの微物を採取するために警察が巻いたテープなど これまで開示していなかった証拠計42点を弁護団に開示  高検と弁護団で合意が得られた証拠から 順次鑑定を行う方向で調整が進められている  



鑑定では 遺体の口と左右の胸の計3カ所から唾液反応が検出された  鑑定書は 唾液が微量で被害者(血液型O型)の体液と混在している可能性もあると指摘  その上で いずれもO型と思料されるが 断定はできない と結論づけている  
弁護団は マイナリ受刑者の血液型であるB型が検出されていない以上 犯人性を否定するものだ と主張している  



東電OL殺害 「別人の唾液」など先行鑑定へ 9月14日 読売新聞

東京電力女性社員殺害事件で無期懲役が確定したネパール国籍のゴビンダ プラサドマイナリ 受刑者の再審請求審で 東京高検は 弁護側に新たに開示した42点の物証のうち 女性の胸に付いていたマイナリ受刑者とは異なる血液型O型の唾液など十数点のDNA鑑定を先行して実施することを決めた  

東京高裁と弁護側にも伝え 同意を得たという  高検は当初 42点全ての鑑定を行う方針だったが 弁護側から鑑定に時間がかかり 再審開始の是非の判断が遅れる可能性があるとして 唾液などの鑑定を優先するよう求められ 応じることに決めたという  



毎日新聞9月14日21時43分配信

 東京電力女性社員殺害事件(97年)で無期懲役が確定し再審請求中のネパール人 ゴビンダ プラサド マイナリ受刑者(44)の家族を招いた集会が14日 東京都内で開かれた  妻ラダさん(41)は「長いトンネルの先に光が見えた  一日も早く夫と生活できることを願っている」と早期の再審開始を求めた  兄インドラさん(54)は「検察は新証拠が出てもまだメンツを保とうとしており残念だ」と検察を批判した  



再審早期開始を要請 ネパール人受刑者家族東電OL殺害事件

時事通信 9月15日配信

東京電力女性社員殺害事件で無期懲役が確定し 再審請求中のゴビンダ プラサド マイナリ受刑者の妻ラディカさん 兄インドラさんは15日 早期の再審開始を求める文書を東京高裁に提出した  東京高検にも早期の釈放を求める文書を出した  ラディカさんらは11日にネパールから来日  高裁への文書では 鑑定結果はゴビンダが疑われている犯罪を行っていないと示唆するものだ と主張  高検に対しては 重要な鑑定が、ゴビンダの無罪につながったかもしれない時期に行われなかったと知り 深く悲しんでいる と訴えた  

提出後に会見したラディカさんは 夫の無実は明らか 一日も早く家族の元に返してほしい と話した  インドラさんは なるべく早く再審を開始してもらいたい  ほんの少しの遅れでも大きな苦しみを与えることになる と述べた  





香川と友好親善を ネパール大使が知事訪問

産経新聞 9月13日配信

ネパール大使館のガネシュ ヨンザン タマン特命全権大使が12日 香川県庁に浜田恵造知事を訪ね 友好親善に向けた交流などを呼びかけた  



四国霊場八十八カ所巡りをかねてから希望していたというタマン大使は 四国霊場は宗教的なことだけではなく 1つの文化としても存在しおり 文明と精神の中心になっている  ネパール人を代表して知事に交流をお願いしたい と切実に訴えた  
これに対し 浜田知事も いろんな面で交流が盛んになることを願っています と応えた  



エベレスト登頂控える登山家 栗城史多さんの同行カメラマンが死亡

オリコン 9月16日配信

自身3度目のエベレスト単独 無酸素登頂に挑戦中の登山家 栗城史多(くりきのぶかず)氏に同行していたカメラマンの木野広明(きのひろあき)さんが日本時間15日午後12時15分ごろ 標高5300メートルのベースキャンプから歩いて約20分の氷河エリアで倒れているところをパトロール中のネパール政府関係職員が発見し 16日朝 搬送先のカトマンズ市内の病院で死亡が確認された  16日 栗城さんと業務提携する よしもとクリエイティブ エージェンシーが発表した  



職員の連絡を受け ベースキャンプから隊員が救援に駆けつけた際には仰向けで口を開き 両手をぐっと握りしめすでに心肺停止の状態だったといい 人工呼吸などの緊急蘇生を試みたが 意識は戻らなかったという  翌朝 ヘリコプターで緊急搬送され カトマンズ市内の病院で死亡が確認された  発見時 木野さんの右鼻から出血が確認されており 今後 司法解剖して詳しい死因を調べる  この後日本から家族4人もカトマンズ入りする予定  

栗城隊は今回5人で編成され 先月28日に離日  遠征の模様はインターネットでも動画配信されており 山岳カメラマンとして活躍し 登山経験も豊富な木野さんは急遽 撮影サポートのために遅れて参加し 今月12日より行動を共にしていた  その後 木野さんは氷河エリアや栗城の撮影のためにムービーカメラを携えて単独で行動 木野さんが亡くなる前の状況は不明といい ベースキャンプとほぼ同じ標高地点にある氷河エリアへの出発前には目立った高山病の症状などの異変はみられなかったという  



栗城氏は16日夕方 自身のブログで「滑落した様子もなく 急性の高度障害の様子もなく なぜ?という疑問と 悲しみでいっぱいです  現在 遠征は中止している状態です」 と現状を報告  さらに 通常 ベースキャンプを離れる時は 一人ではなくポーターか誰か付き添い 無線も持って行くことになっていたが 今回 木野さんは一人でベースキャンプを出発したと明かしている  



その際 ベースを仕切る担当者から 一人では行かない方がいいと思いますよ と忠告もあったが 「ちょっといいところがあったから撮影したい」と話して出かけたという  距離も15〜20分程度でクレバスなどの危険な所もなく 熟練したヒマラヤ登山経験者だったことからベースの隊員もそれ以上 木野さんを止めることはなかったという  栗城氏は わずか数日のベースキャンプ生活でしたが 一緒にご飯を食べ これから始まるところだった  冒険の撮影をしてもらえないのが本当に残念です と胸の内を綴り 今後は事故の対応と隊員のショックがある程度落ち着いたところで 木野さんならどう思うか?それを考えながら決めたいと思いますとし 木野さんのご冥福を 心からお祈り申し上げます と結んでいる  



いったん治まるか?ネパールの政治的混乱

ネパールの制憲議会(定数601)は8月28日 政治混乱の責任を取る形で先に辞任したカナル首相の後継を決める首相選を実施し 最大政党のネパール共産党毛沢東主義派のバタライ元財務相を選出した  元ゲリラの毛派が国政の主導権を握るのはダハル首相(毛派書記長)の辞任以来 2年3カ月ぶり  

2006年 ネパールは王制を廃止 共和制に移行したが 政党間の争いはもとより各党内の不協和音が顕著化し 新憲法制定など和平プロセスが停滞している  まずはこの問題を解決せねばならないが ネパールの老舗政党統一共産党が穏健派のネパール会議派に回ってしまい 今後苦しい立場に立つと思われる  新首相のバタライ氏は相当にインテリとのこと  このあたりを丸く収めて とりあえず新憲法の制定に着手してもらいたい  憲法がどっかにすっとんだ国など あまりにみっともなさすぎませんか?

遠い声  ドルガ ラール シュレスタ選詩集  翻訳 藤井正子氏

都市

みんなあまりに急いでいるので

群集の中に一人の人間さえ見つけることができない

彼らがずっと見続けているのは  群集だ

自分自身さえ見えていないのだ



そうしなければならないからと

彼らはひたすら走り続ける

どこへ向かっているのか考えもせず

何か目新しいものを見つけては喜ぶ

自分を見失っていることも忘れて



彼らは進む

騒音にもかかわらず

息苦しいほどの埃にもかかわらず

そこにあるのはことごとく

存在し続ける無のしるし



この群集の中に私が見るのは

火葬場から真昼の街に出没し 押し合いながら進んでいく

亡霊のたちの寄り集まりだ



人目を引く物の数々が これ見よがしに並べたてられ

人を見る眼は 誰にもない

こんなところが 文化都市 と呼ばれる

なんという恥さらし

何という皮肉

1988



放心

いばらの先で

朝露が 光っているのを見ていた

知らず知らずに

涙が二粒

溢れ出て 眼もとに溜まった

1989



現在と未来

乾ききって感情のない その眼を

無から無へさし渡された物干し竿にぶら下げて

長老は 骨と皮でできたそのガタガタいう袋は 

窓の敷居に座り込んでいた



その光景はひとく私の神経を苛立たせ

真昼時にもかかわらず

夕べの祈りの声が

耳いっぱいに鳴り響いた

1989



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〒2840005 

千葉県四街道市四街道1−9−3

視覚障がい者総合支援センターちば内 NBSA

電話 043−44−2501



NBSAネットニュース 編集と文責 渥美よりこ カトマンドゥ在住

2011年9月18日

NBSA: http://nbsa.sakura.ne.jp/



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