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 NBSAネットニュース 2012年4月号 ―――

ネパールの視覚障害者を支える会(NBSA)の会員 支援者の皆様 



3.11日本中の人々にとり忘れられない記憶  そして何を後世に伝えなければならないのか誰もが真剣に考えると時が来たと思います  現地ネパールでは3月11日日本国大使公邸で 慰霊式典が開催されました  ネパールの人々にとって遠い日本の出来事と忘れ去られてしまうかもしれない3.11  しかし今も成長を続けているヒマラヤ山脈 その麓に住む人々にとって大地震は最大の関心事になってもよい事なのです  政府もやっと地震対策に真剣に取り組むようになりました  特に人口密度の高いカトマンドゥ盆地に住む人々は 日本の災害を真剣に受け止め 遅ればせながら 地震への対処や避難の仕方を考えるようになりました 

 

大勢の尊い命を失った日本の災害が ここネパールでは他国の出来事だけではすまない と貴重な教訓として大勢の人々が 1年後の日本の様子を見ていました  その中には日本に行ったことがある人 日本に友人がいる人などもいて 新たに災害の大きさに驚き また涙した様でした  被災された方々がすこしでも早く失意から立ち直られますよう そして亡くなられた方々にはご冥福をお祈り申しあげます 



現地活動報告 

カトマンドゥオフィスはジャスミンの香り

NBSAは昨年の4月1日にカトマンドゥのシタニバスに越してきました  ちょうどジャスミンの花盛り  夕方になると甘い香りが室内に流れてきました  今年の春は寒かったせいかやっと蕾が開いたようです ジャスミンの花は取り立ててきれいとは言いがたいのですが 魅惑的な香りが絶妙です  来年はぜひともこの時期にネパールにおこしください 



定例活動 

@オーディオライブラリー

現在 大学レベルの教科書の音訳2冊作成中です  ともに進学や就職に役立つもので 一般向けではありません  私たちは大勢の方々にNBSAのオーディオライブラリーを利用してもらいたいのですが 難しい辞書のように分厚い本を無断で持ち込まれ 返すわけにもいかないので作成を開始しました  1週間に3回教科書だけを読む朗読者を配置しましたが 完成には数ヶ月を要することになりそうです  同時並行的に一般的な小説も手がけています  新しい小説のタイトルは「イコールスカイ」男女の平等をテーマにしたものです  



A点字情報誌タッチ

タッチ第29号を完成させました  校正を熟練のふたりの視覚障がい者が最終チェックし 4月4日にカトマンドゥ盆地内 そして地方に発送します  今回のタッチのハイライトは新企画の一口お笑い話です 日本の川柳のようなもの  プリンタは壊れたままで ネパール盲人協会に印刷をお願いし 費用的に予算オーバー 残念です  先月配布したタッチが無事読者に届いているか調査しましたが 今後とも地方に住む読者の方々を対象に調査を続ける予定です  



ネパール関連ニュース

訃報 福王寺法林さん死去 ヒマラヤの画家 91歳

ヒマラヤ山脈の雄大で清澄な風景を描き続けた文化勲章受章の日本画家 福王寺法林(ふくおうじ・ほうりん 本名 雄一)さんが2月21日 心不全のため東京都内の病院で死去した91歳  山形県米沢市出身  6歳で左目を失明しながらも画家を志した  戦後 院展(日本美術院)を主舞台に活躍  74年からネパールやヒマラヤ地方を旅行  剛直かつ繊細な筆致で山脈のスペクタクルな風景を力強く描き ヒマラヤの画家 として人気を博した  84年日本芸術院賞  



殺害ネパール人の財布盗んだ男起訴 別の1人は不起訴処分 大阪地検

産経新聞 3月3日配信

大阪市阿倍野区で今年1月 ネパール国籍の飲食店経営 ビシュヌ プラサド ダマラさん(42)が殺害された事件で 暴行中にダマラさんの財布を盗んだとして 窃盗容疑で逮捕された同市西成区岸里東の建築工 伊江弘昌容疑者(21才殺人罪で起訴) について 大阪地検は2日 窃盗罪で起訴  ともに窃盗容疑で逮捕された同市住吉区上住吉の彫師 白石ひろき容疑者(21)を不起訴処分とした  起訴状によると 伊江被告は1月16日午前4時半ごろ 阿倍野区の路上で 現金1万円などが入ったダマラさんの財布を盗んだとしている  地検は 伊江被告の認否を明らかにしていない  



そば文化 ネパールに伝授 伊那市そば打ち名人の会 カトマンズ訪問し実演へ 

毎日新聞 3月5日配信

そばの原産地とも言われるネパールに日本のそば文化を伝えようと 伊那市そば打ち名人の会の会員らが同国を訪問する  そばの活用法を模索しているネパール農務省の招きによるもので カトマンズでの式典でそば打ちを披露 調理法や食べ方を教え 栽培農家とも交流する予定だ  
訪問するのは会長の小林史麿さん(70)ら14人  小林さんの知人で 駒ケ根市などでインド ネパール料理店を経営するネパール人のギリ ケサラさん(42)が母国政府に仲介して実現した  ネパールでは そばは団子状のそばがきにして食べるのが普通で そば切りにする日本のような食べ方は知られていないという  だが来日して4年のギリさんは「日本のそばは とてもおいしい ネパールでも広めたい」と 訪問を働きかけた  「ネパールとの友好のために期待に応え 交流を深めたい」と小林さん  ネパールから そば修業の研修生を受け入れることも検討するという  



血痕にも第三者DNA 東電OL事件追加鑑定

読売新聞 3月6日配信

東京電力女性社員殺害事件で無期懲役が確定したネパール国籍のゴビンダ プラサマイナリ受刑者(45)の再審請求審で 東京高検が追加でDNA鑑定を行った物証15点のうち 女性が事件当時着ていたコートに付いた血痕から 事件に関与した可能性が浮上している第三者Xと女性の 双方のDNA型が検出されたことが新たにわかった  XのDNA型は 女性の体内の精液や体表の唾液 殺害現場に残された体毛などからも既に検出されており Xが現場で女性と接触していた可能性が一層高まった  

この鑑定結果は 高検が5日 15点の鑑定書を弁護側に開示して判明した  コートの左肩外側部分に血が付いた痕があり 弁護側によると 女性かXの血液に一方の皮膚片などが付着したか 両者の血液が混じり合った可能性があるという  この血痕については当初 DNA型が判別困難とされていたが 鑑定人が詳しく分析した結果 特定された  また鑑定書は 15点のうち マイナリ受刑者の着衣や所持品を除く12点からは同受刑者のDNA型は検出されなかったとした  

弁護側は 血痕からも新たにXのDNA型が出たことを 「第三者の犯行だという主張をさらに裏付けるもの」と評価し 鑑定書を「無罪とすべき新証拠」として東京高裁に提出することを検討している  一方 高検はこれまでの鑑定結果について女性が現場以外でと接触して付着した可能性もあるとし マイナリ受刑者による犯行という見方を変えていない 



東電社員殺害 有罪主張の意見書提出 東京高検

毎日新聞 3月16日配信

東京電力女性社員殺害事件(97年)で無期懲役が確定したネパール国籍のゴビンダ プラサド マイナリ受刑者の再審請求審で 東京高検は16日 追加実施した試料15点のDNA型鑑定の結果を踏まえ 有罪主張を維持する意見書を東京高裁に提出した  



ネパール人殺害 殺害されたネパール人経営の料理店 2カ月ぶり再開 妻笑顔で客迎えたい 毎日新聞3月18日配信

大阪市阿倍野区の路上で殺害されたネパール人の飲食店経営 ビシュヌ プラサド ダマラさん(当時42) 同市住吉区のネパール料理店「ネパリバンサ」が2カ月ぶりに再開した  切り盛りする妻(36)は 主人の夢だったこの店とともに 一歩一歩 前に進みたい と話している  

事件発生から2カ月となる16日に店を再開した  事件後 妻はショックでよく眠れなくなり テレビを見たり 活字を読んだりできない状態にも陥った  店は閉めたままだったが 全国から手紙や弔慰金が寄せられた  16日朝 妻は事件現場を訪ね 手を合わせ 夫に伝えた 「店を再開するね 頑張ります」  入り口近くにダマラさんの写真と記帳用のノートを置いた  ダマラさんをしのんで訪れてくれる客もいた  17日に来店した常連客の男性は「よく店を再開してくれた」とひと安心した様子だった



店の営業は当面 日中 午前11時〜午後4時のみ  電話06・6773・3887。地下鉄谷町線四天王寺前夕陽ケ丘駅から徒歩約5分  妻は「主人のように 訪れるお客さんを笑顔で迎えたい」と話している



ネパールのニュース

毎度お馴染み 計画停電のお知らせです 政府が 1週間62時間停電を発表しました 以前よりかなり停電時間が短縮されましたが 発表と現実が違う場合が多いのには困っています



ガソリン不足はかなり改善されたと発表されたものの またしても不足状態におちいりました  ガソリンの輸入元インドへの支払額が充分でなかったのが原因  

長蛇の列ができてしまったし 食品も品薄になり生活全体に悪影響を及ぼしえいる    



プロパンガスの不足は依然としてして改善されず 残念ながら先月と同じ内容のレポートです  私自身毎朝ガス屋の前でガスボンベの到着を待っている ガスの車が到着するといっせいに奪い合いになる  ガス屋は 順番リストを作成し始めたが ネパールの社会はなんと言っても強いもの勝ち  ツテのない人々はあっさりはじかれてしまう  ご飯が炊けないのには困ったものです 



水道水

なんと言っても今年の冬は激寒でしたので 今のところは水を求めて慌てふためくことはないのですが 私達の事務所では家主さんと折半し 2度ほどタンクローリーで水を購入しました  この季節になるとNBSAの事務所ではトイレのフラッシュ禁止 プラスチックのカップや葉っぱのお皿を使用するよう厳命しています  その成果あり スタッフの皆さん お水の扱いに気をつけるようになりました  



エネルギードリンク トラVS雄牛

昨年ごろから カトマンドゥ市内でスポーツドリンク2種がよく売れている  共に軽アルミのボトルで一缶50ルピー(約50円) ネパール人の所得に比べると少々お高い  ボトルのサイズと色(金)がまったく同じだが アルミ缶のデザインがやや違う  ベトナム製のレッドタイガーはトラのマーク タイ製のレッドブルは 雄牛2頭が角を突き立て向かい合っている  ベトナムとタイは昔から宿敵意識が強い  さて ネパールでこの商戦どっちが勝つのでしょうねー  味はどちらもそこそこ ネパールにおいでの際 味比べしてみてください  



人生の分かれ道 学校終了試験

俗に鉄の門と呼ばれる中等学校終了試験(SLC)が 全国的に始まった  ネパールの教育制度は 10年生英国式の学術資格と同じようなもの  今後の進路や就職つまり人生に大きく影響する  この試験に失敗すると 身投げする女の子もいるほど  また地方に行けば行くほど汚職事件など起こる  はて学校を卒業したらどうする?

今後どうなるのか誰もはっきりわからない  学術研究は立派だがこれだけでは食っていけない  職業訓練学校などの充実などを期待したいところです



エベレストの標高論争 終結なるか ネパールが測量支援求める

ネパール当局は2月29日 エベレストの標高を正確に測定するため 国際的な資金援助と技術提供を求めることを明らかにした  エベレストの高さをめぐっては ネパールと中国の間で主張が異なっており 論争に終止符を打つ狙いがある  

ネパールでは、1954年のインドによる調査で示された8848メートルを採用  この高さには山頂部の雪も含まれている 

一方 中国では2005年に登山家と研究者が 岩石部分の高さを測定  高さは8844.43メートルだったと発表しており ネパール側よりも約3.7メートル低い結果となった  
ネパールの測量当局は 正確な測定をするための技術や資金が足りないとし 「調査や分析面などで海外の協力が必要だ」と話した  摂氏マイナス70度の中でも作業が行える装備も必要だという  2国の国境にまたがるエベレストは ニュージーランド人のエドモンド ヒラリーとチベット系民族シェルパのテンジン ノルゲイが1953年5月に初めて登頂に成功した  



かなり深刻チベット問題 

2012年1月18日 米紙グローバルは記事「仏教の起源を奪い合う中印」を掲載  1月23日付環球時報が紹介している  1月14日 ウェン ジアバオ首相はネパールを訪問  ネパール 中国友好年2012協定を調印した  その翌日 ネパールのヤダブ大統領は仏陀の生誕地ルンビニを訪問し ルンビニ観光年2012を宣言した  中国人観光客誘致の動きと見られる  

チベット問題のマイナスイメージを払拭するべく 中国はネパールを巻き込んだ仏教外交を展開している  この動きに神経を尖らせているのが 仏教文化を利用して東南アジアとの関係を深めようとしているインドだ  インドもまた世界最大の仏教国として世界仏教大会を主催した  仏教という文化的リソースを中国とインド どちらがつかむのか 激しいつばぜりあいが続いている  お釈迦様の生誕地が両大国間の紛争地にならないよ祈るばかりだが スイスのように中立を守り 国際会議場だけを貸して 莫大な賃貸料をとるのもよいだろう がんばれネパール!



マウンテンバイクでヒマラヤ越え

3月様々な国の若者がネパールに集まり 自転車でヒマラヤを越えた  日本人とネパールもひとりずつ参加  傾斜の激しいところは自転車を担いで登ったそうだがすごい肺活量と驚き  NBSAの読者はどちらかと言えば高齢者が中心 彼らの若さに敬服したいですね



またしても魔女狩りか 

南部ネパールで今度は妹が38才の姉を撲殺した事件が起きた  やはり撲殺 動機は不明だが姉は未亡人だった  どうやら情事が絡んでいるようだったと言われている



ネパールの詩

遠い声  ドルガ ラール シュレスタ選詩集  翻訳 藤井正子氏

@我が心情

   何を得たかと聞かれれば こう答えよう

いくばくかの悲しみ

しかしそれより大きいものは

どういうわけか生きのびたというこの事実だと



打ちあけよう

心の内に 炎よりも激しく燃える

この苦しみに気づいているから

私は存在しているのだと



さらに言い添えよう

ずっと痛みに耐えてはいるが

私の感じる刺すような疼きは

花につきものの棘のような

そんな痛みとはちがうのだと

1994年



A友へ

   友よ 君のことを思うたびに

   幸い悲しみにおそわれる

   僕にとって君という人は

   葬送の歌のこだまになってしまった



   死の床に君の姿を見た時

   僕は無理にも微笑んでみせたけれど

   君の頬を伝う熱い涙に

   たちまちそえはかき消されてしまった

   

   君の一生は定められている

   それでも死が 君を殺せないのは本当だ

   見まわせばどこにでも

   僕には君のかすかな姿が見えるのだから

1995



B

   純なる固い信念を持ち

   この道をどこまでも推し進めよ

   そうすれば 行き着いたそのところで

   おまえは解脱を得るだろう



   私の魂を救うため

   あなたは私に教えを垂れた

   しかしそれは砂上の楼閣のように

   私の内で瞬く間に崩れ去った



   最後にひと目会いたいと

   あなたの死の床へやってきた私に

   あなたは再び同じ言葉をくり返された

   すでにもの言わぬ 冷たくなった唇で



   無言の言葉は私の胸深くに響いた

   それを聞き 私は思った

   あなたの声は私の声だ

   私が私に言っているのだと



   どうしてですか バンテ (註釈巻末)

   なぜあなたは 死んでなお

   私を立ち上がらせるのですか

   なぜご自身の死出の旅路を遮ってまで

   道を教えに戻られるのですか



   生まれつき愚か者のこの私に

   道を教えてどうされるのですか



   もしもこの涙が 流れることを拒んだら

   あなたへの最後の敬慕を

   私はどうやって表せばいいでしょうか



(註釈 バンテとは仏の僧に授蹴られる尊敬の称号)

1996

  
お知らせ

1.2012年新年度総会の後から日本の事務所を移転します

移転先は検討中ですが ネットでの連絡は以前と変わりません しばらくお待ちください  カトマンドゥ事務所に直接ご連絡される場合は

nbsa@mail.com.np
又は yorikonepal@hotmail.comよろしくお願いいたします



2.ネットニュース休刊のお知らせ

4月の中旬から5月中旬まで一時帰国します

恐縮ですがネットニュース5月号は休刊とさせていただきます



NBSAネットニュース 編集と文責 渥美よりこ カトマンドゥ在住

2012年4月1日

NBSA: http://nbsa.sakura.ne.jp/



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